定年後10年たつのに「次の社長はあいつ」の会話しかできない…痛すぎる高齢者にならないポイント3つ

70代からは「たとえ三日坊主でも3日分成長できる」の精神で前に進もう

楠木 新

定年退職後、豊かな第2の人生を謳歌できる人と、そうではない人は何が違うのか。作家の楠木新さんは「取材を続けてわかるのは、『定年後』は10年で終わるということだ。70代にもなれば現役時代のことは何の役にも立たなくなる。できるだけ早く『会社員気分』を脱け出すことが重要だ」という――。(第4回/全5回)

※本稿は、楠木新『定年後、その後』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

定年後も「会社員感覚」を抜け出せない人々

「定年後、その後」の年齢になってもまだ、会社員時代の思い出に生きている人もいる。もちろん人の考えはさまざまなので、そのような生き方が悪いというつもりはない。現在と未来の楽しみの機会を失っていないかが気になるだけだ。

家族旅行で京都を訪れ、食事をしたときのことを思い出す。隣の席に2人の男性が座っていた。ともに70代前半だろうか。会社員時代の同期だったようだ。

この2人が、ずっと会社員時代のことを話していたのだ。

「上司のAは、見積もりをうまく書くが詰めが甘いので、部長は評価していなかった」

「Bは立ち回りはうまいが、大局観がなかった」

「どうやら次の社長はCらしいぞ」……。

現役時代といっても、もう10年以上前のことだろう。酒が入っていたからか大きな声で話していたので、その会話が耳に入ってくる。ほかのテーブルには辟易へきえきとした雰囲気が漂っていた。

年配のビジネスマン

写真=iStock.com/metamorworks

※写真はイメージです

「次」に意識を向けることが大切

気になったのは、2人とも相手の話を全然聞いていなかったということだ。一見会話は嚙み合っているようだが、相手の話を聞いて反応するのではなく、自分の話したいことだけを互いに一方的にしゃべるだけだった。それが延々と2時間近く続いていた。

彼らが店を出た時、思わず「家で家族とどんな話をしているのだろう?」と口に出してしまうと、横に座っていた女性たちが苦笑いしながらうなずいていた。

「次」に意識が向かっていることはやはり大切なことなのだろう。そう考えると、現役で働く会社員が、定年退職後の自分の姿を想像したり悩んだりするのは、とても健全な感じがする。


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