展示会「PRONEWS SUMMIT 2025」において、株式会社コルグとヒビノイマジニアリング株式会社は、映画館でのライブビューイング体験を一新する画期的なソリューションを共同で公開し、多くの来場者の注目を集めた。
本システムの最大の特徴は、コルグが独自開発した高性能ソフトウェアエンコーダー「Live Extreme」と、市販のApple TVを組み合わせた点である。専用ハードウェアを不要とすることで導入コストを大幅に低減しつつ、映画館が持つ高品質なスクリーンや音響設備の能力を最大限に引き出すことを可能にした。これにより、観客はまるでコンサート会場の最前列にいるかのような、これまでにない臨場感と没入感を体験できる。
システムの核となる「Live Extreme」は、非圧縮のロスレス音源やハイレゾ音源、さらにDolby Atmosなどの立体音響フォーマットを、高画質な映像と共にインターネット経由で安定して伝送する能力を持つ。
一方、受信側では、ヒビノイマジニアリングがApple TVをデコーダーとして映画館のシステムに統合する技術を確立した。これにより、劇場側は大規模な追加投資を行うことなく、既存の設備を活用して極めて高品質なライブビューイングを提供することが可能となる。
このソリューションがもたらすメリットは大きい。観客は、従来のライブビューイングとは一線を画す、映画本編に匹敵する、あるいはそれ以上の没入感あふれる音響を体験できる。事業者側は、衛星配信などに比べて初期投資と運用コストを大幅に削減できるため、これまで採算が合わなかったニッチなイベントや地方での開催も容易になり、ライブビューイングの全国的な普及が期待される。
既に映画館での技術検証は完了しており、2025年後半には本システムを活用した複数の商業案件が予定されている。インターネット配信の柔軟性と映画館の優れた視聴環境を融合させたこの新たな試みは、ライブビューイング市場に革新をもたらすものとなるであろう。