本気とサービス精神が鍵 “愛される番組”をつくる蜜谷流メソッド

――企画はどのように考えられているのでしょうか?

蜜谷:まずは、メンバーみんなのよさが引き立つ企画を意識しています。それに、なるべく早い時間帯に移行していきたいとも思っているので、そのためにはtimeleszを知らない人が観ても面白いと感じられる企画を模索中です。

 僕自身、この仕事を始めてからもう24年目くらいになりますが、これまでは年上の大御所のタレントの方とお仕事させていただくことが多く、学ぶことばかりだったんです。でも今は、timeleszのメンバーのために、これまで培ってきた知識や経験を総動員して、協力していけたらなと。その中で「これはゴールデンでも戦えるぞ」と思える企画を見つけて、早い時間帯を目指していきたいと思っています。

――やはり目指す先はゴールデン帯ですか?

蜜谷:必ずしもゴールデンじゃなきゃいけないことはありませんし、深夜だからこそ人気のある番組もたくさんあるんですけど。でも、社内でもこの番組を応援してくれる人が増えてきていて、「『タイムレスマン』を早くGP(ゴールデン・プライム)帯に上げた方がいいんじゃないか」という声も耳に入ったりするんです。そうなると、予算も増えると思いますし、やれることも増える。たとえば「海外ロケをやろう」なんてことも企画できたり、今ではできないこともできるようになるので、まずはできるだけたくさんの人にtimeleszの魅力を知ってもらうために動いていきたいですね。

――深夜番組だからこそいい、という番組ももちろんありますが、『タイムレスマン』はよりいろんな人たちに見てもらった方が面白くなる番組のような気がしますね。

蜜谷:GP帯は、子供からおじいちゃん、おばあちゃんまでが起きていて観ることのできる時間帯。timeleszはその層にもハマる存在で、いろんな世代の人たちが「応援したい」と思える存在になれると思うんです。それってきっと、彼らが一生懸命頑張ってるからだと思うんですよね。一生懸命頑張ってる人のことを嫌いな人ってなかなかいないじゃないですか。そこが彼らの才能のひとつかなと思います。

――確かに、ファンの方の年齢層も幅広いですよね。

蜜谷:僕の上司も「『タイプロ』を観て好きになっちゃったよ」って言っていて。「どんな曲をやる子たちなの?」「早くゴールデンに上げてくれ」なんて声が聞こえてきたりして(笑)。

――『タイプロ』の時から老若男女が応援しているイメージです。まさにそういう人を引き込む力がそもそも佐藤勝利さん、菊池風磨さん、松島聡さんの3人にあって、それが新しく加入した5人に伝播しているように思います。こういう番組にしていきたい、という具体的に目指している番組像はありますか?

蜜谷:ひとつ挙げるとすると、『スマスマ』ですね。『スマスマ』みたいに、たくさんの人に長く愛される番組にしていきたいなと思っています。

――では、どういう番組が“長く愛される番組”になると考えていますか?

蜜谷:まずは、視聴者に「メンバー8人を好きになってもらうこと」を前提として、その上で「愛される企画」が必要不可欠だと思っています。もちろん、それを生み出すのは簡単なことではありませんが。

――「こういう企画をしたい」「こういうものを見せたい」といった展望はあるのでしょうか。

蜜谷:今はなるべく、8人だけで成立する企画をやるようにしています。まだトークに慣れていないメンバーも多いので、普通であれば、まずは芸人さんなど話術に長けた方に出演してもらって面白さを補填しようという方向性に振ってもおかしくないと思うんですけど、それはあえてやらないと決めていました。メンバーの純粋なノリやキャラクターを掴んでもらった先に、「timeleszメンバーVSゲスト」といった企画を行っていくことで、また違った彼らのよさが出てくるのかなと思っていて。なので、今の計画としては8人だけでできることをガンガンやりながら、ゆくゆくはいろいろなゲストを招いていけたらと想定しています。

――ゲストの方と絡むことで、さらに化学反応が生まれそうですね。

蜜谷:先日、ゲストとしてHey! Say! JUMPの知念侑李さん、伊野尾慧さん、八乙女光さん、薮宏太さんにきてもらって、timeleszメンバーと「立道」対決をしたんですけど(6月22日放送)、めちゃくちゃ面白かったですし、Hey! Say! JUMPと長年の付き合いのある勝利、風磨、聡の3人が、先輩たちを前にすごく緊張していたのもかわいかったですね(笑)。なんとか食らいついていこうという感じも面白かったし、風磨が上手く新メンバーたちが絡めるように場を回している感じもありました。

 逆にHey! Say! JUMPの4人はあまり緊張感を与えないようにと気を配ってくれて、ありがたかったですね。timeleszのメンバーにとっては先輩ということで動きづらい雰囲気も少なからずあったと思うんですけど、「さっき楽屋でやってたやつをやってみたら?」「もっとやってみてもいいんじゃない?」というふうに助言してくれたり。先輩/後輩の緊張感はありながらも、その緊張感を和らげるようにHey! Say! JUMPのメンバーが歩み寄ってくれる様子が、なんというか歴史を感じられる良さがありましたね。お互い面白くなるように歩み寄っていた、非常にいい回だったなと。また、この回のMCは橋本(将生)くんが担当しているんですが、彼が噛みまくっているところも見どころのひとつだと思います(笑)。

『タイムレスマン』6月22日放送回

――確かに、橋本さんの活躍は印象的です。料理企画(5月11日放送「穴埋めクッキングマン」)の時は怒った表情も見せていましたが、あんなに面白い一面があることは知らなかったという視聴者の方も多かったかもしれませんね。

蜜谷:彼は、ムキになるところが面白いんですよ(笑)。多少尖った言葉を使っていても、彼が悪い子じゃないってことが視聴者に伝わっていれば問題ないと思いますし、むしろキャラクターとしての魅力にもなるんですよね。Hey! Say! JUMPとの対決でも、緊張しすぎて、直前まで上手くいっていたのに急に何も上手くいかなくなったりして(笑)。でも、そういう姿がまたかわいいし、よさなんだと思います。

――先ほど、番組として必要なのは「愛される企画を作ること」とおっしゃっていましたが、テレビマンとして出演者に求める姿勢や資質はありますか?

蜜谷:先ほども話した“本気でやること”と“サービス精神”ですね。まずは視聴者が楽しめることが第一なので、そのために「面白くしよう」と努めるサービス精神は忘れないでいてほしいですね。もちろん、彼らはアイドルなので、自分がかっこよく見えることを意識することや見え方を考えることも大切です。でも番組としては、それ以上に「観てくれる人を楽しませたい」という気持ちがないといけない。『タイムレスマン』において彼らはすでにその意識を持っているし、「番組を楽しんでもらいたい」という気持ちがすごくあるんです。だからこそ、何かが起こった時にも、それを面白さに昇華できる。全力でやって失敗したり、スベったり、かっこ悪かったり……そういうことが全部、彼らの愛されるポイントに繋がっていくんだと僕は思っています。

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