言わずもがな、日本映画界を代表する俳優として40年以上にわたり第一線で活躍し続ける役所広司。とくに近年は国際的な評価も高めており、2023年にはカンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞したことでキャリアの頂点を更新している。

そんな役所広司の近年の代表作が、CS映画専門チャンネルにて「特集:役所広司」と題して一挙放送。世界が認めた重厚な演技を自宅でじっくり堪能できるTV鑑賞チャンスということで、あらためて彼のキャリアをざっくり振り返っておこう。

「緻密で、ぶっ飛んでて、笑えて、妙に感動的」主演・役所広司×脚本・宮藤官九郎 Netflix『俺のこと、なんか言ってた?』2026年配信決定

「緻密で、ぶっ飛んでて、笑えて、妙に感動的」主演・役所広司×脚本・宮藤官九郎 Netflix『俺のこと、なんか言ってた?』2026年配信決定

俳優・役所広司のキャリア

1956年長崎県生まれの役所は、1978年に俳優として活動を開始。伊丹十三監督の『タンポポ』(1985年)で注目を集め、以降『Shall we ダンス?』(1996年)、『うなぎ』(1997年)などで日本映画の黄金期を支えた。

今村昌平監督の『うなぎ』はカンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞し、役所自身も日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を獲得。以降も黒沢清監督の『CURE キュア』(1997年)や青山真治監督の『EUREKA ユリイカ』(2000年)など海外でも評価の高い作品に立て続けに主演し、かつ社会派からコメディまで幅広い役柄を演じてきた。

『PERFECT DAYS』© 2023 MASTER MIND Ltd.

国際的評価と近年の代表作

2000年以降は国内にとどまらず、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『バベル』(2006年)など海外作品にも積極的に出演。日本映画の枠を超えた存在感を示し、名実ともに「世界が認める日本の俳優」となっていく。

年齢を重ねてもなお挑戦を続けている役所は2023年、ヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』で東京の公衆トイレ清掃員を演じ、第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞。これは日本人俳優としては柳楽優弥以来19年ぶりの快挙であり、彼の演技力の幅広さと深みを世界に示した。

『PERFECT DAYS』 第76回カンヌ国際映画祭 ©Kazuko Wakayama

同年には福島第一原発事故を題材にした重厚なNetflix映画『THE DAYS』で主演を務め、翌2024年には日本映画の国際的発展に寄与した功績として<川喜多賞>を受賞。世代を問わない知名度と実力を兼ね備えた俳優として確固とした地位を築いている。

今回の主演作TV放送ラインナップは以下の通り。ベテラン俳優でありながら新たな挑戦を続ける役所の名演を振り返るも良し、“役所沼”の入り口にするも良し。ぜひ自宅でじっくり鑑賞してみては?

©2010「十三人の刺客」製作委員会

『PERFECT DAYS』(2023年)

ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース監督×役所広司主演、第76回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞受賞。トイレ清掃員の日常を通じて、人生の豊かさや切なさを描いたドラマ。

東京渋谷の公衆トイレの清掃員、平山は古いアパートで一人暮らし。毎日同じ時間に目覚め、植木に水をやり、自転車で仕事へ向かう。清掃の合間には古いカメラで木や空を撮影する。同じことの繰り返しのようにみえるが、同じ日は一日としてないのだ。そんな彼の日々に思いがけない出来事が起きる。

「奇跡的な巡り合い」ヴィム・ヴェンダース監督と役所広司、それぞれの妻が語る『PERFECT DAYS』制作秘話

「奇跡的な巡り合い」ヴィム・ヴェンダース監督と役所広司、それぞれの妻が語る『PERFECT DAYS』制作秘話

『孤狼の血』(2017年)

柚月裕子の警察小説を白石和彌監督が映画化した犯罪ドラマ。役所広司、松坂桃李の共演で、暴力団と警察を巻き込んだ血で血を洗う報復合戦を描く。

暴力団対策法成立直前の昭和63年、広島・呉原。新たに進出してきた広島の巨大組織・五十子会系の加古村組と、地場の暴力団・尾谷組との抗争の火種が燻り始める。そんな中、加古村組関連企業の社員が失踪。マル暴のベテラン刑事・大上と新人刑事・日岡は、これを殺人事件と睨むが……。

松坂桃李vs鈴木亮平『孤狼の血 LEVEL2』白石和彌監督インタビュー! 暴力と陰謀の強烈描写をエンタメに落とし込む

松坂桃李vs鈴木亮平『孤狼の血 LEVEL2』白石和彌監督インタビュー! 暴力と陰謀の強烈描写をエンタメに落とし込む

『どら平太』(2000年)

市川崑監督が役所広司を主演に迎えた痛快時代劇。山本周五郎の小説を基に、或る小藩の腐敗を正すべくやって来た破天荒な町奉行の活躍を描く。

或る小藩。新任の町奉行、望月小平太は、放埒すぎるふるまいから“どら平太”というあだ名で呼ばれている。実は彼は、密輸や売春、賭博、殺傷が横行する「壕外」地域の浄化にやってきたのだった。早速、遊び人になりすまして壕外に潜入した彼は、壕外の権力を握る3人の親分の存在を知る。

©2000「どら平太」製作委員会

被災地で苛まれた“強烈な無⼒感”に突き動かされて制作 『THE DAYS』⽔素爆発が起きた瞬間をとらえた本編シーン解禁

被災地で苛まれた“強烈な無⼒感”に突き動かされて制作 『THE DAYS』⽔素爆発が起きた瞬間をとらえた本編シーン解禁

『十三人の刺客』(2010年)

1963年公開の同名時代劇を三池崇史監督が現代風に再構築。役所広司、山田孝之ら豪華キャストが集結し、300人の軍勢に挑んだ13人の刺客の戦いを描く。

江戸時代末期。明石藩江戸家老が老中・土井家の門前で切腹自害。明石藩主・松平斉韶の暴君ぶりを訴えるためだった。斉韶は将軍・家慶の弟で次の老中への就任が決まっている。土井は斉韶暗殺を決意。その命を下された御目付役の島田新左衛門は腕に覚えのある刺客を集める。

「特集:役所広司」はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2025年12月放送

「我々は見たこともない世界に連れて行かれる」役所広司とポン・ジュノが時を超えエールを交換『ミッキー17』

「我々は見たこともない世界に連れて行かれる」役所広司とポン・ジュノが時を超えエールを交換『ミッキー17』

Leave A Reply
Exit mobile version