「建築家・内藤廣 なんでも手帳と思考のスケッチ in 紀尾井清堂」が7月1日から倫理研究所 紀尾井清堂(東京都千代田区)で開催されます。
本展は、日本を代表する建築家として知られ、現在進行中の渋谷駅周辺の再開発をはじめ、多くの公共建築を手掛けてきた内藤廣が過去40年にわたって残してきた「手帳」の中身をすべて公開するというユニーク展覧会。スケジュールやスケッチ、アイデアなど、すべてを能率手帳の中に収めてきたという内藤の思考や感情、試行錯誤の軌跡などが、内藤が手掛けた代表的な作品のひとつである紀尾井清堂の構内にずらりと並びます。
同時期に開催され、彼が携わった全45件のプロジェクトを紹介する展覧会「建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷」(渋谷・ストリームホール、7/25~8/27)とあわせて見て回れば、建築家・内藤廣についてより深く理解できることでしょう。
◇【プレビュー】「建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷」 渋谷 ストリーム ホールで7月25日から 渋谷駅再開発の中心人物が語る未来像とは
建築家・内藤廣 なんでも手帳と思考のスケッチ in 紀尾井清堂
会場:倫理研究所 紀尾井清堂(東京都千代田区紀尾井町3-1)
会期:2025年7月1日(火)~9月30日(火)
開館時間:10:00~16:00 ※火・木・土曜日のみ開館。
ただし、8月12日・14日・16日、9月23日は閉館
観覧料:無料
アクセス:・地下鉄「永田町駅」(2番出口)より徒歩5分・地下鉄「赤坂見附駅」(D出口)、または「永田町駅」(7番出口)より徒歩8分
・東京ガーデンテラス紀尾井町1F 北側出口より徒歩10分※駐車場なし。公共交通機関をご利用ください。
問い合わせ:倫理研究所 事務部 03-3284-2279(平日9:00~17:00)
建築家・内藤廣からのメッセージ
以前からノートにあれこれ書き込む癖があったが、1985年から、いわゆる市販のありふれた手帳にすべての情報を貼り込むことにした。妙にデザインされたものより、実用一点張りの手帳のほうが自分には相応しいと思ったからだ。以来40年間、能率手帳を使い続けている。
予定、スケッチ、アイデアの断片、展覧会やコンサートのパンフレット、なんでもこの中に納め、それ以外は手元に一切残さない、ということにしている。
この手帳には、私に関するほぼすべての情報が詰まっている。ページをめくれば、その時の自分の状態や周囲の状況をかなり正確に思い出すことができる。稚拙で足りない能力を駆使した苦い思い出ばかり。これだけ積み重ねても、進歩した、成長した、上手くなった、という自覚はまったくない。これまでも、そしてこれからも、悪戦苦闘は続くんだろうし、手帳も私が生きている限り、増え続けていくんだろうと思っている。
©内藤廣建築設計事務所
展示内容
3~5階:内藤廣の約40年分の手帳を年代順に公開展示
旅先でのスケッチや、思考の概念図、プロジェクト図面などが、1年毎に貼り込まれています。その他に設計図面や写真など、40年分の内藤の思考に触れられる展示です。
©内藤廣建築設計事務所
2階 「言葉の曼荼羅」
内藤 廣の近著から、印象的なフレーズを抜粋し再編集したものを展示します。
1階 「東日本大震災への鎮魂」
18,800個のガラスピースを、リング状に再構築したインスタレーションです。
建築展といえば、映像や模型、設計図、作家へのインタビューなど、様々な角度から資料を準備されるのが通例ですが、本展は、一般的な建築展ではほとんど開陳されることがない、建築家の「手帳」に焦点をあてたユニークな展示となっています。建築家・内藤廣が過去40年間に何に興味を持ち、何を考え、悩み、喜怒哀楽を感じてきたか、そのイメージの源泉がたっぷりと感じ取れるでしょう。また、展示空間自体にも要注目。紀尾井清堂は、内藤廣が手掛けた建築作品のなかでも、1~2を争う個性的なフォルムで知られています。ガラスのファサードに覆われた正四面体のユニークなコンクリート造りの建物のなかで、神殿のような静寂さに包まれながら、じっくりと内藤廣の思考の軌跡に没入してみてはいかがでしょうか。(美術展ナビ)
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