世界の名だたる監督たちによる作品のプレミア上映のために、毎年業界の関係者たちがイタリアに集結するヴェネチア国際映画祭は、当然のことながら、煌びやかなパーティーにも事欠かない。会期中は多くのファッションブランドもイベントを開催するが、ミュウミュウ(MIU MIU)ほど、映画とファッションというふたつの異なる世界を、やすやすとつなぐメゾンはない。異なる世代の若手俳優に愛されているブランドであるのはもちろん、メゾンは15年以上にわたり、「Miu Miu Women’s Tales(ミュウミュウ 女性たちの物語)」プログラムを通して、女性監督による短編フィルムの制作を支援している。それを思うと、ミュウミュウがプラダ財団のヴェネチアの展示スペースで主催したパーティーが、映画祭の注目イベントのひとつであったことも頷ける。前日にフランス出身の監督、アリス・ディオップが手がけた「Women’s Tales」シリーズの最新章が映画祭でプレミア上映されたこともあり、パーティーへの注目度はかなり高まっていた。

水上タクシーで会場に到着したゲストたちは、まず展示スペースで開催中の現代アート展「Diagrams」を鑑賞。ヴェネチア建築ビエンナーレに合わせて今年5月に開幕したこの展覧会では、何百点もの貴重な資料が展示されており、戦争から健康、環境に至るまで、何世紀にもわたって人間がいかにして、自分たちが置かれている世界を理解するためにダイアグラム(図表)を使ってきたかを探る。それはまるで、イベントの出席者たちに会話のきっかけを提供するためのような内容だった。

プラダ財団のこの展示スペースは、18世紀に建てられたパラッツォ内にある。その3階で、豪華な顔ぶれのゲストたちは、先ほどまで鑑賞していた展覧会や、映画祭でプレミア上映されるさまざまな作品について語らっていた。レトロな花柄のホルターネックドレスを身につけ、自身の最新主演作『The Testament of Ann Lee(原題)』を手がけた監督のモナ・ファストヴォルドとともに現れたアマンダ・サイフリッド。揃ってミュウミュウが2025-26年秋冬コレクションで発表したコーンブラを着用し、料理を嗜みながら会話に花を咲かせていたエマ・コリンとアレクサ・チャン。窓際のテーブルで話し込むウィレム・デフォーとミウッチャ・プラダ。それぞれの連れは、その場にあった19世紀のリネンのテーブルナプキンに関心を寄せており、元の持ち主のイニシャルが刺繍されていることに感心していた。意外だったのは、ドウェイン・ジョンソンも出席していたことだ。最新主演作品『The Smashing Machine(原題)』のプロモーションのためにヴェネチアを訪れている彼は、共演者で友人のエミリー・ブラントと並んで写真撮影に応じた。

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