過去最高の業績を更新する東宝。アニメと海外の開拓を強化し、新たなステージに突入する(撮影:今井康一)

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破竹の勢いで業績拡大を続ける東宝。創業家社長の下、次に狙うは海外だ。無双の強さの源泉に迫る。

【配信予定】
5月21日(水)映画・アニメで無双する「東宝」が日本エンタメの新主役に急浮上

5月22日(木)【独占】創業家社長が明かす「業績急伸」の神髄(仮)
5月23日(金) 【秘話】「GKIDS192億円買収」の舞台裏(仮)
5月26日週 ヒットメーカー「TOHO animation」の底力(仮)
5月26日週 「君の名は。」を送り出したアニメ会社創業者が語る東宝のすごみ(仮)

スクリーンに映し出される、たけだけしいシルエット。大きく口を開くと、映画館から飛び出さんばかりのボリュームで、咆哮を響かせる――。

今や国内外で人気を博すゴジラ。その日本を代表する怪獣を生み出した企業が、エンタメ・IP(知的財産)産業の“怪獣”として、市場を席巻しつつある。

4月14日、映画配給で国内最大手の東宝が2025年2月期決算を発表。売上高3131億円(前期比10.5%増)、営業利益646億円(9.2%増)と、いずれも過去最高を更新した。

『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』が興行収入158億円、ヒットすればリターンの大きい自社幹事作品である『変な家』が同50億円と、配給ラインナップで大ヒットを連発。他社との共同配給作品を含めると、2024年度における邦画興行収入トップ20のうち、実に14作品を東宝配給が占めた。

株価は5年で2倍に上昇

看板である映画配給に負けじと、収益を押し上げているのがアニメビジネスだ。「僕のヒーローアカデミア」や「呪術廻戦」、「ハイキュー!!」 といった、人気シリーズの配信権や商品化権が大きく伸長した。アニメビジネスを中心とする映像事業の営業利益は189億円と、前期比20%の成長を見せた。

東宝は、2023年2月期から3カ年の中期経営計画で、コロナ禍直前に達成した過去最高の営業利益528億円の更新を目標に掲げていた。ふたを開けてみれば、アニメビジネスの急成長や2023年に公開した『ゴジラ-1.0』のヒットなどにより、この目標を2年目で軽々と達成。最終年度の2025年2月期にはさらなる好業績をたたき出し、大躍進の3年間となった。

「すべてのチームが最高のパフォーマンスを発揮してくれた。600億円超の利益を出せる組織に成長したことは、社員にとっても自信になったのではないか」。創業家出身の松岡宏泰社長は東洋経済のインタビューで、そう振り返った。創立100年を迎える2032年に向けた長期ビジョンでは、営業利益750億~1000億円とさらなる高みを目指す。

市場からの期待も高まり、5年前に3000円台だった株価は足元で7000円台中盤にまで上昇。時価総額は約1.32兆円に達し、東映アニメーション(約6800億円)やKADOKAWA(約5700億円)、東映(約3500億円)などを大きく引き離す。“東宝無双”はどのようにして築き上げられたのか。

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