レイとセントラル・シー、そしてエルトン・ジョン。現代の英国音楽シーンをけん引する新世代のアーティストから、世代を超えて愛される世界的アイコンまで、ロンドン・ファッションウィーク最終日を飾った「バーバリー」のフロントローは、まさに英国カルチャーの縮図だった。ダニエル・リーによる2026年春夏コレクションは、ケンジントン・ガーデンズに張られた青空の下のテントで幕を開け、会場には英国の音楽シーンと共鳴するようなエネルギーが満ちていた。
Daniele Oberrauch//LAUNCHMETRICS SPOTLIGHT
「音楽こそがファッションの最良の恋人。スタイルをつくるのはいつだってミュージシャンだった」と、ショー後のバックステージでリーは語る。今季のサウンドトラックは、これまでのローファイな選曲から一転、バーミンガム出身の伝説的ロックバンド、ブラック・サバスの楽曲が鳴り響いた。50年の歴史に幕を閉じ、今年ラストコンサートを迎えた彼らの音が、会場にパンキッシュな高揚感を呼び込む。
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テーマは“英国の夏”と“音楽”。フェスティバルやスタジアム、野外コンサートに漂うムードを取り込み、サウンドとスタイルが交差する瞬間を布地に封じ込めた。酸洗いのデニムはレザーのアウターと組み合わされ、フローラルプリントのTシャツやクロシェ編みのセットアップとともにランウェイへ。フリンジが揺れるコートやタロットカード柄のスカーフ、メタリックにきらめくトップス。そこにビタミンカラーと70年代風のアヴィエーターサングラスが加わり、ランウェイは音楽フェスのステージのように熱を帯びた色彩で塗り替えられていった。
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さらに今季は、手仕事のぬくもりを宿すクラフト感あふれるピースも数多く登場した。ハンドクロシェや刺しゅうで立体感を生み出したドレス、チェーンメイルのドレスやキルトに重ねられたカラーブロックのバーバリーチェック、ビーズやクロシェレザーのリンクで構成されたトップス。ニットウェアには精緻なボビンクロシェやマクラメのパネル、フリンジを大胆にあしらったスカーフが組み込まれ、触覚的な仕上がりがロックな感性に親しみを添えていた。
launchmetrics.com/spotlight
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バッグもまた、既存のフォルムを引き継ぎながら進化を遂げている。“ハムステッド”はバーバリーチェックのインターシャレザーを用いた新しいチェーンストラップのショルダーとして登場し、トートタイプはジップやメタルスタッズでモダンに仕上げられた。スエードの“タビストック”はウィップステッチとチェックのパーフォレーションで装飾され、フリンジを配したディテールが存在感を放つ。ブライドルバッグは馬具に着想を得たハンドルを備え、チェックモザイクやラッフル加工を施したナッパレザーによるスローチートートやスリングバッグへと展開された。
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ノスタルジアと未来志向が交錯するコレクションで、音楽とファッションの蜜月を再び英国の中心に据え直す。クラフツマンシップのぬくもりとロックの衝動、アウトドアの実用性と音楽フェスの高揚感。そのすべてが織り合わさることで、「バーバリー」は再び時代のリズムをまとうブランドとしての存在感を示したのだ。
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