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『鬼ベラシ』

監督・脚本・撮影・編集・原案 大森研一
音楽 あらじん、石山惠之亮
主題歌 STU48
出演 中村舞、信濃宙花、YUNA、HINATA、杏花、久保田悠来、波岡一喜

 

「人口増となった鬼の削減に国が放った施策。それは鬼同士が命懸けで戦う「ツノ狩り」だった……」

……って何言ってるんだかわからないと思いますが、ここは頭に角を生やして強い力を持つ鬼がいる世界。鬼の存在は政府に公認されていたが、鬼絡みの犯罪などが増えた結果、政府は鬼の人口を抑制する方針をたてる。鬼は角を切られると「去勢」されて人間と変わらない存在になる(生殖能力があるのか、遺伝的にはどうなるのかは不明)ので、人間になることを拒否した鬼娘たちは一同に集められ、「みなさんには殺し合いを……いや角の狩りあいをしていただきます」という長くて説明過多なわりにツッコミどころだらけな設定に基づく「バトル・ロワイヤル(=殺人ゲーム)もの! いや、この映画バトロワだけじゃなく、およそ地域映画がらみのクリシェがすべて突っ込まれたいわば地域映画の闇濃縮版とも言うべき一本なのである。

 

 

 

 

まず監督脚本撮影その他を兼ねて一人で作っている大森研一。この人は瀬戸内海を舞台に地域映画を作りつづけている瀬戸内海地方の地域映画王として、皆殺し界では知らぬものなき存在。武田梨奈主演の宇和島図書館映画『海すずめ』、広島県三原市のゆるキャラ映画『やっさだるマン』、新居浜市市政八〇周年記念ファンタジー『ふたつの昨日と僕の未来』、オリンピック便乗砥部焼映画『未来へのかたち』など手広く地域振興案件を手掛けている。その大森研一が今回目をつけた先が愛媛県北宇和郡鬼北町。平成17年に合併で誕生した鬼北町だが、全国の自治体で唯一「鬼」の字が入る名を持つことを奇貨として「鬼」をテーマにした町おこしを模索していた(海洋堂の宮脇氏に話をもちかけて、鬼のモニュメントを作ったりしている)。そこに転がりこんだのがこの映画というわけだ。

主演はSTU48の中村舞。STUって? って思ったらSeToUchiの略で、秋元康プロデュースのAKB派生チーム・アイドルらしい。で、STUのメンバーもそうじゃないのも集めて、バトロワ形式の鬼映画、美少女が殺し合いすればみんな満足!ってよくもまあこんな安易なネタ考えたな、と言いたくもなる一本。演技の方はへっぴり腰で金棒を振るくらいならまだましなほうで、キャハハハ悪役とかおとなしい眼鏡っ娘と見せかけて……とか全部クリシェなんで目をつぶっていても展開がわかる奴。大森研一、ここまで安易な映画作りする印象はなかったのだが……

さて、そんなわけで毎年一度の「鬼ベラシ」イベントにかき集められた少女たち、揃いの黄色いツナギを着せられ、手足にリモコンでコントロールされる枷をつけられて、一両編成のローカル列車で鬼にゆかりの町、鬼北町まで連れてこられる。公民館の一室に集められた鬼少女は20人ばかり。ビートたけしの役どころをつとめるのは波岡一喜で、「大佐」と呼ばれているのだが別に軍人ではなさそうで、妙ちきりんな喋り方ばかりを気にしている男。彼が世にも嬉しそうにルールを説明するのだが、それによると

1)手かせ足かせのせいでバトル地域から脱出することはできない。
2)制限時間は12時間。そのあいだに角を狩りあって、最後の一人だけが許されて鬼のままでいられる。
3)鬼娘だけだとつまらないので、第47代桃太郎(久保田悠来)が二人の部下を連れて参加。ニヒルに角を刈っていくので、気をつけろよ!

「あの~角切るときに間違って頭ごとふっとばしちゃうこととかありますよね~それは許してもらえます?」

 

 

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