2025年5月19日

PCから投稿

鑑賞方法:VOD

渋谷の公衆トイレの刷新プロジェクト「THE TOKYO TOILET」をモチーフにした映画。このプロジェクトについては何度か報道も目にしており、いかにも「日本らしい」取り組みだと感じていた。映画はその「日本らしさ」、とりわけ「TOKYO」らしさが上手く詰め込まれている。近代的で華やかで賑やかな大都会の隙間にある庶民的な下町・銭湯・古アパート。ハイテクな公衆トイレの側にある穏やかな日常、そういった一見相反する性質のものが器用にミックスされている様子がよく表れている。この映画に限らず、多くの映画や写真などでも表されるものでもあるが、だからこそやはりそれが「TOKYO」なのだろう。

ストーリーは小さな起伏がありながらも淡々とした主人公の日常を淡々と描いている。
その雰囲気はもはや「邦画」であり、監督の感性が日本に合っているというのが窺える。
ストーリーの起伏が小さいながらも画面に見入ってしまうのはやはり主人公を演じる役所広司の力量が大きい。ちょっとしたしぐさ・表情がその人物の感情の些細な起伏を表す。トイレ清掃の様子・部屋の佇まい等々、彼の性格を表現する設定は随所にありよく練られているが、それ以上に役所広司の存在が役を雄弁に語るのである。
物語としては小さな起伏の詳細が「雰囲気」で伝えている感もあり、それに関しての感動はないが、見終わったあと「一人の人間を見た」実感が残る。
(ただ、そういう「役所広司ショー」と言う意味では「すばらしき世界」の方がより優れていると思う)

他の役者さんについても地に足の着いた実力のある役者が揃っている。
(石川さゆりと田中泯は本来の才能が生かされた役)
特筆したいのはアオイヤマダ。この人は本業はパフォーマーとのことだが物凄く存在感がある。また、役柄としても「ド派手でガールズバーで働く女の子が案外良い子」というのもなんだか「TOKYO」らしくて良いと思う。

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