国内で30万部を超えるロングセラーとなっている柚木麻子さんの『BUTTER』は、Polly Bartonさんによる翻訳で、2024年2月にイギリスの出版社4th Estateから刊行されました。刊行直後から大きな話題となり、イギリスで40万部以上、アメリカでも10万部以上のベストセラーとなっています。

同書はこの度、「The British Book Awards 2025」のDebut Fiction部門を受賞しました。「British Book Awards」は、イギリスの出版業界誌『The Bookseller』が運営し、英国の最高の作家とその作品に贈られる文学賞です。

『BUTTER』はすでに、昨年11月にイギリスの各書店がノミネート作を選出し、読者の投票で選ばれる「2024 Books Are My Bag Readers Award」の「Breakthrough award category」を受賞。そしてイギリスの大手書店チェーンWaterstonesが選ぶ「Waterstones Book of the Year 2024」も受賞しています。

今回の「The British Book Awards 2025」のDebut Fiction部門の受賞により、『BUTTER』はイギリスで3冠に輝きました。

 

『BUTTER』のご紹介

「どうしても、許せないものが二つだけある。フェミニストとマーガリンです――。」

そう語るのは、「カジマナ」こと梶井真奈子。男たちの財産を奪って殺害した容疑で拘置所に収監されています。週刊誌記者の町田里佳は梶井との面会を続けるうち、彼女の語る美食に絡めとられるように、自身の人生や価値観を変えてゆくことになります。

男性優位社会に適応する。ルッキズムを内面化する。身体が悲鳴をあげるまで働く。本作は、そうした生き方に疑義を唱え、すべての人が自分で自分をケアしながら、ゆるやかに連帯することの重要性を問いかける長編小説です。

2020年1月に文庫版が刊行されると、同年夏にはフランスから翻訳オファーが届きました。その後もドイツ、イタリア、スペインなど各国からオファーが相次ぎ、現在、世界36か国で翻訳が決定しています。

 柚木麻子『BUTTER』柚木麻子『BUTTER』『BUTTER』
著者:柚木麻子
発売日:2020年2月
発行所:新潮社
定価:1,045円(税込)
ISBN:9784101202433

男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)。若くも美しくもない彼女がなぜ――。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳にあることを命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。各紙誌絶賛の社会派長編。

(新潮社公式サイト『BUTTER』より)

 

柚木麻子さんの受賞コメント

柚木麻子柚木麻子©新潮社

大変光栄です。この作品を素晴らしい形で翻訳してくださったポリー・バートンさん、4th Estateの皆さま、書店の皆さま、そして読者の皆さまに心よりお礼申し上げます。

 

著者プロフィール

柚木麻子

ゆずき・あさこ。1981年東京生まれ。2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞し、2010年に同作を含む『終点のあの子』でデビュー。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞を受賞。ほかの作品に『私にふさわしいホテル』『ランチのアッコちゃん』『伊藤くん A to E』『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』『らんたん』『ついでにジェントルメン』『オール・ノット』『あいにくあんたのためじゃない』などがある。

 

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