2025年10月30日、ソウル市江南区のチキン店舗前で市民にチキンを手渡すエヌビディア(NVIDIA)のジェンスン・フアンCEO(c)news1

韓国・慶州で10月に開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では、公式行事の裏側で「K-フード」と「K-ビューティ」を前面に打ち出した「美食外交」「流通外交」が注目を集めた。

農心(ノンシム)やCJ第一製糖、SPC、ロッテウェルフード、毎日乳業など、韓国の大手食品・流通企業が公式スポンサーとして参加。ラーメンやフライドチキンをはじめとする代表的なK-フードが各国首脳や報道関係者の関心を集めた。

APEC国際メディアセンター周辺には「K-フードステーション」やフードトラックゾーンが設置され、来場者の足が絶えなかった。韓国商工会議所によると、韓国の食文化の魅力を直接体験できる空間として好評を博した。

地域色を前面に出した展示では、慶尚北道・青松(チョンソン)の農業従事者と共にローカル食品を紹介する「バンアッカンカンパニー」、伝統的な韓国の菓子「ヨッ(飴)」を現代的に再解釈したブランド「チョムチョム」、千年の歴史を持つ新羅の価値を継承する若手酒造会社「慶州株式会社」などが参加し、持続可能性と文化的アイデンティティを伝えた。

ロッテホテル&リゾートは、韓国系米国人スターシェフのエドワード・リー氏と共に各公式行事のケータリングを担当。オフィシャルランチでは、慶州産のリンゴを使ったコールスローとスモークサーモン、メインディッシュに韓牛「慶州千年韓牛」のフィレステーキ、デザートには「新羅の微笑み」と題されたチョコムースと季節の果物を盛り合わせた芸術的な一皿が振る舞われた。

晩餐では、全羅南道・莞島(ワンド)産のアワビを添えたカルビチムやナムルビビンバなど、韓国伝統と地域の味を融合したコース料理が提供された。韓国伝統の素材を用いた松の実パイやインジョルミ風キャラメルなど、東洋と西洋を融合させたデザートも印象を残した。

特に注目を集めたのが「K-チキン」。キョンチョンチキンはK-フードステーションで韓国式チキンを紹介し、さらにソウルでは米エヌビディアのジェンスン・フアンCEOとサムスングループのイ・ジェヨン(李在鎔)会長、現代自動車グループのチョン・ウィソン(鄭義宣)会長がチキンとビールを共にする「チメク会談」が開かれたことで、チキン業界にとっても異例の関心が集まった。

K-デザートでは、慶州名物「皇南パン」が中国の習近平国家主席に200箱贈られ、「おいしかった」との言葉が伝えられると、地元の店舗には行列ができた。ほかにも、人気の「ホドゥカジャ」が公式デザートとして採用され、海外メディアからも「会議より熱気がある現場」と評されるほどの人気を見せた。

◇K-ビューティは各国首脳の配偶者が体験

アモーレパシフィックやLG生活健康は、各国首脳の配偶者を対象とした「K-ビューティ&ウェルネスプログラム」に参加。LG生活健康はIMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事や、駐韓インドネシア大使の妻、米ファッションデザイナー、ニッキー・ヒルトン氏らを迎え、体験型の化粧品紹介を実施した。

同社はまた、国賓用ギフトとしてソウル市の無形文化財第1号である漆匠、ソン・デヒョン氏による螺鈿漆器「菊唐草文様の化粧箱」を用意し、韓国の伝統美を体現。企業トップ10人やジェンスン・フアンCEOにも、慶州の自然をモチーフにした「千年の光」デザインの螺鈿漆器セットを贈った。

CJオリーブヤングは、アジア太平洋地域で人気を集める製品をパッケージ化し、インディブランドや中小企業のK-ビューティ製品の体験機会を提供。ホワイトハウス報道官のカロライン・リービット氏がSNSに同店で購入した商品の写真を投稿し、国際的な拡散力を見せた。

CJオリーブヤング関係者は「今回のAPECでK-ビューティ製品が首脳級の公式贈呈品に選ばれたことは、K-ビューティのエコシステムが世界から認められた象徴。今後も国内ブランドの世界市場進出を支える礎となる」と述べた。

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