ソフトの世界とハードの世界が交差する

今回のアフィーラ1をホンダが携わった新型車と見ると、物足りなく思う人がいるのは当然のことかもしれない。ホンダは同じCES 2025で「Honda 0(ゼロ)」シリーズの「Saloon(サルーン)」と「SUV」のプロトタイプを披露し(参照)、あわせて専用ビークルOS「ASIMO(アシモ)OS」の搭載を発表した。アシモの進化の歴史を見てきた世代にとっては心くすぐられる話だ。わかりやすい話題が多く、出展車両も目立つものだったHonda 0と比べると、アフィーラの発表は、モノに寄った既存の自動車の物差しで見ると、いささかわかりづらいものだったかもしれない。しかし、それぞれ異なるアプローチである点にこそ価値がある。

ホンダは1980年代にASIMOの開発を開始し、2022年にいったんプロジェクトを終えるも、そこで培ってきたノウハウをここに復活させた。ソニーは1990年代から手がけてきたグランツーリスモというコンテンツのコア技術をリアルな世界に持ち込んだ。ハードウエアから始まったASIMOがOSとなってITの世界に息づき、ITの世界で育まれたグランツーリスモの技術がEVというハードウエアのなかに根ざす。そう考えると、なかなかにドラマチックな展開だ。

将来的には車内の体験価値向上に視覚や触覚、嗅覚、さらには味覚までも関わるようになるかもしれない。今までにない感動体験のための仕掛けをつくるには新しいパートナーシップが必要となるはずで、SHMはアフィーラをアイコンにその仲間を集めていくのではないだろうか。まずは2026年に予定されている日本国内でのアフィーラ1の発売を待ちたい。

(文=林 愛子/写真=ソニー・ホンダモビリティ/編集=堀田剛資)

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「CES 2025」ではホンダも「Honda 0」シリーズの2台のプロトタイプを公開。両車に搭載予定のさまざまなデジタル技術やソフトウエアについても発表し、大いに注目を集めていた。


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「アフィーラ1」の車内には、シートごとに最適化された独自のサウンドシステムとディスプレイを配置。SHMでは社外のクリエイターやデベロッパーとの共創により、この車内で提供する、走行・車両データを用いたモビリティーならではのエンターテインメントの創出にも取り組んでいる。


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「CES 2025」のプレスカンファレンスでは、すでにパートナーシップを結んでいるコンテンツサプライヤーなどもあわせて紹介された。アフィーラならではのUXの実現は、こうした仲間づくりに成否がかかっているのだ。


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