舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」で主演する藤原竜也
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村上春樹氏の小説「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」が舞台化され、俳優の藤原竜也(43)が主演する。村上氏原作の作品に初めて出演する藤原は「俳優人生のターニングポイントになるかもしれません」と胸を高鳴らせている。
幻想的なファンタジー「世界の終り」と、波瀾(はらん)万丈の冒険活劇「ハードボイルド・ワンダーランド」の異なる2つの物語が並行して描かれる同作。1985年に出版されると同年の谷崎潤一郎賞を受賞。村上氏の「最高傑作」と推す声も多い。
一方、複雑な展開ゆえに舞台化は困難とされてきた。演出を務めるフィリップ・ドゥクフレ氏は「“舞台化するなんて到底無理だ”とすら感じた」と話す。だがそんな難題だからこそ、92年アルベールビル冬季五輪の開閉会式も手がけた世界的演出家の魂に火を付けた。「不可能を可能にするこのプロジェクトに取り組めることに、胸が高鳴っています」と鼻息は荒い。
藤原と村上作品との出合いは10年前。主演舞台「ハムレット」のロンドン公演後、同じ劇場で連続上演された「海辺のカフカ」を観劇した。「村上ワールドに引き込まれたのはもちろん、満席のお客さまが時には声を上げて笑いながら、舞台に興奮していた」と今でも鮮明に覚えている。10年の時を経て村上氏と待望の初タッグ。世界的演出家のもとで難解な同作をどうつくり上げるのか注目だ。来年1月に東京・池袋の東京芸術劇場で開幕する。
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