大型連休はいかがお過ごしでしたか。わが家は実家の父を誘って日光方面にトレッキングに出かけたり、妹弟家族と一緒にBBQをしたり、と久しぶりに家族が揃い賑やかなひと時を過ごしました。

アウトドア 奥日光トレッキング ヤマツツジ奥日光にある「井戸湿原」はこれから5月末にかけてヤマツツジが見ごろをむかえます。リトル尾瀬とも呼ばれているそうですが規模感はかなりコンパクトでした(笑)。今年も尾瀬トレッキングを計画中です。
「人生の中やすみ」から抜け出すきっかけは?

さて、私事で恐縮ですが昨年末に離職し、現在「人生の中やすみ中」です。やりたいことをする!と決めて、まるっとお休みしながら遊び惚けること早数カ月。遊びの合間に、今までの実務スキルを上げるべく資格取得勉強などもしていますが、肝心の「次へ」と向かう気持ちになかなか至らず、正直時間がかかりました。

特に離職して間もない頃は、周囲が普通に仕事をしている中、自分で選んだとはいえ休んでいることに対する後ろめたさのような気持ちが常にあり、イキイキと働く人(もちろんそう見えるだけで、皆さん様々な背景があるわけですが)が羨ましく思えたり、「そもそも休暇は普段の労働があってこその対価なのでは」……などと考えては、やりたいことにだけフォーカスしている自分がふと無益に思えたり……。

でも何となくどこかでそんな自分の姿を予測していたところもあり、想定内!と開き直る気持ちと諦めにも似た気持ちとを、日々行ったり来たりしてたように思い返します。そんなモヤモヤな気分になるのが嫌で、SNSとはあえて少し距離を置いていました。

イマソラ 夕焼け 散歩モヤモヤしたときは外へ!ちょっと歩くだけでもリフレッシュできますが、こんな風に美しい夕焼け空を眺めたり、移り行く自然を愛でるだけで不思議と元気になれました。

「次へ」と向かう気持ちをそっと後押ししてくれたのは、家族や友人たちと過ごす時間の中からの気付きだったり、またこの期間かなりのハイペースで本を読んでいたのですが、そんな本の中から教えられたこともたくさんあったように感じています。社会復帰なんてもう無理かも……という燃え尽きた感から抜け出せずにいた時期を経て、やっぱり何かしら社会の中で役立ちたい!と自然と思えるようになってきたこれまでの経緯を振り返ると、「私にとってゆっくり休む期間は必要だった」と今素直に認められる自分もいます。

さて、今回は最近読んだ本の中から「再起に向かうことを後押ししてくれた本」として何冊かご紹介したいと思います。同じ本を読んでも、読む人のその時の心の持ちようで響いてくる部分って違いますよね。あくまでも今のわたしの個人的な感想として書いておりますが、どれも読み終えるころには明るい未来が少し見えてくる、そんな本を選んでみました。どなかたの参考になれば嬉しいです。

本の情報を得る手段について

ここ最近は、選書に関するBSテレ東の『あの本、読みました?』や選書に関するポットキャスト番組などの影響で、新しい視点で本を選ぶことも増えてきました。LEE100人隊の皆さんの読書に関するブログも楽しく拝見しております。自分では見つけられなかったはじめまして、の作家さんとの出会いもあり、改めて本の世界って奥深いなーとしみじみ。

紹介された本の中から気になるものを書き留めておいて、積読がひと段落したら本屋に行き、リストの中から数冊購入するスタイルが定着しています。デジタル文庫も普及していますが、わたしにとっての読書は手に取って本を読むこと、100%アナログ派です。

適正な読書時間についての考察

ところで「読書に充てる適正な時間配分」って難しいですよね。ビル・ゲイツ氏は一日一時間は読書に集中する時間を確保することを推奨しているそうですが、お忙しい中でもしっかりと日々の生活ルーティーンが確立しているところがなんとも偉人らしい。かく言うわたしは実に非計画的で、長編小説などは没頭すると寝食に支障をきたすほどのめり込み、自己管理が全くなってないタイプ。切り上げ時を甘く見積もり、あきらかに夕飯の献立が手抜きになったり、お風呂の時間が異常に長くなったり…と、家族にも迷惑をかけているだろうなぁとうっすら自覚しています(自己管理……)。

40代の積読 読書 読書時間集中して読みたいときは、ソファに座って飲み物を側に。積読派なので、いつもこんな感じです。

そうは言っても、毎月数多刊行される本のうち一生かけても読める本なんてごく一部でしかないと思うと、もっと読みたい欲が出てくるのが正直なところ。好きなだけ本を読んでいいと言われたら、何時間でも読んでいられる自信があります!偉そうに言うことじゃないけれど……。一人で好きなだけ本の世界に没頭するためのホテルもいくつかリストアップしているので、今年中にどこか行きたいなとも思っています。

仕事をやめてから手に取った本①『休むヒント』群像編集部編

こちらもある方が紹介されていた1冊。作家、占星術家、料理研究家、お笑い芸人、歌手、声優……と様々なジャンルの著名な方による「休み方」についてのエッセイ本。

休むヒント 読書 エッセイ本作家の藤代泉さんが「産後うつ」になり3年間ずっと休んでいた頃の話「離れる時間」がわたしの心に響きました。今改めて読み返してみると、しっかり休んで次への活力を養うその過程が自分自身に重なり、優しく背中を押してもらったような気がしています。

サブタイトルは「休みなよ、って言われても。」です。ちょうど離職して、抜け殻同然になっていたころに手に入れた1冊。それまでのわたしの働きぶりを知っている周りの家族や友人は仕事を辞めたわたしに向かって、こぞって「ゆっくり休みなよ」と言ってくれました。自分でもそうするつもりだったのですが、「休むってどういうこと??」となっていたわたしにとって救世主のように思えた1冊でした。

しかし読み進めるうちに、ほとんどの方は普段お仕事があって、仕事がない日をどう過ごすか…ということについて述べられていることに気付き、そもそも毎日がお休みのような自分自身がとてもダメ人間に思えた1冊でもあります(苦笑)。仕事に翻弄されるような日が期せずともまた来てしまったら(そんなの嫌だけど)その時はまた違った目線で読めるのではないかなと思っています。

仕事をやめてから手に取った本②『ここじゃない世界に行きたかった』塩谷舞

暮らし、文化芸術、社会問題について独自の視点で綴られた、文筆家である塩谷舞さんのエッセイ集。塩谷さんがわたしよりひとまわりも歳下と知った時の衝撃たるや。noteがきっかけでしたが、気がついた時には彼女が綴る文章の中に潜む思慮深さや、自分の考えを丁寧に紐解き、まっすぐな言葉に紡ぐその聡明さに惹かれている自分がいました。好奇心のベクトルの多様性、様々な文化に対する深い考察にいつも刺激をもらっています。

塩谷舞 ここじゃない世界に行きたかった 読書書籍の中に時折差し込まれる、海外生活に明るい塩谷さんが切り取る見知らぬ街の風景や、独自の審美眼で選び抜かれたミニマルで美しい生活空間が収められた写真もこれまた素敵。自分に正直に必要のないものを手放すその潔さもカッコいいと感じています。いつも手に取るところにおいて置きたい、そんな1冊に出会えたことが素直に嬉しいです。

目の前のことをただ鵜吞みに受け取るんじゃなく、観察してどう感じるのかを自分に問いただすこと、その気持ちを書き留めることで新たな気付きを得るプロセスが当時の自分には必要なことだったと感じています。自分にとって大事な物事を見極め、能動的であるべし!と優しく喝を入れられたような、そんな一冊です。

長編小説①『ありか』瀬尾まいこ

楽しみにしていた瀬尾まいこさんの新刊は発売後すぐに購入しました。瀬尾さん自身が「自分自身をここまで物語に描いたのははじめて」とおっしゃる本書は、シングルマザーの母美空と保育園児である一人娘ひかりの1年間を綴った物語。日々の何気ないやりとりの中に潜む親子愛、親子が関わる周りの人々との繋がりを通して広がる世界にもあたたかな繋がりを感じ、親子の未来に幸あれと願わずにはいられない、そんな作品でした。

瀬尾まいこ ありか 読書装画は荒井良二さん。優しい光に満ちた虹や色とりどりの花たちが散りばめられた、あたたかな色彩は本のイメージどおり。

愛らしい親子の会話に自分自身の子育てを重ねては、ただただわが子を愛おしく慈しむ気持ちに共感したり(いや、正直2人目を出産後の子育て期間についてはほとんど記憶にございません…)。時折すっと差し込まれる実母との緊張感あるやりとりのシーンは、読んでいるこちらも思わずドキドキしてしまいましたが、一方で親子に差し伸べられるいくつもの優しさはどれも思いやりにあふれていて、差し引いても圧倒的に愛や温かさが勝る作品。

わたし自身が、周りに助けてもらうということが割と苦手なタイプなので、美空の素直で甘え上手にも見える一面がちょっと羨ましくも感じたりもしましたが、大事な人たちに支えてもらっている自分自身の恵まれた環境にも気付くことができ、幸せな余韻にしばし浸った1冊です。

長編小説②『カフネ』阿部暁子

こちらは今年の本屋大賞を受賞した作品なのできっと多くの方が読まれていますよね。ノミネートされた段階で手に取りましたが、わたし自身もとても好きな作品でした。家族の死をきっかけに出会った二人の女性が、それぞれの得意分野、料理と掃除を活かし「家事代行」という仕事を一緒にする中で、出会った頃には思いもよらない関係を築き上げていく、そんな物語。

2025年本屋大賞受賞作品 カフネ 読書

登場人物それぞれが人生のどん底を経験し、そこから這い上がってきた人たちばかり。辛い経験を乗り越えたからこそ、優しさや逞しさを得て、誰かのために生きる、ということを体現しているキャラクターたちがみんな愛おしく、何度も涙腺が緩みました。そして生きることへの希望となる温かな食事の数々がどれも美味しそうで!そして人生の中休み中にいるわたしにとっては、やっぱり社会の中で何か役立てる仕事がしたい、と無性に思えた(そして重い腰を上げるきっかけになった)そんな1冊でもあります。

 2025年本屋大賞受賞作品 カフネ 読書カフネ、カバーを外すと美しいモスグリーン地にキッチンツールとお掃除ツールのイラストが。単行本ならではのこういう小さなこだわりを見つけるのも、読書の醍醐味です。

長編小説③『風待荘へようこそ』 近藤史恵

近藤史恵さんの作品は『旅に出るカフェシリーズ』以来。主人公の丁寧な心理描写と、随所に描かれる数々の料理シーンが本作品でも魅力的に描かれています。こちらは夫と離婚し一人娘とも離れ、シングルになった眞夏が京都のゲストハウスを手伝うことになり、新しい人生をリスタートするところから物語が始まります。

近藤史恵 風待荘へようこそ 読書料理の描写と個性的な登場人物が魅力的な近藤史恵さんの作品は映像化したら絶対におもしろいだろうなぁと。読みながら、映像化するならどんな配役がいいかなーと勝手に妄想するのもまた楽しい。眞夏は吉田羊さん、波由は奥山葵さんかなーとか。

京都で出会う人々との関わりを通して、少しずつ自分らしさと元気を取り戻し、新しい環境の中で逞しく生きていく中で、家族との関係性にも少しずつ変化が見られていきます。清々しささえ感じるラストシーンも希望にあふれていて、個人的にはぜひ続編が読みたい!とも思っております。物語に散りばめられた京都らしさ溢れる食材を使った料理はもちろん、地元の名店も出てきて、京都に行きたい思いがふつふつと!

人生の分岐点に立ち、そこから自分らしい生き方を模索していく姿に勝手に自分自身を重ね、勇気をもらった1冊です。

長編小説④『仕事のためには生きてない』安藤祐介

これはとあるポットキャスト番組で紹介されていた1冊ですが、タイトルが潔い!

番組では毎回リスナーからのリクエストに応じた選書を紹介してくださるのですが、ここで知った作家さんや手に取った本も数多く、安藤祐介さんの作品もこの番組がきっかけでした。本作はリスナーの方からの「仕事には真面目に取り組みたい。だけどもう少し肩の力を抜いてギアを緩められる自分でもいたい」そんなリクエストに対する選書でした。ずっとギアを上げることばかりに夢中になっていた自分にとって、仕事への取り組み方を改めて見つめ直すきかっけにもなった1冊です。

安藤祐介 仕事のためには生きてない 読書安藤祐介さんご自身が仕事による過労で退職されたご経験があるそうで、他にも働くことを題材とした著書を多く執筆されています。次は映像化された作品『畳間のピアノマン』を読んでみたいと思っています。

特に本書の中で”自分の周りの半径5メートルを少しずつ良いほうに変えていくため”に掲げる「スマイルコンプライアンスの12箇条」なるものが出てくるのですが、これが良い。例えば「困った時は騒いでみんなに助けてもらい、みんなで早く帰れる職場にしよう」とか(いいね!)。中には自分自身が日々仕事をするうえで心掛けていたことに通じるものもあり、こんな職場っていいなぁ!と素直に共感できた1冊。後半、会社の理不尽な重役に果敢に立ち向かっていく姿も痛快で後味良く読破しました。

再起に向かう40代女子の読書選 読書 おうち時間老眼が進んできたことを実感しているので、なるべく明るい時間に、明るい場所で本を読みたいと思っています。昔、親に同じこと言われてたなぁ。

ゆるゆると再起へ向けて動き出しました

さて、今回は次へと向かう気持ちを後押ししてくれた本をご紹介しました。48歳という年齢、そして10年以上ぶりの就職活動を始めたところですが、分かっちゃいたけれどやることがたくさんあり日々奮闘中です。自己分析にはじまり、書類の準備、面接対策にSPI対策、資格取得勉強も並行しているため、常に時間が足りない!!状態ですが、今までのんびり過ごさせてもらい活力は十分蓄えたので、目指す目標に向かって自分のペースで歩んで行こうと思います。

LEE DAYS club clala
clara

48歳 / 埼玉県 主婦

夫と2人の子ども、猫(♂)との暮らし。自分に必要なものをその時々で取捨選択し、日々心穏やかに過ごせるよう心がけています。ひと手間かかっても五感を満たしてくれるもの、丁寧に作られたものを好みます。

背中を押してもらえる本、こちらでもご紹介しています♪

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