【スカッと総集編】中途入社した俺が1ヶ月で独自システムを構築すると部長「特許は俺の名前で出したぞw」俺「あとは任せました」→翌月、部長「システムトラブルだぞ!無能が!」俺「全権利はお前にあるので失礼」

[音楽]
特許は俺の名前で出した
ぞこのシステムを開発したのはうちの会社
だし特許の所有者は会社でもお前でも俺で
も何も変わらないよなニヤニヤしながら
言う腹部町に対し言葉が出ないどうして
こんな人を信じて特許申請を任せてしまっ
たのだろう
を取り下げるつもりはないんですねそりゃ
そうだろニヤニヤ笑いながら言う腹部を
睨みつけ俺はため息をつくあは任せました
そう言って小さく一礼し資料などを全て
紙袋に詰めると会社を後にしたのだっ
た会社を辞め家で過ごしていたある日の
こと突然原町から電話がかかってきた
システムトラブルだぞ無が原町の声は怒る
というよりパニックを起こしているように
聞こえるしかしこのシステムトラブルが
起こることは正直言えば予想できていた全
権利はお前にあるので失礼俺は笑いを
こらえながらそう言うと返答を聞かず電話
を切ったの
だ俺は村中ゆ41歳の会社員だがめいる会
は社員100名ほどの印刷会社である元々
俺は全く違う会社に勤めていたがその会社
が突然倒産急に働き先がなくなって途方に
くれていた俺に手を差し伸べてくれたのが
社長である田中孝介さんだ孝介さんとは昔
から知り合いで俺の事情を聞くとすぐに
この会社に中途入社させてくれたのである
こすさんは俺の父の幼馴染みだった家が
近所でいつも一緒に遊んでいた2人は好き
になる女の子も一緒だったのだとか学力も
ほぼ一緒だったので高校大学も一緒でそれ
こそ腐れ園というやつである幸介さんには
俺より5歳年下の息子シがおり兄弟がい
なかった俺にとってシは弟のような存在だ
毎年家族ぐるみでハワイ旅行に行くという
のが高齢行事だったのだ
がシが21歳俺が26歳の時の旅行での
ことだ生が不慮の事故で亡くなったので
あるこの時のことは今でも鮮明に
思い出せるが例えて言うならば自分の体の
半身を失ったような感覚これからどう生き
ていけばいいかわからない
そんな感情を抱いたこすさんの落ち込み用
は俺よりひどく全く食事を取らなくなり
仕事にも行かなくなりどんどんやれていき
奥さんが気場に支えていたがこすさんが
立ち直ったと言えるまでに10年ほど
かかったように思う生がなくなってからは
家族ぐるみで付き合う機会もほぼなくなり
会うのは毎年の明日のみだっただが不思議
な縁で今回孝介さんの会社にお世話になる
ことになったのだこすさんの会社は大きな
ビル1等が全て会社だ100人の社員で
この大きさは少し不つり合いだが幸介さん
のお父さんが元々大きな不動産会社の社長
だったことからそのツてで譲り受けたビル
なのだそうビルの3階までがオフィスで
その上は倉庫という何とも贅沢使い方だ
ゆうと仕事には慣れた
かすさんは毎日のように俺のデスクに来て
は声をかけてくれるはい皆さん親切で
とてもやりやすいですそうかそれはよかっ
たそんな会話だけしてオフィスから出て
いくこすさんを上司の上木深夜が驚いた
表情で見ている社長まるで別人だよえ上
さんは俺の教育担当をしてくれている人で
容が良く頭の回転がいい新卒からこの会社
にいるそうで仕事内容でわからないことは
ないという感じだ村中君が来てから社長は
毎日ここに顔出してるけどあんな優しい
表情は何年ぶりか息子さんが亡くなって
から社長は社長室にこもりっきりで俺たち
一般社員とは全く交流しなくなったんだ
そうなんですねん
は俺にとって少し複雑だった俺が知って
いるさんは今みたいにいつも俺を気にかけ
てくれる優しいおじさんという感じもしか
したら俺の前だからと無理しているのかも
しれないだから俺たち社員は村中君に感謝
してるってこと社長がいい人なのはみんな
分かってるからさ少しでも元気でいて
ほしいわけよあい無駄口叩いてんじゃねえ
ぞとさんが話しているのを見て不機嫌そう
に割って入ってきたのはこの部署の部長原
友和だ原部長が話し始めると社員全員が
シーンと黙り込むのであまりみんなによく
思われていないということが伺える俺は
まだ直接関わるような仕事をしたことが
ないので何とも言えないが常に高圧的な
態度な腹部は苦手な部類ではあったいつ
まで喋ってんだ事中だろすみません上木
さんは俺の教育担当だし話をするのは不
自然なことではないそれにうちの部署は
社員同士でコミュニケーションを取り
ながら進める仕事が基本だ頭ごなしに喋っ
てはいけないなんて学校の授業じゃある
まいしそんなことを考えながら謝っている
上木さんに習って俺も頭を下げた全く社長
ので入ってきたらしいけど非常にも程が
あるだろう無駄話はうちの仕事を全部覚え
てからにしろよお言葉ですが村長君はうち
の仕事内容はすでにほぼ完璧に覚えてます
よ入社前に渡してあったマニュアルを
しっかり読み込んできてくれたので
飲み込みがスムーズなん
です上木さんがむっした様子でそう話す何
も知らない腹部長が俺のことを悪く言って
いるのが気にいらない様子だああ入で全部
の仕事が覚えられるわけないだろうそう
いう嘘はいいんだよ鬱陶しいの村中がうち
に来てから社長が毎日この部署に顔を出す
ようになって本当に迷惑してるんだ社長は
今までみたいに社長室に引きこもってれば
よかったのに
なあ原町の言葉はあまりにも苦手だ他の
社員がコスさんが元気になって喜んでいる
のに原町だけは前の方が良かっただなん
とにかく社長のお気に入りだからって俺は
悲とか絶対にしないからなそう言って腹部
長は俺を睨みつけてオフィスを出ていって
しまった俺が呆然とその背中を見つめて
いるとうちの会社は結構年高序列で昇進し
ていく感じの会社だから能力とかに関係
なく部長までは上がっていけるんだあの人
は無能なのに部長になってしまった典型的
なパターンかなと上木さんがため息混じり
に言った無能だろがもう少し謙虚な姿勢で
いてくれたら俺たち部下もついていく気に
なれるんだけどあんな感じじゃなやれやれ
といった感じで肩をすめる上木さん原部長
がこの部署で孤立しているのは明らかだっ
た前の会社は実力市場主義で年序列なんて
言葉は聞いたことがないほどだったので
正直この会社の仕組みにはまだついていけ
てないしかしここでやっていく以上腹部町
とはなんとかうまくやっていかなければ
ならない
だろう俺がこの会社に入って2ヶ月が経つ
入社1ヶ月ほどが経てば仕事内容はほぼ
完璧に1人で行えるようになっていた俺が
配属された部署は既存客からの発注を精査
し印刷部署に回すという
これだけ聞けば単純で簡単だと思われるか
もしれないがそもそも発注の量が膨大で
しかもそのデータは企業ごとに違う拡長子
で送られてくるそれを1つ1つ確認し不が
あったら企業に連絡してと相当時間が
かかる作業なのだよしできましたこの日俺
が完成させたのは発注データの拡張を自動
的に変換しAIが今までのデータをもに
精査するというシステムだこれまで人の手
で行っていた部分のほとんどを機械が行っ
てくれることによってかなり時間短縮に
なるのはもちろんミスが激減する俺の前の
仕事はシステムエンジニアだ企業から依頼
された様々なシステムを作ってきた経験が
あるこの会社は社員もみんな優秀だし売上
も申し分ないしかし社員が優秀であるが
ゆえに機械でできることも社員がやって
しまい人件費がかかるというのが問題だと
思ったのだ
ああ本当に1ヶ月でできたのか俺の言葉を
聞いた上木さんが関心しながらこちらに
歩いてきた周りの社員たちもざわつき
ながら集まってくるいやあまさか本当に
完成させるとはな
これを作っている間皆さんが仕事を変わっ
てくれたおかげ
です1ヶ月前俺がこのシステムを作ると
上木さんたちに相談した時最初はみんな
半身半疑だったそんなシステムが作れるの
か作れたとして実用までにかなり時間が
かかるのではないかそう言われたのだその
意見は最もで本来ならこういった企業向け
のシステムを作るのはかなりの時間が
かかるしかし時間をかけて作るなら専門の
会社に頼めばいいのだ俺が作る必要はない
しばらくは使いながら様子を見て直して
いこうと思いますああ全部お前に任せるよ
このシステム特許の申請はするんだよな
上木さんの言葉に俺は頷くはい一応しよう
と思ってます特許申請は俺が代わりにやっ
ておくよにたのはぶだ今まで見たことが
ないほどの笑顔でこちらに歩いてくる
いやあ本当にそんなシステムを1ヶ月で
作るなんてすごいな社長が見込んだだけの
ことはある今まで俺にかけてきた言葉と
真逆のことを言い出す腹部長に俺を含めた
社員たちは呆然手のひら返しとはまさに
このことだと誰もが心の中で思っている
だろうお前ならってくれると思ってたよ
特許申請は部署長の俺が代表してやろう
村中個人で特許を持つか会社が持つかは俺
が社長と話し合って決める感じでいいか
はい構いません俺は少し疑いの気持ちは
ありながらも腹部長にそのままお願いする
ことにしたのだっ
たシステム完成から1ヶ月ほどが経つこの
1ヶ月はシステムを使うのは俺のみだった
が少しずつ他の社員にも教えていける
だろうかそんなことを考えていたある日
システムの特許申請しといたからな原部長
が俺に声をかけてきた特許申請について原
部長に任せきってしまっていたので忘れて
いた部分もある結局特許を俺が持つのか
会社が持つのかすら聞いていないよかった
です手続きありがとうございました結局
会社の名前で出したんですかいや特許は俺
の名前で出したぞえ俺は聞き間違いかなと
首をかしげて聞き返す原部長と俺の会話を
聞いていた社員たちも驚いた様子でみんな
手が止まったすみません今なんてだから
特許は俺の名前で出したんだこのまま審査
が通ればシステムは俺が作ったってことに
なるだろうな信じられない言葉に俺はア然
とするハブ町は一体何を言っているんだ俺
が作ったシステムの特許が自分だとそんな
ことは本来あってはならないどうして
そんなことは別に特許なんて誰が所有して
もいいだろうこのシステムをうちの会社で
使うのは間違いないんだし会社でもお前で
も俺でも何も変わらないよなニヤニヤし
ながら言う腹部に対し言葉が出ないどうし
てこんな人を信じて特許人を任せてしまっ
たのだろう特許ってまだ通ってないん
だろうだったら質を取り下げばいいんじゃ
ないか話を聞いていた上木さんがパソコン
で色々と調べながらそう言ってくれる確か
に特許が通るまでには1年半ほどかかった
はずだそれなら出願取り消しもできるはず
であるおいおい勝手なことはするなよ俺は
絶対取り下げなんかしないからな何言っ
てるんですかこのシステムは俺が会社の
ために作ったものですあなたのために作っ
たものじゃないいよいよ怒りが抑えられ
なくなった俺は声を荒げてそう言ったこの
システムを作るために上木さんをはめと
する社員たちが俺の仕事を全て代わりに
行ってくれていたシステムを作るために
残っていた俺に付き合って上木さんは一緒
に会社に残ってくれた日もあったほどだ
しかしが俺にしてくれたことなど何もない
毎日部長石に座って半分寝ているような顔
でぼーっとしていただけで給料泥棒もいい
ところなのだ特許の所有者が上木さんや他
の社員たちだというなら何も文句はないが
腹部長だけは嫌だというのが本音である
この部署の蝶は俺だろうがシステムはここ
で使うものだろだったら特許の所有者は俺
でいいじゃないか何がいけないんだよ自分
が全く関わってないものをよく自分が作っ
たと言い晴れますねどうかしてるんじゃ
ないですかなんだとハブ町が忌々しそうに
俺を睨みつけるもはや原ぶ町以外なら誰で
もいいそんな気持ちになるそんなに俺が気
に入らないならこの会社から出てって
もらって構わないぞえこれでどうだと
ばかりに原町が言ってきた言葉に目を
染める入社してきた時からお前とは会わ
ないだろうなと思ってたんだお前だって
同じことを思ってただろ俺が気に入らない
なら元いた会社に戻ったらどうだそんな俺
は別にそこまでお前が社長のお気に入りと
かそういうのは知らないけど俺は新卒で
この会社に入って今年33年目になる入社
数ヶ月のお前と俺社長もさすがにどっちが
大切かは分かってるだろう原部長の言葉に
俺は悔しくてはぎしりをした確かにこの
会社ではキャリアが違いすぎるいくら俺と
幸介さんが仲がいいとはいえ仕事のことに
なれば講師感動はしない
だろう特許出願を取り下げるつもりはない
んですねだからずっとそう言ってるだろう
がニヤニヤ笑いながら言う腹長を睨みつけ
俺はため息をつくあは任せましたそう言っ
て小さく一礼し自分のデスクを片付け
始める辞める前にコスさんに挨拶をしたい
が愛に今は長期出張で会社にいないまあ
またプライベートで会った時に話せばいい
だろうそう思い俺は資料などを全て紙袋に
詰めると会社を後にしたのだっ
た中途入社し数ヶ月で辞めることになった
俺は何をするでもな家に引きこもって
いるさんに話せばなんとかしてくれる気も
するが今さんは海外出張中だ忙しく仕事を
しているこすさんにこんな情けない話を
する勇気はなかった幸いしばらく生活して
いくのには困らないだけの貯金はあるが妻
は何の相談もなく仕事をやめてきた俺に
呆れて口を聞いてくれないしかし原町にっ
て会社に戻るというのはどうしてもしたく
なかったそんなことを考えているとスマホ
に着信が入る画面を見ると会社からだ何か
あったのだろうかと俺は電話に出るおい
お前何ふざけたことしてくれてんだよ
スマホから聞こえてくる腹部長の怒号に俺
は顔をしかめた今1番聞きたくない相手の
声に俺は電話を切ろうか迷ったがそのまま
聞くことになんですか急になんですかじゃ
ねえだろうシステムトラブルだぞ無能がえ
ハブ町の声は起るというよりパニックを
起こしているように聞こえるよく聞くと
ハブ町の背後はかなり騒がしく車内で対応
に追われているのだろうシステムトラブル
ならば俺が作ったシステムに不具合があっ
たということ
だあんな未感性のシステムを実用する
なんて頭おかしいんじゃないのかお前の
せいでうちの会社は大損害を受けてるんだ
ぞ今すぐ会社に来い原部長の言っている
ことに俺は驚きは何もなかったこの
システムトラブルが起こることは正直言え
ば予想できていたからだ前件はお前にある
ので失礼俺は笑いをこらえながらそう言う
と返答を聞かず電話を切ったすぐにまた
電話がかってきたが無視を決め込むどれ
だけ謝られようが俺が腹部を助けるために
会社に行くことはありえないあのシステム
の開発者は腹部長になっているから自分で
なんとか対処すべきである俺はなり続ける
スマホの電源を切り夕食の買い物に
出かけるのだった原ぶ町から電話があった
一週間後のことだ俺が個人で受けた仕事を
家でやっているとインター本が鳴った
誰だろうとインターホンカメラを確認する
とそこにいたのはすさんと原町だったこの
2人の組み合わせが何を意味するのか
わからないほど俺もバカじゃないシステム
のことについて幸介さんが何か言いに来た
のだろう会社が大損害を受けているのだ俺
に文句の1つや2つ言いたくなるのは当然
のことである俺は学校の先生に怒られるの
ような気分になり全身から汗が吹き出す昔
シと一緒にいたずらするといつも幸介さん
の現国が飛んできたのを思い出したいつも
は優しい幸介さんは怒るとかなり怖くいつ
もしと泣きながら怒られていたの
だ俺がどうすべきかとうえているとせかす
ようにもう一度インターホンが鳴らされる
これ以上逃げてもどうしもないそう腹を
くった俺は胃を消して玄関のドアを開けた
そこにはどこか呆れた表情をしているこす
さんと気まずそうな顔の腹長が立っており
予想していた雰囲気と違う2人に俺は首を
かげるこすさんあのしかしこすさんには
とにかく謝るべきだろうさんの会社が損害
を受けたことはないの
ださんすま俺が何を言いたいか分かるか俺
が謝るのを遮ぎってこすさんが少し強い
口調で言う何って会社の損害のことですよ
ねそんなわけあるか言うとすぐに会社に
戻ってこい
えこすさんの言葉は俺が予想していない
ものだった戻ってこいというのは社員とし
てだろうか俺がお前より腹を選ぶなんて
あるわけがない何騙されてるんだよこの
言葉でようやくこすさんが呆れている理由
を理解する腹部町のこすさんは俺より自分
を選ぶという言葉について言っているのだ
俺は自分と腹部町のキャリアを考えれば
当然だと思っていたがこすさんの考えは
違った
らしいうちのどの社員と天秤にかけても俺
はお前を選ぶに決まってるだろ腹なんか年
序列で部長になっただけのやつだぞそんな
やつよりお前の方が大事に決まっ
てる年序列で部長になったというのは
やはり事実だったのかと降格が上がって
しまう腹部長は顔を真っ赤にして俯いた
社長本気ですか確かに村中とは家族ぐるみ
で付き合いがあるかもしれませんがそんな
師近藤は社長としてどうなんでしょうか
言ってやぞという得意げな表情をしている
腹部をこすさんはちらりと見てため息を
ついた家族ぐるみの付き合いとかそういう
レベルじゃないんだよ言うととは彼は俺の
息子も同然なんだはでも社長の息子さんは
シが事故で亡くなったのは古くからいる
社員なら全員が知っていることだろうその
時のさんの落ち込み用はひどいものだった
から
ああ息子のシはハワイでダイビングをして
いた最中に事故で亡くなっているその時シ
と一緒に潜っていたのがユトなんだうこす
さんは自分で話しながら苦しそうに顔を
歪めるこれだけの年月が経ってもまだ傷は
癒えていないのだろう最愛の1人息子を
失ったのだ当然で
あるうちの家族とゆの家族は毎年ハワイに
旅行に行くのが高齢だったシとユトが
大きくなってからは現地で2人で行動さ
せることが多くなったんだ2人は毎年海に
潜っていたししっかりインストラクターも
いただから俺はその時も何も心配して
なかったんだよダイビングでは俺とシ
それぞれにインストラクターがついていた
日本語が話せるインストラクターで毎年お
世話になっていた仲のいい人たちである俺
とシは海の中では別行動で俺はいつもの
ようにインストラクターと一緒に海の中を
楽しみそして陸に上がった時周りがかなり
騒がしいことに気づいたのだ人だかりの
真ん中には倒れている章その横には心臓
マッサージを行う
インストラクター一瞬で嫌な予感が体を
巡る俺は頭が真っ白になり何も考えられ
ないま人だかりに走りおりそこに倒れて
いるのが章であることを当たりにしたその
瞬間からの記憶はおぼろげだしっかりと
覚えているのは病院で幸介さんや父と合流
した時だろうかその時にはすでに章は
なくなってしまっていた事故の原因は空気
ボベの故障らしいもちろんそんなことは
あってはならないしインストラクターは
解雇多額の慰謝料がが支払われたがそれで
シが帰ってくるわけでは
ないだからゆとは俺にとって特別なんだシ
の最後を知るのは彼だけだし家族のような
気持ちでいる息子同然なんだ俺とシの
ボンベが入れ替わっていればシは生きてい
ただろうそう考えてしまうと俺はこすさん
に合わせる顔がなかったさんはそんな俺の
気持ちを悟り実の息子のようにしてくれる
のであるそんなゆうととお前じゃ同じ土俵
にも立ててないってわかったかいやいや
そんなのおかしいでしょ講師近藤もいい
ところですよちゃんと考えてくださいよ
こいつが作ったシステムはトラブルだらけ
の不良品なんですよこんな無能より俺の方
が会社に必要なのは間違いない
でしょうシステムを俺が作ったと名言して
しまうあたり腹部町も冷静ではないの
だろうさんはどこまで話を知っているん
だトラブルだらけの不良品でもユトがいれ
ば問題なかったんだよなは原部長が軽減
そうに眉を潜めるやはり幸介さんは全て
分かっているようだはいあのシステムは
元々まだバグチェックが住んでいないもの
なのでトラブルが起きるのは当然なんです
実動させトラブルが起きるごとに修正する
つもりでしたからななんだと腹部町が目を
見開いて俺を見る初耳だと言いたげな表情
だが俺が退職する際に腹部町には全て伝え
たはずだあのシステムの権利者であるハブ
町には全てお話ししましたよねお渡しした
マニュアル見てないんですかそこに
トラブル対応について書いてあったはず
ですなんかトラブルがどうとか言ってたの
は覚えてるけどでもそのトラブルを俺が
修正できるわけないだろう原部長は
引きつった笑いを浮かべているつまり俺の
話を全く本気にしていなかったわけだあの
システムの権利者は腹部長なんですから
あなたが修正できないのはおかしい
でしょういやでもあのシステムを作ったの
は俺じゃないし腹部町の態度にイライラし
ているのは俺だけではないはずだ無理やり
俺からシステムの権利を奪っておいて今更
作ったのは自分じゃないとどれだけなめた
ことを言った気が済むのだふざけたことを
言うな自分に責任を持て我慢の限界だと
いう風にこすさんが腹部町を怒鳴りつける
自分のせいでこんな状況になっているのに
見えきらない態度の腹部長にしびれを
切らしたのだろうお前が無理やりシステム
の権利を奪ったせいでうちは大損害が出て
るってことが分かってるのか俺がいない間
に勝手にゆうとを会社から追い出してユト
はこの会社の次期社長候補なんだぞえ幸介
さんの言葉に腹部長は目を丸くしたこれに
関しては俺も初耳で目をまかせるこんな
中途入者が社長候補って冗談ですよね冗談
なわけあるかゆとはあの有名なシステム
開発の会社で若くしてリーダーを任され
数百人の部下を束ねていた超エリートだぞ
その会社が突然倒産したのは驚いたが俺に
とっては正直高都合だったもしかしたら
無職になったユトがうちの会社に来て
くれるかもしれないそう思ったんだ確かに
うちの会社の倒産がニュースで報道された
瞬間にこすさんから電話がかかってきた
転職先が決まっていないなら是非うちにと
毎日電話をかけてきたの
だしがなくなってからこすさんとはずっと
疎遠でした毎年行っていた旅行が亡くなっ
たことが大きかったですねでも父がこす
さんに昔とてもお世話になったというのは
知っていたので電話がかかってきた時は
とても嬉しかったしこすさんの元で働ける
ならそんな光栄なことはないと思ったん
です俺は両親が大学生の頃にできた子供だ
その時まだ未成年だった2人は住む部屋を
契約することがでできずさんのお父さんが
大きな不動産会社をやっていたことから
両親にマンションの部屋を斡旋してくれた
というのは昔からよく聞いていた話だった
ゆとからうちの会社独自のシステムを作り
たいと言われた時には嬉しくてたまら
なかったよあの超エリートエンジニアが
うちの会社のためにシステムを作って
くれるなんてってね実際そのシステムが
完成すればうちの受注数は激増できるんだ
今まで手で行っていた部分をパソコンが
自動で行うためかなりの時間短縮になるの
であるうちの会社は社員たちがパンクし
ないように受注数を制限していたそれが
とてももったいないそう感じたのだそれな
のにお前はそのシステムの権利者を奪って
一体何を考えてるん
ださんはイライラしながらぶを
怒鳴りつける原町も自分がかなりまずい
立場であることは理解しているようだだ
だって俺この部署でかなりなめられてるし
あのシステムの権利者が俺だってなれば
少しは俺に従うようになるかなって権利者
にどれほどの力があると思っているのかは
知らないが社員たちはみんな腹部長が俺
からシステムの権利を奪ったことは分かっ
ているそんなことで社員たちがへの対応を
変えるとは全く思えない社員たちが腹部長
を舐めてる理由本当に思い当たらないん
ですかえ俺がため息を吐きながらそう言い
原町と幸介さんが同時に首をかしげた
ずっと気になってはいたのだが社員たちの
間では周知の事実だったことがある原部長
うちの会社が持ってる個人情報悪徳業者に
売ってるらしいですねは
俺の言葉に腹部長は息を飲んで黙り込む
こすさんの声には怒りが感じられるずっと
気になっていたのは原部長の言葉村中が
うちに来てから社長が毎日この部署に顔を
出すようになって本当に迷惑してるんだ
なぜ幸介さんがうちの部署に来たら迷惑な
のか俺に話しかけるだけで何かをチェック
するわけではないのにそれは原町がうちの
顧客のデータを横流ししていたからだった
信じられないことに原部町はオフィスで
堂々と悪徳業者と電話していたらしいのだ
そりゃ毎日幸介さんがオフィスに来たら
困りますよね悪徳業者に電話なんか絶対
できないし万が一パソコンの画面をこす
さんに見られたら大変だそれはその原町は
もごもごと何かを言おうとするが隣のさん
の怒りオーラに圧倒されて何も言えなく
なっているそんな証拠どこにもないだろう
そう反論する腹部長の言葉はしりすぼみだ
証拠なんて今すぐ会社に行けばいくらでも
あることが本人も分かっているのだろう
幸介さんは怒りで何も言えないという感じ
だったがようやく一言すぐに会社に行くぞ
と恐ろしいほど低い声で呟いた腹部長は
自分の終わりを悟ったのかガタガタと震え
て顔が真っ青になっている後ずさりしよう
とするハブ町の腕をこすさんががっちり
掴んだ俺の会社でよくそんななめた真似が
できたな目の前のこすさんを見て俺は自分
と章を怒っていた時のこすさんは本気で
切れていなかったのだと理解した今ここに
いるさんの切れ方こそ切れというや
だすさんのあまりの迫力に原町は今にも失
しそうだが介さんがそれを許さないゆうと
また落ち着いたらゆっっくり話そう俺の
会社にはお前が必要だその言葉だけで十分
です明日から出社しますのでお願いします
そう言って俺が頭を下げるとこすさんは
安心したように待ってるぞと優しく返して
くれるそしてまた鬼の行に戻り気を
失いかけている腹長を引きずりながら俺の
家を後にしたのだったあの後会社に戻った
こすさんは原町の悪事の証拠を全て入手し
たようだ原町のパソコンの中には悪徳業者
への個人データ横流し履歴など隠しようも
ない証拠がワンさか出てきたらしくそれに
より彼が受け取っていた報酬の額も
しっかり載っており原町は何年も前から
個人データを売っていたようで警察が介入
する騒ぎになるそうだこれによりうちの
会社の信用は地に落ちることとなるが孝介
さんが弁護士と話し合いながら被害者への
保証を慎重に決めていく
らしい腹部町に対して発生する賠償金の
金額はまさに桁違いというやつだったまず
システムトラブルによりうちの会社が被っ
た損害額も凄まじがそれも全部腹部に請求
するそして個人データの横流しについての
賠償金はあまりにもすごい金額で思わず
2度みするほどその合計などを見るだけで
おぞましいものだ間違いなく一生で返し
きれるものではない原町は刑事告訴される
ことになるので懲役もつくだろうもちろん
奥さんとは離婚になり原町は文字通り全て
を失うことになのだ俺はと言うとようやく
作ったシステムのバグ精査が終わったこれ
によりうちの独自システムは完成し案件の
受注数は今までの10倍にも100倍にも
なるだろうこすさんはこのシステムが
出来上がることを見越し海外で契約を取る
ために出張していたのだ英語が堪能なさん
だからできることであるそういえばこの前
の海外出中で帰ってきたんですよねこの前
というのは原町とこすさんが家に来た時の
ことだ本来あの日は幸介さんはまだ海外に
いるはずだったのだああお前の奥さんから
連絡があったんだよゆとがずっとうじうじ
してるけど何か勘違いがありそうだから
解いてやってほしいってそこであの時の
経緯を全て聞いてたんだなるほど俺が
ずっといじけていることに妻は真底呆れた
様子だったそのため妻自身が動いて幸介
さんに連絡してくれたの
だろううちの会社をお前に継いで欲しいっ
ていうのはずっと考えてたことなんだ今時
接中なんて古いって思われるかもしれない
けど自分が大切にしてきた会社を自分の
息子に任せたいと思うのは当然だと思うん
だよなこすさんはいつも自然に俺のことを
息子だと言ってくれるシ兄弟のように育っ
た俺にとってもさんはもう1人の父親
みたいな存在だった言うとうちの会社を
継いでくれるかこすさんが今まで見たこと
がないほど真剣なまなざしでそう言った俺
はゆっくりと頷きもちろんですと答える章
の文まで後悔のないように生きるそれが
あの日ハワイで誓ったことだ空で見守って
くれている章に恥じないよう俺は精一杯
生きて
[音楽]
いくケント様こんなところで何を
えこいつただの無能信人ですよ何言ってる
んです
か急に予定外の取引を任せられ頭が白に
なっている俺を見て中村さんは言うだから
日本エネルギーシステムズには来たく
なかったのに前川部長に行先を告げられ
ないまま強引に連れて来られてしまった俺
は今日どんな取引をするかも知らないし
資料にすら目を通させてもらえていない
きっと前川部長が噂の美人秘書の前で自分
の能力をアピールするための引き立て役と
して連れて来られたに違いなかった無能
信人そのようなもの言いは我々への侮辱と
受け取りますが俺の正体を知っている中村
さんが言う前川部長は日本エネルギー
システムズの秘書が美人ということで興味
を持ってきたしかし彼女が全くなびかない
どころか俺の味方をするのを見て彼女と論
した末に帰っていく俺と中村さんは今後に
ついて話し合うそれから状況は予想外の
展開になり前川部長は思わぬ形で追い詰め
られていくのだった俺は浦井ケと45歳
早見ホールディングスというエネルギーや
金属を扱う会社で最近働き始めたそれなり
に大きな会社で社員1人1人の責任も
大きいように見えるがその一方で俺は
難しい仕事はしていないコピーを取ってき
たりお茶を入れたり掃除をしたりなど
要するに感触で働いて
いるせっかく規模の大きい会社に入植でき
たのにこうして雑用ばかりするのには理由
がある俺はとある目的を果たすため毎日
雑用にせを出してせっせと働いてい
た無能は楽でいいな40代にもなって掃除
しかできる仕事がない気分はどう
だモップで車内の掃除をしている俺にそう
言ってくるのは営業部の前川泰典部長だ彼
は仕事ができるので部長を任せられている
一方で自分より立場が低い社員を見下す
ことが多い彼に困っている社員は多いよう
だ前川部長
私はこれくらいしかできないので前川部長
が俺を馬鹿にしていると分かっているが俺
は苦笑しながら言う俺は平社員でしかも
感触についているどれだけけなされても彼
に逆らうほどの権利はない俺がヘラヘラと
笑っているのを見ると前川部長は俺の肩を
押しのけてどこかに向かっていくよく
分かってるじゃないかお前は無だから掃除
がお似合いだせいぜい励め
励めそう言うと同時に彼は床にあった
バケツを蹴り飛ばし掃除したばかりの床が
水びたしになったア然としつつも本当に
王兵な人だと思い俺はため息をつく
がっくりと肩を落とす俺を見て前川部長は
ご機嫌な様子で近くにいた女性社員に
絡むかわいそうだよまあどうせ安い給料
しかもらってないぞせっかくはみ
ホールディングスに就職できたのに掃除
しかやることがないなんて残念だ
なそそうですねお前たちもちゃんと男は
選んだ方がいいぞ例えば俺とかな仕事も
できるし給料も
高い女性社員は顔を引きつらせつつも
とりあえず対応していた彼女もパートだ
から前川部長に逆らうことができないのだ
前川部長は周囲の空気が冷え切っている
ことに気づかず1人で笑っている人切り
好き勝ってして満足したようで前川部長は
エレベーターになって別のフロアへ行って
しまった前川部長がいなくなると俺は女性
社員に声をかける
大丈夫ですか大丈夫ですでも前川部長には
困りましたパートの女性は深くため息を
つく彼に絡まれるのはこれが初めてでは
ないのだろう前川部長は女性社員を悲する
一方で男性社員には厳しく当たっている彼
に厳しくミスをなじられるなど嫌がらせを
受けるのが辛くて辞めた社員も何人かいる
という
これだけ王兵な振る舞いを続けていると
すぐに上司や人事部に見つかるのではない
かと思うが前川部長は上司の前では丁寧に
振る舞うだから彼の悪事がなかなか明るみ
に出ないのだどこの会社にもこういう自分
の立場を利用して好きかってする嫌な上司
がいるそんな事実を実感しながらポケット
に控えていた端末を操作し俺ははモップを
握って掃除を再開したそれから1週間ほど
経った日のことだ頼まれた書類のコピーを
行っていると急に前川部長がやってくる
前川部長どうされました
かういついてこいはいああのどういうこと
でしょうか無能にぴったりの仕事がある俺
はのコピーも中途半端な状況で前川部長に
引っ張っていかれるこれから何が始まるの
かと思っていると強引に営業用の車に乗せ
られた車はすぐに出発して俺はいよいよ
後戻りできなくなる俺は今からどこに連れ
て行かれるのだろうわ私にぴったりの仕事
とは何でしょうかもしかして
営業営業の車に乗ってるんだからそうに
決まってるだろう何をうえてるんだよ前川
部長は何が面白いのかヘラヘラと笑って
いる彼にとっては大したことはないかも
しれないがこれから何が始まるのかは俺に
とってはかなり重要だ私はこの会社で営業
なんて1度もやったことがありませんが
そんなこと言ってたらいつまで立っても
無能のままだろ俺が経験させてやるって
言うんだかありがたく
思えほら失敗しないと成長しない
だろ急に言われても私は何の準備もしてい
ませんし行き先がどこかも知りませんこの
ままでは先方にご迷惑をおかけするだけ
ですそんなの気合いでなんとかするんだよ
恥も1つの学びだからなま
取引相手まで巻き込んで嫌がらせされると
は思わなかったこのままでは本当に何も
知らない状態で取引交渉の場に立たされる
俺を入れるためだけの不毛な取引が始まっ
たらどちらの会社のためにもならず
ただただ前川部長が愉快なだけだそう思っ
た俺は何とか抵抗するせめてこれからどこ
に行ってどのような取引を行うののか教え
ていただけませんかこのままではあまりに
相談だよ美人の秘書がいるっていうからさ
取引を譲ってもらった
譲そんなことができるんですかできるんだ
よなあ前川部長はその評判の美人秘書に
会うためにこの取引に向かっているのだと
いう譲ってもらったとは言っているが
おそらく彼は奪い取ったのだだろ女性に
会うために取引を他の社員から奪うなんて
仕事や営業を何だと思っているのかやがて
社用の車がたどり着いたのは日本
エネルギー
システムズこちらの会社もエネルギーを
主に扱いはみホールディングスと似たよう
な仕事をしている全く予想だにしなかった
場所にたどりついてしまって俺は
慌てるこここですかそうだよ何か文句が
あるのかそう言われても文句しかない今日
の取引がここで行われると分かっていたら
俺は何としてでも同行を拒否してい
た美人な秘書が超出してくれるらしい見に
行こうぜ前川部長ちょっとある事情で日本
エネルギーシステムズには絶対に来たく
なかったが俺は前川部長にに連れて行か
れるそうして俺は内容を何も知らされない
ままこの会社との取引現場に立たされるの
だった早見ホールディングスの前川と申し
ます本日はよろしくお願いいたし
ます浦井
です今日はよろしくお願いいたします
とうと日本エネルギーシステムズの社員と
交渉が始まってしまう今日行われる取引の
内容について俺は知らない一体どんな内容
を話し始めるのだろうと思っていると前川
部長は俺に書類を回してくるううと分かっ
ていたが嫌な予感がして俺は前川部長に
訪ねたえっと前川部長じゃあお前に頼む
あのでも今日の取引の内容はこいつが説明
しますので
渋る俺に構わず前川部長はとんでもない
ことを言い始めるそうは言われても俺は
今日の取引について何も知らない出発直前
になって強引に車に乗せられいわば
巻き込まれただけのような状態だそれなの
に取引内容の説明を急に任せられたって
できるわけがない俺はすっかり混乱して
しまうがそんな中でも社員は説明を待って
いる
これは仕事で前川部長に連れて来られた
だけなんで言い訳は通用しない
えっと今回の取引は俺はとりあえず書類を
並べて話を始めようとしたが言葉が出てこ
ない先方が何を求めているかもこの交渉が
どのくらいまで進んでいるかも俺は知ら
ないこんな状態で彼を納得させられるだけ
の説明ができるわがないのだ社員が説明を
待ってくれている間に書類の内容に少しで
も目を通そうとするが完全にパニックに
なって何も頭に入ってこない俺が説明を
しようとしたっきり何も言わないものだ
から社員は不思議そうに俺を見始めたどう
した
うい
えっとすっかりパニックになっている俺を
前川部長は楽しそうに見ている今まで彼の
せいで辞めた社員もいるというがこんな
ことをされたら確かにこの会社に痛く
なくなるのは当然だどうすればこの地獄の
ような時間を終えることができるのだろう
社員に迷惑をかけてしまうが素直に事情を
話すしかないのだろうかこの場から早く
逃げ出してしまいたいそう思っていると不
にノックの音がする失礼いたしますお茶お
持ちしましたその言葉と共に王雪室に入っ
てきたのは美人の女性だった下げられた
社員症には中村裕子と書いてある俺たちに
お茶を持ってきてくれたらしくお盆には3
つの湯呑みがあったそんな彼女を見て前川
部長がにんまりと笑う彼女が今日のお
目当ての美人秘書だと見て取ったのだろう
そんな前川部長の視線に気づいてか中村
さんは
言う申し訳ございませんタイミングが
悪かったでしょうか
いいえそんなことはありませんあなたも
聞いてみてはどうですかうちの新人が今回
の取引について説明してくれているので
やけに似いた前川部長の言葉を聞いて彼女
は俺を見る俺はバが悪そうに目を
そらす大丈夫だよお前がもし下手なことを
言っても俺が全部フォローしてやる
からその言葉を聞いて俺は前川部長の意図
を理解した彼は取引交渉の場で何もでき
ない俺をフォローする姿を見せ中村さんに
自分の優秀さをアピールしようとしている
のだそのために俺は何もできない無能社員
の役割としてこの場に連れて来られた人を
自分の評価をあげるためだけに利用する
なんてそんなのあんまりだだがそんな前川
部長のたみは思わぬ形で崩れて
いくケント様こんなところで何を彼女の
問いかけに前川部長は巨とする
えこいつただの無能神人ですよ何言ってる
んです

無人そのよ物は我々への侮辱と受け取り
ますが前川うの物に引っかかることがあっ
たらしく彼女の目が細め
られるこの方は日本エネルギーシステムズ
の浦井社長のご則ですよ知らなかったの
ですかへ浦社長の
四則中村さんから明かされた事実を前に
前川部長は驚愕
こうなるから俺は日本エネルギー
システムズに来たくなかったのだ今日の
取引先がここだと知っていたらたえ前川
部長に強引に連れて来られたとしても俺は
団子として同行を拒んだ
だろう浦井社長の
四則いや確かにこの会社の社長はういいや
そんな言葉は信じないぞ苗字が同じだ
からって
私は浦井社長の秘書社長のすぐそばで常に
控えておりそのご則を見間違えることなど
ありえませんそもそもケト様は以前この
会社で働いていましたこちらの社員は最近
弊社に移動となったのでケト様のお顔をご
存知ではなかったようです
が中村さんの説明を受けて社員は苦して
いる俺の名前が聞いたところで何か
引っかかることはあったかもしれない
しかしまさか自分の取引相手が浦井社長の
息子だとは思わないだろう予想だにし
なかった事実を明かされ前川部長は
もちろん納得できていない様子だどどう
いうことだよこいつは雑用しかできないん
だぞずっと掃除やお茶くみばかりで営業も
ろにできないこんなやが社長の息子でお前
にかってもらうなんて七光にも程がある
だろう前川部長は慌てながら言う俺が浦井
社長の息子だという事実をどうしても
受け入れられないらしいそれもそうだ俺は
早見ホールディングスで無能として
振る舞い日々雑用ばかりして過ごしている
のだからそんな前川部長に中村さんは淡々
と反
するなぜケント様がそのようなことをして
いるのか私は詳しい事情は存じあげません
この会社を退職された時その理由を私はお
伺いしていませんからただ彼があなたの
おっしゃるような無能な方でないことだけ
は確か
ですなんだと若くして大口の契約をいくつ
も取ったり効率の良い流通の方法を考案し
たり彼が弊社のためになした鉱石は数知れ
ませんケント様はとてもそう明なお方恩家
の感触に就職したのはおそらく何か理由が
あってのことなの
でしょう前川部長は中村さんの言葉を聞い
てしばらく唇をわなわなとふわせていた彼
は中村さんへ自分の高い評価や仕事ぶりを
見せつけるために来たそんな彼女が俺を
庇うものだから我慢ならなかったのだろう
やがて前川部長は言うはん美人の秘書がい
るって言うから見に来たがここまで見る目
がない女だったとはせっかく取引を
奪い取ってきたのに興ざめだもう少し素直
な方が社長から好かれるんじゃない
かそんな理由で弊社に来られたのですか
純粋に不快ですあなたのような方と弊が
取引することはありませんお引き取り
くださいませはこっちこそ願い下げだ2度
と来るもん
か前川部長は立ち上がるとドアを大きな音
を立てて閉め大雪室から立ち去って行った
そんな彼の姿を見送り俺は社員や中村さん

謝るすすみませんうちの部長が
ええ社員は前川部長の態度を見て苦笑して
いるあそこまで王兵な人を見ることは
なかなかない
だろう
いえそんなことよりまさかケント様にお
会いできるとは本当だな久しぶり少しお
話しさせていただけませんかどうぞこちら
へ社員がいたので中村さんは俺を別室に
案内してくれるそうしてたちは2人きりで
話し始めたごめん中村さんかってもらって
気になさらないでくださいあなたを侮辱
するのは我々への侮辱と同義ですから抗議
するのは当然のことですそれにしてもただ
お茶をお持ちしようとしただけだったの
ですがまさかあんなことになるとは前川
部長とおっしゃっていましたかとんでも
ないお方ですね
あの人はこっちの会社でも悪評がすごいよ
前川部長の物いいを思い出して俺は乾いた
笑いをこぼす何も知らない俺に取引をさ
せようとしたり先方の秘書の前で見る目が
ないと言った仕事に無関係の非常識な話を
したりする普通ならもう2度と取引ができ
なくなるほどのブレーだろ前川部長あたに
無能社員と言い放つとは身のほど知らず
ですねあなたの弊社での功績を知れば目が
飛び出るほど驚くに違いありません全て
語って差し上げても良かったのですが聞く
耳を持たなかったでしょうか気持ちだけで
十分だよそこまでされると俺が恥ずかしい
しそうでしょうか私は一向に構わないの
ですが中村さんは前川部長が俺をけなした
件についてかなり腹を立てているようだっ
たここまで彼女に評価されていることを
知ると嬉しい一方で少し照れ
くいケント様はどうしてはみ
ホールディングスへご就職を俺が日本
エネルギーシステムズを急に辞めたのは1
ヶ月前のことだ浦井社長の息子だという
こともあって俺が退職すると聞いた彼女
たちはとても驚いていたさらには俺がどこ
に就職するかまでは告げていなかったこと
もあって彼女たちを戸惑わせたに違いない
だがあまり多くの人に話してしまうと俺が
これからしたいと思っていたことに影響が
出る可能性があったから仕方なかったのだ
ああそれは色々と理由があってどのような
事情があるかお伺いしても俺はこの会社を
継ぐことが決まっているだから会社を経営
していく上で必要なことを父さんに色々と
教えてもらったけどいざ今後の経営方針に
ついて考えようとした時俺は社員目線の
考えが全く分からないことに気づいたんだ
日本エネルギーシステムズでは俺のことを
ウ社長の息子だと言って丁寧に扱って
くれる人が多かっただからする上で困った
ことはほとんどなかったが一方で本当の
意味で社員たちの気持ちを知ることができ
ずにいたのだそれを俺は問題だと考えただ
から社員たちが実際に置かれている環境を
実際に経験してみたかったんだそれで
手始めに雑用を体験してみようと思って
けど一般社員の仕事なんて日本エネルギー
システムズでは体験できないだろう俺が
掃除なんかしてたらみんな気を使って仕事
どころじゃないだろうから
さそれはおっしゃる通りかと思いますだ
から早ホールディングスの感触に就職させ
てもらうことにしたんだなかなか貴重な
体験をしてるよ前川部長からの厳しい接し
方も含めて俺は社員の仕事や置かれた待遇
などについて様々なことを経験した
一般社員はこのようなことを考えながら
日々仕事をしているのだこれはいつか俺が
日本エネルギーシステムズの社長になるに
あたって有益な経験となる
だろう雑用は貴重な体験だなんてそんな
ことを言うのはあなたくらいのものですよ
そうか芸者になるなら1度くらいは経験し
ておくべきだと思うけどなずっと上にいた
社員たちの本当の気持ちは分からないそう
なったら彼らに不満を抱かせて優秀な人材
の離脱を
招くやはりあなたは素晴らしい考えをお
持ちですだからこそ前川は部長にあなたが
あのような扱いを受けていることを
腹立たし中村さんがそこまで怒ってくれる
とは何も知らされていないまま取引交渉を
させられるのはさすがにやりすぎだと思う
がこれも含めて平社員の経験だと感じて
いるだから俺はあまり気にしていないそれ
に前川部長は社内でずっと応募を働いて
いるがこれももうすぐ終わりを迎えること
になるだろうともあれ事情は承知しました
弊社はいつでもあなたのお帰りをお待ちし
ておりますよ今回の件は念のため浦井社長
にも報告いたします
ありがとうそうだ頼みたいことがあるんだ
けどいいかな何でしょうか俺は中村さんに
とある件をお願いする彼女は俺の頼みを心
よく引き受けてくれ用意は全て整った前川
部長は日本エネルギーシステムズに来る
ために使った社用の車に乗りすでに帰って
しまっていた俺は帰る手段がないので
仕方なくタクシーに乗って帰ることにそう
して早ホールディングスまで帰ってくると
前川部長はカカな様子で俺を迎えた
ちょっと来い
ういな何でしょうか俺のスーツをひつかん
で歩きながら鬼の行走で前川部長が言う
うい聞いてないぞお前が日本エネルギー
システムズの社長の息子ってどういうこと

そうは言われても私は行き先について何も
聞いていませんでしたしそもそも引先が
日本エネルギーシステムズだと聞いてい
たら俺は絶対に行かなかった結果的に
マルク収まったが中村さんや浦井長に
見つかるとまるで出戻りのようで罰が悪い
からだ問答無だお前のせいで大恥を書いた
それにしてもあの女はなんだ美人だとは
聞いていたがとんだ生気じゃないかあれが
社長秘書だなんてどうかし
てる舞川部長が嫌がらせをしようとする
から自業自得ではそれにあなたの言動にも
問題が前川部長は美人と評判の中村さんを
見に行くために取引交渉に向かったそれ
だけでもかなりのブレだし彼女のいる前で
秘を見に来たと口にしてしまったのも
あまりにも非常識だ
はあ無能が偉そうに社長の息子というコで
今回は助けられたかもしれないが次はこう
うまくいくとは思わないことだ
なでも今回の取引の件はどう上に報告する
んですか他の社員から取引を奪った上で
結局大失敗して帰ってくるなんて
何を偉そうにそんなことお前には関係ない
今回の取引が失敗したのはお前のせいだ今
から総社長には報告するから
な前川部長は自分の日を完全に棚にあげて
言うなどういうことですか今回の取引が
失敗したのは部長の態度が原因でしょう私
は一切何もしていませんお前が先方と結託
して俺を追い詰めたんだ日本エネルギー
システムズの社長の息子だからって調子に
乗りやがってお前はどっちの味方なんだ私
は就職したからには早見ホールディングス
の社員としてこの会社の利益のために尽力
する所存です今回の取引に失敗したのは
前川部長の言動が理由であって私には日は
ないでしょうそうしているうちに俺たちは
社長室の前に到着するどうだか見ていろ
社長がどちらを信用するか見せてやる前川
部長はどんと勢いよくドアを開けて社長室
に入る早見ホールディングスの早見社長は
ひどく驚いた様子で急に上がり込んできた
前川部長と俺を見て
いる急にどうしたのかね前川部長
早社長聞いて
くださいそうして前川部長はとんでもない
ことを言うのだ浦井は日本エネルギー
システムズから送り込まれたスパだったん
です
はあ浦井は日本エネルギーシステムズの
浦井社長の息子我が者の機密情報を盗む
ために雑用がかりで忍び込んで日々車内日
をあちらに流していたんです
彼はありもしない事実を平然と並べ立てる
俺は車内費を流したりしていないしスパイ
として入ってきたわけでもないそもそも
前川部長が俺が浦井社長の息子だと知った
のはついさっきで悪事を働いていたという
証拠など何1つ掴んでいないはずだそれな
のに俺がこの会社を入れようとしていると
でっち上げて彼は早社長に報告した
掃除しかできないどころか機密を漏らすだ
なんてこいつは首にした上で損害賠償を
請求するのが妥当だと思います早社長
こいつに正義の鉄
を知っているが
へ早め社長の言葉を聞いて前川部長は目が
天になって
いる井君が日本エネルギーシステムズので
あることは知っているその上で私は彼を
この会社に入社させたそして彼が希望した
ようにあえて感触へと配置した彼の才能を
考えれば主要となる部署でも十分に活躍
できたと思うが
ねそそれはどういうことでしょう
かまさか早社長が俺の崇を知った上で入社
させているとは思わなかったに違いない
前川部長は慌てた様子で言う以前から日本
エネルギーシステムズで活躍するケト君の
ことについては知っていただから彼がこの
会社で一般社員としての経験を積みたいと
言ってきた時には驚いたものだだが私は彼
の申し出を引き受けることにしたあること
を条件にねでも
それはこいつが車内日を暴けに来たわけで
はないっていう証拠にはならない
でしょだったら逆に聞くが君は車内費を彼
が漏らしたという証拠を持っているのか
えっと彼はついさっき俺が浦井社長の息子
だと知ったのだから証拠なんて持っている
はずがないそもそも俺は早社長に雇って
もらった恩があるのにそんな会社に利益を
与えるような失礼なことをするわけがない
のだまさか早見社長が俺を庇うとは思って
いなかったのだろう前川部長は何も反論
できずにだらだらと冷汗を流している前川
部長は日本エネルギーシステムズに美人の
秘書がいると知りそれを目当てに他の社員
から取引を奪っていました挙句に取引先で
秘書に美人だから見に来たとかもっと素直
になった方がいいだとか大変失礼なことを
何度も口にしていました
ういそれだけではありません前川部長の
女性に対する態度はかなり悪く車内でも
必要に絡んだり言いよったりして迷惑を
かけているようでした俺がそんなことをし
ていたという証拠がどこにあるんだそこに
とある声が割って
入る私が証言いたしましょう
か中村さん弊社の社長から正式に許可を
頂だいたので参りましたケト様から今回の
取引で起きた件について証言をしてほしい
と頼まれたのです社長室に会ってきたのは
中村さんだった彼女は俺に目くばせして
くれるどうやら俺がお願いしたことを全て
こなしてくれたようだ美人の秘書がいると
聞いて見に来た
見る目がない女だもう少し素直な方がいい
んじゃないかこれらの言葉は取引交渉の場
でかわされるのにふさわしくない非常に
ブレな言葉ですこのような言葉をかけられ
私はひどく傷つきました前川部長これは
どういうことかねそそんなの嘘ですウが
この女と決して俺をようとしているんだ
前川部長は追い詰められた様子で言葉を
並べるほらウと秘書が繋がってるってのが
何よりの証拠だやっぱりウはこの女と
繋がって社内費を流していたんだろう
やっぱりスパイじゃないかその件について
も社長から遣っておりますこれはケントが
自分でやったことで弊社が何か指示した
わけではない本当に情報が漏洩していない
か気になるのならいつでも調べに来ると
いいと
はそれにそんな情報漏洩のリスクを追って
でもケトを雇うことに決めたのは早
ホールディングスにも理があるからだろう
ともおっしゃっていました私は何も
存じ上げておりませんがケント様と早社長
の間には何か相応の取引があるのでは中村
さんが告げる彼女の推測を聞いて早社長が
語るもう隠す必要はないなもちろんただで
同業他者の社長の息子を雇うなど普通はし
ないしかし今回ケト君を雇ったのは理由が
ある理由と
は私は早ホールディングスの感触で働かせ
てもらう代わりにあなたの悪のを集める
ことを早社長と約束したんです前川部長は
そこで俺はとうとうこの次第を明かすここ
から先はもう無能で気弱な社員を演じる
必要はない彼を追い詰めるための用意は
全て整ったからだどどういうことですか早
社長言葉通りの意味だ君の悪評については
以前から人事部から報告が上がっていたが
かっこたる証拠がなかったため調査に
踏み切れなかっただからいい機会だと思っ
て彼にお願いしたんだ彼は有能な時期社長
だと業界内では評判だったから
ね前川部長あなたは私のことを無能だと
見下していたので調査はとても簡単でした
私の前では簡単に本を見せてくれましから
ね悪の証拠については全てデータベースに
アップロードしてありますご確認ください

社長するとはみ社長はパソコンを操作し
始める社長室に流れる前川部長の嫌がらせ
に関する録音データ社員を個室に追いやっ
たり手柄を横取りしたり女性に言いよっ
たりしていた時のものなど様々だもちろん
エネルギーシステムズで中村さんにブレな
態度を取った時の音声も入っている全ての
証拠を明るみに出された舞川部長は唇を
わなわなと振るわせたこれで彼はもはや
逃げられない録音データをある程度確認し
たところで中村さんが言う浦井社長は前川
部長のレな態度を疑問していますこのまま
彼を渉につもりなら社員を守るために取引
は白死にさせてもらうだが彼を担当から
外せば今後の取引は再検討する
と当然の判断だなだが社内で君の働いた
悪事を考えれば担当を外すだけなど
生ぬるい早社長は前川部長を
睨む前川部長
悪の証拠をあらゆる方面から突きつけられ
すっかりと縮こまった前川部長は怯えた
様子で返事
するよくもこれまで車内で嫌がらせを続け
社員たちを怯えさせてきたものだこの悪質
性を見て君は朝会解雇にさせてもらうそ
そんな考え直してください俺は今までこの
会社のために
会社のためになどとどの口が言うぴしゃり
と早め社長に出席され前か長は黙って
しまうしばらく彼は床に崩れ落ちてうれて
いたがやがて怒った様子で俺を見るどどう
してこんな無能な奴ばっかりちやほやされ
てそんな前川部長に俺は言ってやる私の崇
を見抜けなかった前川部長こそ
真の無能ではないでしょうか部長という
役職につきながらあなたは好き勝手に
振る舞い社員たちを疲弊させていた自分の
行いをしっかりと帰り見て反省した方が
いいと思いますよそう言うと前川部長は
反論する言葉もなくなったらしい彼は
ぐーっとうめくばかりで何も言わなくなっ
たその後前川部長は朝会解雇になって翌日
から会社には現れなかった最終職先を探し
ているようだが彼は取引先でも大平な態度
を取っていたから業界内で悪評が広まって
いるさらに50代という年齢も謝って最
就職先はなかなか見つからなかったらしい
結局彼は夜のコンビニでアルバイトをする
しかなく度々訪れる態度の大きな客に
へこへこと頭を下げながら懸命に働いて
いるとのこと
だ前川部長についての話が終わった後俺は
中村さんと今後について話し
たもう少しそちらにいるのですねああもう
ちょっと学びたいことがあるからさ俺と
話す中村さんは少し残念そうだこんなに
慕ってくれる秘書がいるのだから俺は恵ま
れているそんな彼女の姿を見ると揺らいで
しまいそうになるが俺にはまだまだ経験が
足りない浦井社長の息子だという白がつい
ていない環境での仕事経験は俺にとって
貴重で学ぶことが多いのだまだ早
ホールディングスの車内に俺の正体は
広まっていないだからこのままもう少し
雑用の仕事や下から見た景色を学んでから
帰りたいと思うちゃんと勉強し終わったら
帰るからその時はよろしく頼むよ承知し
ました弊社はあなたが帰ってくるのを
心待ちにしています俺が社長を引き継ぐの
はもうすぐだだがその地位にあをかき社員
たちに全て任せてしまうのでは
情けな様々な経験をした上で会社を正しい
方向に導き社員たちに慕われる社長になり
たいと思う
昭和の作業員に貸す金はないぞ物声はやめ
て諦めてさっさと
帰れ竹の内という銀行員の馬鹿にした態度
に俺は怒りを覚える客を物乞い扱いする
なんて
どう考えても間違った接客態度だでは
システム貸すのもやめるよ自然と出た言葉
を最後に俺はキスを返すへシステム
ちょっとあんた何の話してるんだおい
待て余裕を見せていた彼は急に態度を変え
て動揺し始めるがもう
遅い翌日竹の内から会社にが入っ
たやっと出たかあんたのせいで昨日は散々
上司に怒られたようちとの契約を切るって
言ってるらしいな口調は昨日よりも
柔らかいがブレな態度は変わらないそれが
どうかしましたかそうなったら俺まで処罰
を受ける頼むよ昨日のことは水に流して
くれないか悪びれず含み笑いで頼んでくる
彼に俺はため息をついたこの後俺の正体を
知った彼は自分の取った行動を後悔する
ことと
なる俺の名前は安倍博文システム開発会社
である株式会社システムAでエンジニアを
している52歳だ会社の創立以来ずっと
この現場一筋で働いてきたシステムAは
金融系のテ開発において特に実績が多い
金融系は高い技術と信頼性が要求される
分野だがシステムAは開発だけでなく企画
から運用に至るまでワンストップサービス
を提供し広く満足してもらっている公表
だった既存のシステムに関しては
パッケージ化にも積極的だ各クライアント
に合わせてオーダーメイドするスクラッチ
開発と異なりパッケージされたシステムは
導入のハードルが低くなるセキュリティの
ハードルをクリアしている存のシステムに
顧客に合わせた追加機能をカスタムすると
いったアレンジが可能となるため安全面で
もコスト面でも需要が高いからだそうした
自社サービスが公表を白したことで
システムAは会社創立から県に業績を
伸ばしてきた金融系システムの開発で
積み上げきた実績を受け銀行や証券会社
以外の取引先も最近では増えており事業の
幅は着実に拡大してきているおかげで年々
優秀なシステムエンジニアが
集まり産業系などその他の幅広い業種で
機関システムなどを手掛けるようになっ
た現在従業員数は150名ほどでまだまだ
地方の小規模な会社ではあるがレベルの
高いエンジニアと切磋琢磨できる
素晴らしい環境だと思う俺はシステムAの
最高さのエンジニアとして教育も任されて
いるが若い社員から学ぶこともたくさん
ある年齢や役職に関係なく教え合い
高め合える技術者同士の関係は本当にえ
がいものだそのため俺は出世して管理職と
なりエンジニアを引退することへの抵抗が
ぬえにいたこの年になってもまだ現場に
座っているのは完全に俺のわがままだ
しかしありがたいことに現場式を一任され
現役のエンジニアとして働くことを許され
ている俺は学生の頃からコンピューターに
関連することに興味がありアイディアを
現実にするのが好きだったそして実際に
作ったシステムがうまく動かなくてもバグ
を見つけたり改善点を探すことが楽しくて
仕方がなかったのだその性質は今も全く
変わらないそしてシステムエンジニアとし
て働き始めてからは俺の作ったもので便利
になっていく世の中を見る喜びも知って
しまったこれからもできる限り現場に長く
いてみんなと良い仕事をしていきたいと
思っているある日システムAの
クライアントのうちの1つ7星銀行という
地方銀行にを運ぶこととなった現在7星
銀行に導入されている情報システム軍は
全て俺が開発を担当したものだこの
パッケージで販売されたサービスは全て他
の金融系でも導入実績があり高い評価を得
ている7保守銀行の導入後の運用保守に
関しては部下に担当を任せていたため最近
俺が訪問することはほとんどなかった
しかし部下が他の案件で足を運べなくなり
近くで別件の仕事を担当している俺が急遽
代理で対応することに業務内容としては
システムの定期メンテナンスに加え今後の
改善案についての話し合いだ今日部下の
代わりに俺が向かうことはあらかじめ七星
銀行の担当者に連絡をしておいた担当者は
昔から一貫して真山美さんという女性だ
長い取引の中で俺も何度か会ったことが
ある一回りも若い彼女だが出会った頃から
とても頼りがいのある誠実な人で急な対応
においても不安はなかった今の時期はお
互い繁忙機で時間の融通がなかなか聞か
ないが彼女となら短い時間でも中身のある
話し合いができるだろうそう考え現在
メインで担当している他のクライアント先
での業務を抜けて少しなスケジュールだと
思いつつも約束の時間に駆けつけることに
した予定していた時間が近づき俺は社用者
に乗り込む念のため余裕を持って早めに
出発したが7星銀行までの童貞は滅多に
混雑することもない穏やかなものの初だっ
たしかし道中車の流れが乱れる何事かと
思い周囲を観察していると荒い運転の
スポーツカーが後方から来るのに気づいた
それほど広くない道でエンジン音を響かせ
スピードを出したかと思えば急
停止さらに車間距離を不必よに詰めるなど
煽るような運転を続けておりヒヤヒヤする
場面が何度かあった穏やかな田舎道に
そぐわない車のスペックを試すような運転
は危険気あまりない俺は約束の時間は気に
なったが事故に巻き込まれる方がまずいと
思い1度車を路肩に止める運転マナーの
悪いスポーツカーを先に行かせようと思い
しばらく観察しながら待ったその間も他の
車に迷惑な運転を続けており交差点では
その荒い運転に驚いた年配の男性が転んで
しまうあ危ない俺はハンドルを握りしめ
1人の社中で思わず声をあげる転んだ男性
とはギリギリ接触することなくスポーツ
カーはすごい速度でそのまま走り抜けて
いったなんてやつだ怪我人を放っておく
なんて運転席からも転んだ男性は見えてい
たはずだが少しも気にしていない様子に腹
が立つ俺は急いで車から出ると横断歩道の
隅で座り込む男性の元に駆け寄る大丈夫
ですか今救急車を呼びますから幸い大きな
怪我はなさそうだったが一歩間違えば大変
なことになっていた俺は七星銀行に道中の
トラブルで少し遅れることを伝えるそう
して救急者を呼び男性のご家族が到着する
までは付き添うことにしたその後安全運転
を心がけながらも急いで7星銀行へと
向かう慌てていたせいでバックミラーに
移る髪は接客にふさわしくないほどに乱れ
ていた先方に伺う前に最低限の見出しなみ
は整えなければいけないそう思った時自分
の服装について思い出す直前に仕事をして
いた大手企業の工場内ではシステム開発の
現場で訪問者が仕事をする際も作業服を
着る決まりだそのため俺は作業服姿のまま
社用者を走らせていた七星銀行の駐車場に
止めたところで作業服から背に着替えよう
と思い慌てて準備する車の後部座席に積ん
でおいた背を手に取った時1台の車が駐車
場に入ってきた見れば先ほど荒い運転をし
ていたスポーツカーとよく似た車だ同じ
車種で同じ色それほど一般的な車ではない
ことからしても同一人物の可能性が高い
従業員用のスペースに注射するのを見て
銀行員なのだろうかといぶかしいんだ俺は
事故を起こした車のナンバーまでは把握し
ていなかったがドライブレコーダーを見れ
ば確認できることに気づいた社用者から
静かに降り俺は様子を伺いながら見出し
なみを整えるするとスポーツカーの運転席
から若い男性が降りてきたブランドもの
スーツで身を固め派手な見た目をしている
年齢は30代前半くらいだろうか彼も
こちらに気づいたようで一瞬目があった背
を羽織るため着ている作業服を脱ぐ俺を
ちらりと見てその男性は汚いものでも見た
ような顔付きになった顔をしかめ俺の姿を
足元から頭のてっぺんまで寝みするように
じろじろと見てくるこちらが居心地悪く
なるほど嫌悪感を荒にした視線を送られる
筋合いはないように思えた場内での作業は
少し汚れることもあるが泥まみれだったり
角に不潔なわけではない確かに
クライアント先に訪れる前にどこかで
着替えられたら良かったが周辺にはそうし
た場所もなく道中のトラブルもあってその
時間が取れなかった彼がもし銀行員なら
訪れる客に対して取っていい態度では
決してないこちらを見てため息を1つ
落とすと男性は7星の建物に入っていった
俺はそれを見送り周囲に誰もいなくなった
ことを確認するそれから念のため男性の
乗っていたスポーツカーとナンバーを写真
に納めた諸々の準備を済ませようやく7星
銀行へと向かう校内に入ると空いている
時間帯のせいか全体的に人が少なかった
窓口で担当者である山さんを呼んで
もらおうと近寄るが空いているの数もいつ
もより極端に少なく感じる見知った顔の
受付担当者はおらずどの窓口も全て接客中
だった約束の時間にすでに遅刻している俺
は案内を頼める人を探して視線を滑らせる
すると先ほど駐車場で見かけたスーツの
男性が目に入った受付の奥の机で何か作業
をしている様子やはりここの銀行員だった
のかと思いは恐る恐る声をかけたすみませ
ん本日伺う約束をしておりました安倍と
申します担当の真山さんをお願いできます
かこちらの問いかけにすぐに答える気配が
なく聞こえなかったのかと思った俺は次の
仕事も控えているため時間が気になり
始める声を張り何度か声をかけるとじろり
と空そうな視線だけ送り返してきた眉間に
を寄せ明様なため息を
疲れるなんですか大きな声出さないで
ください胸元につけてある名札には竹の内
量と書かれていた小さく研修中のマークが
ついているので最近移動できた人なのかも
しれない安倍と申します担当の真山さんを
呼んでいただきたいのですが呼んでどう
するんですか時間の無駄なので帰った方が
いいと思いますよ
えっとそれはどういう意味でしょう俺は
意図を測りかねて聞き返すこちらを見よう
ともせず竹の内はうんざりした様子を
見せるですからどこの小企業か知りません
が小汚い作業技で来るようなおじさんに
融資はできないと言っているんです俺は
その言葉に驚いた駐車場で作業服から
着替えるところを見て何か勘違いしたの
だろうがそれにしてもひどい言いよだ真山
さんはおそらく勇志についても担当して
いるのだろうしかし俺も融資目的だと
決めつけるのは誤解もいいところだいえ
違います私は勇志の話ではなくてはいはい
そういうのはもういいですからお引き取り
を本当です今日は真山さんと弊社サービス
の定期メンテナンスと今後の話し合いを
予定しております
途中トラブルがあり予定の時間に少し遅れ
てしまったので申し訳なかったのですが
そのトラブルももしかすると目の前の男の
せいかもしれないそう思うと理不尽な気が
してならなかったが確かなことが言えない
今は両院を下げることに
する皆さんそうやっておっしゃるんですよ
ね約束があると嘘をついてみたりあの手
この手を使って取りつくんですよこちらも
忙しいので帰って
ください竹の内は俺の話を嘘と決めつけ
まるで聞く耳を持たない追い払おうとされ
俺は慌てて食い下がった確認してもらえれ
ばすぐに分かることです時間もありません
し一度聞いてみてくださいお願いします
必死に伝える俺にたの内はふんと鼻を
鳴らして笑っ
た昭和の作業員にかす金はないはぞ物乞い
はやめて諦めてさっさと
帰れ俺はその馬鹿にした態度に怒りを
覚える客を物乞い扱いするなんてどう考え
ても間違った接客態度だ拉致が開かない
状況をどうにかしようという気持ちが一気
に失せた俺はため息をついたではシステム
勝つのもやめるよ自然と出た言葉を最後に
俺はキスを返す
えシステムちょっとあんた何の話してるん
だおい
待て余裕を見せていた竹の内は急に態度を
変えて動揺し始める後ろから必死に
呼び止める声がしたがもう遅い再び作業儀
姿に戻ると抜けてきた仕事場に戻るのだっ
た俺は怒りを何とか抑えながら車の
ハンドルを握る何度か携帯電話が鳴ったが
全て無視して運転に集中したクライアント
先の工場に戻った俺は車を停車させて一息
つくその時に再び携帯電話が鳴ったのを見
てしぶしぶ電話を取った安部さん先ほど来
ていただいたようですがすぐにご案内でき
ず申し訳ありません今どちらに
いらっしゃいますか電話口から聞こえてき
た声は心配そうな雨山さんのものだった
ぶりからて彼女は何も聞いていないよう
だ竹の内さんという方から聞いていません
か取り合っていただけず帰れと言われまし
たので取引を中止することになりました
これまでありがとうございましたえ取引
中止待ってください詳しい話を聞かせて
もらえませんか本日は次のスケジュールが
詰まっておりますのでこれで失礼します
竹の内さんが全部ご存知ですからご本人
から聞いてくださいこれまでよくしてくれ
ていた真山さんには申しわけなかったが
感情的になる前に事実だけを述べて電話を
切った取引中止は脅しでもなければ一時の
感情で言っているのでもない客に対して悪
を平気で取れる人間を雇っているような
銀行と今後もいい取引ができるとは到底
思えないからだたえ研修中とはいえ銀行の
顔となる自覚もなく接客を続ける銀行員が
いるのは大問題何より自身の利益になら
ない客に対しては何をしてもいいという
考えは仕事を通して周囲ひいては社会を
良くしたいと思う俺には理解できないもの
だった俺は今日わった一連の出来事を含め
7星銀行との取引中止について担当者で
ある部下にメールで手近に報告したそして
気持ちを切り替えるために深呼吸をし車
から出るその後に控えていた業務をこなし
慌しい1日が終わる頃には心身共に疲れ
きっていた直記しようと思い会社に連絡を
入れた俺の手の中で携帯電話がまた震える
知らない番号が表示されているのに気づき
悩んだ末に出ることにした誰かとた電話は
昼間転倒した年配の男性のご家族からだっ
た転倒時の状況確認が必要になった時の
ことを考えて念のため男性に電話番号を
渡しておいたのだご家族からは病院での
検査結果で問題なかったことの報告と
改めて丁寧なお礼を言われる俺は自然と
エミがこぼれ大事にならず良かったと心
から思った色々なことが怒った日だったが
最後にいい報告が聞けたので心が少し
穏やかになる冷静になれた俺は改めて1日
を振り返った昼間の事故の件と竹の内と
いう銀行員の関連がやはり気になり
ドライブレコーダーを調べることを決める
そして翌日七星銀行から会社に連絡が入っ
た部下から俺あてだと渡された電話の相手
はなんと竹の内と名乗っているという昨日
の嫌な記憶が蘇り俺は出るか悩んだが
恐る恐る受話を構えたはい安倍です
がやっと出たかあんたのせいで昨日は散々
上司に怒られたようちとの契約を切るって
言ってるらしいな口調は昨日よりも
柔らかいが無礼な態度は変わらないそれが
どうかしましたかそうなったら俺まで処罰
を受ける頼むよ昨日のことは水に流して
くれないか悪びれもせずニヤニヤと笑い
ながら頼んでくる彼に俺はため息をついた
お断りしますまさかと思いますがそれで
謝罪をしているおつもりですかはあなんで
俺が謝らないといけないんだよ作業服を着
たおじさんがエンジニアだと思わない
だろう誤解させるようなことをしたんだ
からお互い様だあなたのせいで七星の銀行
員1000人以上が使用しているシステム
を完全にストップさせてもいいなら構い
ませんよしばらくは営業が止まるでしょう
ね3人竹の内は大きな声を出して驚いた
ことの重大さを本当の意味では理解できて
いなかったの
だろうもしそうだったとして平社員の
あんたの一存で契約を切れるないだろ何様
のつもりだ私は七星銀行さんに導入して
いるシステム軍の開発者なんですよそして
現場で働いてはいますが取締り役を懸念し
てい
ます開発者と取締り役冗談
だろ初めて知る事実に竹の内は明らかに
動揺した俺は現場にこだわってはいるが
これまでのを認められて経営にも携わる
立場にあるなばかりの取締り役なので普段
名乗ることはなかっ
た冗談だといいですね作成したシステムに
関わる契約についてはそれなりに権限が
与えられている立場なんですが信じるか
どうかはお任せします俺が話を終わらせて
切ろうとすると竹の内は必死に止めようと
してくるおい待ってくれ話はまだ終わって
ない私はようがないのでこれで失礼し
ます電話口から聞こえる怒鳴り声を無視し
て俺は受器を置いた翌日真山さんから
改めて謝罪の連絡が
入る改めましてうちの竹の内が失礼をし
大変申し訳ありませんでした安倍さんが足
を運んでくださったのに彼が独断で取り
なかったことを聞き
直接謝罪に伺わせていただきたいのですが
よろしいでしょうか電話口から聞こえる
彼女の声がこれまでにない弱々しさで
気の毒になる俺も忙しさの中で余裕が
なくなり頭に血が登っていたと少し反省し
たこちらも約束の時間に遅れてしまった
ことは申し訳なかったですしかし山さんを
訪ねてきた人が全員を目的としていると
決めつけるような対応は正直いかがかと
思い
ませ彼がそんなことを申し訳ありません
こちらの指導不足で不愉快な思いをさせて
しまって他にもあればおっしゃって
くださいこちらから厳しく指導しますので
竹の内はおそらく昨日あったことを全ては
話していないのだろう安部という人間が
真山さんを訪ねてきたが取り継ぐ前になぜ
か怒って帰ってしまったそのように伝わっ
ているに違いない俺は昨日あったことを
簡単に真山さんに話して聞かせた彼の偏見
に満ちた暴言の数々についても伝えると
電話口で真山さんが息を飲むのが
分かる本当になんとお詫びしていいか彼は
研修中のようでしたが新入社員には見え
ませんでした踏み込んだことを聞くよう
ですが何か事情があるんですか俺の質問に
真山さんは言葉を選ぶようにして話し始め
たお恥ずかしい話ですが実のところ彼は遠
の親族でして経歴こそ優秀ですが数々の
問題を起こしこれまで視点をいくつも点々
としてきましたうちに配属されてきてから
もトラブルが絶えず手を焼いておりました
がひょっとして伺った時に空いている窓口
が少なくどこか換算としていたの
ははいお察しの通りです他の銀行員との
トラブルが絶えず退職や移動希望者が後を
立たなくなり一時的に人手不足にこれまで
は接客や取引先との対応などは竹の内には
極力1人でさせないようにしてきたらしい
しかし運悪く昨日はサポートに回れる銀行
は周りにいなかった俺はなるほどと違和感
について納得するご迷惑をおかけした安倍
さんにこのように言い訳のような形でお
話しすることではないと思いますしかし
どうかこちらに謝罪の機会を与えては
いただけませんでしょうか現状システム
までストップすれば店舗の存続に関わる大
問題になりますいえ謝罪は結構です状況は
分かりしそちらが問題を抱える銀行員を
雇い続けるのであればこうしたトラブルは
今後なくならないでしょうこちらの考えは
変わりません身内だからと言って問題を
起こし続ける人材を囲い続ける経営者など
ろなものではない総取りがそのような考え
であれば今後も7星銀行からはいい人材が
離れ続け先行は良くないはずだお願いし
ます
謝罪に伺った際の竹の内の態度が改まって
いないようでしたら遠慮なく契約を破棄し
ていただいて構いませんその際は私の退職
を持って安倍さんに重ねてご迷惑をおかけ
したとお詫びさせていただきますちょ
ちょっと待ってください真山さんの退職を
望んでいるわけではありません俺が断って
も覚悟が決まった山さんは引くことなく
必死に俺に頼込んでくるそんな彼女の熱い
に負け最後のチャンスという約束で2人が
謝罪に訪れることを仕方なく許可したの
だった数日後真山さんは竹の内と共に
システムAのオフィスビルへとやってきた
大雪室に入るとスーツ姿の2人が
立ち上がる真山さんは真剣な差しを俺に
向けると開校1番謝罪を口にしたこの旅は
誠に申し訳ありませんでした深深と頭を
下げた彼女の隣で竹の内は棒立ちのまま
居心地悪そうな表情をしている俺が何気
なく彼に視線を向けると目をそらされ
おまけに小さく下打ちされたそれに気づい
た真山さんは下げていた頭をあげると
竹の内の方を向き直り思いっきり
睨むあなたの態度が温まらないようならの
私がな処罰を下すよう取りから一任されて
いると言ったはずよふざけた態度を取る
なら7星銀行だけでなく遠とも縁を切る
覚悟があるのねどうやら真山さんはあの後
遠に掛け合ったようだ自分も責任を取って
首になる覚悟でたの内に関する権限を
もぎ取ったのだろう厳しい口調で注意され
彼女の見幕に圧倒された竹の内は老化し目
を泳がせながらもゆっくりと頭を
下げるすみませんでしたしぶしぶとはいえ
初めて謝罪の言葉を口にし頭を下げる
竹の内俺はそれを見てまるで問題を起こし
てふくされる小学生のようだと思いため息
をつい
た真山さんの真剣さは十分に伝わりました
しかし竹の内さんの心のこもっていない
謝罪は必要ありません反省していない彼は
また同じことを繰り返すでしょうから待て
よ勝手に決めつけるなうちとの契約が
なくなればそっちも大きな損をするんだぞ
それでもいいのかよ竹の内が俺に噛みつく
とたのう君と怒りのこもった声で静止する
真山さん俺は怒る彼女に構わないと
目くばせする私は君と違って経営上の尊
だけで仕事はしていませんしかし長い目で
見れば君のような人間がいる会社との取引
は経営の面でもリスクです信用を落とす
ような事故や事件を起こすでしょうから
知ったようなこと言うなよ俺が頭まで下げ
てるのに何が不満なんだちゃんと謝った
だろう君が頭を下げることに何の価値が
あるんですか反省しないことも謝れば何で
も許されと思っていることも何もかも不満
ですね竹の内は顔を真っ赤にしわなわな
震え始めた裕福な家庭で育ち自身を
エリートと信じて疑わなかった彼はこれ
まで面と向かって他人から否定されたこと
などはなかったのだろう怒りと知力が
ない混ぜになっているのかそばから見てい
ても分かったじゃあどうしたら反省して
るって信じるんだよ何を言っても契約を元
に戻すつもりなんてないんだろうこの
卑怯者では聞きますが何に対して反省して
いるんですか私を見た目で判断し暴言を
吐いて真山さんに取りつかたことでしょう
かそれとも同じ日に煽り運転をして迷惑を
かけたこと全身事故の現場から逃走した
ことですか俺の言葉に竹の内は言葉を失う
さんは両を見開き驚いた顔をしていたそれ
は一体どういうことでしょう安倍さんは
何かご存知なんですか全て七星銀行に伺っ
た日に起きたことですよ俺はあの日約束の
時間に遅れた理由を話した道中危険な運転
をするスポーツカーがいたこと当てした
年配の男性を無視して通りすぎたため解放
していたことそして問題のスポーツカーと
同じ車が七星銀行に停車しておりそこから
竹の内が降りてきた
ことなんてこと職場でのトラブルだけじゃ
なかったなんてそんなの出とした犯罪行為
じゃ
ない誤解だ確かにあの日は昼過ぎに出勤し
たけど同じ車種ってだけで俺と決めつける
のは飛躍しすぎだろこの世に1台しかない
わけじゃあるまし
そう言うと思ってたのでドライブ
レコーダーを調べました事故当時の映像
から七星銀行に泊まっていた竹の内さんの
車で間違いないことはすでに確認済みです
俺はあらかじめ用意しておいた証拠の写真
を2人に見せる2枚の写真に移る車の
ナンバープレートは完全に一致していた
このことは被害者のご家族にも伝えてあり
ます警察にも通報することになりますが
足らず竹の内は青ざめると今度はこの世の
終わりのような表情で震え始めたた頼む
警察だけはやめてくれこの通りだそんな
ことになれば縁を切られかねない七星近郊
の遠を含め家族から縁を切られ支援が
断ち切られることを恐れているのだろう
おそらくこれまでも力のある親や親族の力
を借りて問題を起こしても大事にならない
ようもみ消してきたはずだすでに七星銀行
には多大な迷惑をかけており遠からも
ほとんど愛想をつかされているとは思う
それでも一応竹の内も警察沙汰は超えては
ならない一戦だと分かっているらしいそれ
は被害を受けた方が決めることですこれ
までの罪を償い迷惑をかけた7星銀行の
ためにも退職するをおめしますその場で膝
から崩れ落ちる竹の内を横目に俺は真山
さんに
向き直るこちらとしては竹の内さんが罪を
償い反省することが望みです彼のいない
七星銀行との契約であれば前向きに検討し
たいと考えておりますあありがとうござい
ます上にもそのように伝えますそれから
もう1つ条件がありますははい何でしょう
可能な限り対応させてもらいますその言葉
に今日初めて柔らかい表情を見せていた
真山さんの顔にまた緊張が走る真面目な
顔つきの彼女を安心させようと俺は
笑いかけた条件は真山さんのような誠実な
方が担当を続けてくれることです七星銀行
にあなたのような人が増えてくれると
嬉しいです
そう言いきると一礼してその場を後にする
涙目になった真山さんは俺が部屋から出て
いくまでずっと深く頭を下げ続けていた
その後竹の内は警察からの事情調子を
受けることとなるすでに十分な証拠が揃っ
ていたため煽り運転の罪が問われるのに
時間はかからなかったさらに竹の内はこれ
までも悪質な運転を繰り返していたらし
近隣の人たちから目撃情報が寄せられてい
たそうだ今回の件は余罪とともに厳しく
罰せられることに俺が偶然言わせた事故に
ついては被害者の男性がその地域では有名
な自主であったそのため地域住民に迷惑を
かけるドライバーは徹底的に罰を与えたい
と訴訟の姿勢を崩さなかったという運の
つけた竹の内の災難は今後でもまだまだ
続きそうだこれらを受け七星銀行は竹の内
の解雇を成績に決定する激怒した遠から縁
を切られるどころか賠償金の請求をされる
ことになった竹の内は後ろを失い職も失う
そして多額の借金だけが残るのだったその
後も俺は相変わらずエンジニアとして他の
社員たちと共に楽しく働いている
今回の一見で取り締まり役らしさが足り
ないとか立場にふさわしい振る舞いをする
よう注意されることもあった俺が舐め
られるのは構わないだがそれにより
システムAやその社員たちが損をするよう
なことがあってはならないシステムAを
より良くし開発で世の中に貢献していく
ために経営にも最近は積極的に携わるよう
になった現場主義が変わることはないだろ
が良い方向に変化していければ嬉しい七星
銀行との取引については竹の内の一見が人
段落した時点で再開されたこれまで通り
真山さんがうちの担当をしてくれており
良好な関係が続けられている元通りの
穏やかな日常に戻ったがこれまで通りでは
なくなったことが1つだけあったそれは俺
と山さんの個人的な関係だの件から頻繁に
顔を合わせるようになり信頼できる人だと
改めて感じることが増えたお互いに仕事
一筋で生きてきて独身だったこともあり
価値観が合い話がはんだそのうち
プライベートでもたまにあって食事をする
関係になっていっ
た安倍さんに救ってもらった七星銀行を
良い会社だと言ってもらえるように頑張り
ますのでそばで見ていてくださいね
少し照れながら言った言葉は仕事人間の
彼女らしい告白の言葉だと後で気づいた俺
はこの変わりつつある日常を大切にして
いきたいと感じて
[音楽]
いるキカだ2度と連絡するなお前は首だ
それどころではないんですすぐに戻ってき
てください実は
うるさいせやは大声でそう
怒鳴りつける休暇中というが誰もそんな
ことは聞いていない予定表では今日は普通
に出勤のはずだなおさんは携帯にかけても
せやが出なかったので出勤していると思っ
て会社にかけてきたのだろう腹は立つが
父親である社長の命の危機なのだとにかく
戻ってもらわないと俺は必死で説得しよう
とした大変なことが起きたんですとにかく
話を聞いてください僕に指しするな僕は
社長だ一番偉いんだお前みたいな底辺の
労働者は帰ったらすぐに追い出してやる
からなですが社長うるさいもう絶対にかけ
てくるな休暇の邪魔するなわかりました
この男には何を言っても無駄らしい望み
通り放置した結果者長は会議されること
に俺の名前は須藤正45歳死の歌詞
メーカー下田成果に務めている所属は営業
部今の役職は課長だ主な仕事は文字通り
営業だスーパーや貸店などを回って歌詞を
下ろしているうちの会社ではスナック菓子
はもちろんだが昔からの伝統的な家とや豆
など和風の懐かしい歌詞も多く作っている
俺は子供の頃からうちの会社の歌詞の
ファンでどうしても下田成果に勤めたかっ
た大学には行かず高校を出てすぐに就職を
したのだが希望が叶って入社することが
できた時は本当に嬉しかったそれ以来
ずっとうちの歌詞の魅力を広めるために頑
いる俺が入社した時の社長は初代社長で
70歳近かったがまだお元気だった俺が
子供の頃に好きだった歌詞の大部分をこの
方が考案して作り続けていたらしいその話
を聞いた時は感動した元々は小さな
駄菓子屋から出発したそうだが丁寧に作り
続けた歌詞が世間に認められと呼ばれる
歌詞メーカーへと発展した初代社長はやか
な優しいおじいさんという方で俺たち社員
にもいつも優しく接してくださったものだ
だが俺が入社2年目に体を壊して引退し今
の社長にワを譲ってすぐに亡くなった
まるで本当の祖父を失ったように悲しかっ
た2代目社長も悪い人ではない偉大な初代
社長の後を継ぎ立派に会社を守っている大
変わり後に色々と新しいことにチャレンジ
しその結果さらに会社を大きくした大した
人だと思う新しい歌詞だけではなく昔から
の歌詞も大事に守り続けるその姿勢に俺は
ますますこの会社に入って良かったと思っ
たものだただ2代目社長には1つだけどう
にも困ったことがあるそれは息子に甘い
ことだそれもめちゃくちゃ甘い息子のせや
というのが言ってはなんだがどうしようも
ない人間だ親が社長なのを鼻にかけ子供の
頃からわがまま放題社員をまるで自分の
下僕のように思っているせやがまだ幼稚園
の頃俺も一度大変な目にあったことがある
梅雨の時期に社長頼まれて幼稚園の
送り迎えをしたのだが迎えに行ったらそこ
には泥まみれのせやが待っていたおそらく
面白がって水溜まりを飛びあきでもしたの
だろう靴もズボもドロドロに汚れている
そしてせやはその姿のまま平気で車に
乗り込もうとしてきた通勤用に使っている
自分の車だそんな足で乗られてはたまら
ないと思い靴だけでもそうとしたらせやは
いきなり怒り出し脱いだ靴を顔にぶつけ
られた小さな子供の靴とはいえ泥で汚れた
ものだもちろん顔中泥だらけぶつけられた
弾みに髪にもスーツにも泥が飛び散り
どっちが泥遊びをしたのか分からない姿に
なってしまったそしてぶつけた本人は俺の
そんな姿を見て両手を叩いて大喜びをしし
ているいくら幼稚園児でもやっていいこと
と悪いことがある思わずしったらせやは
今度は大泣きして父親に言いつけて首にし
てやると大暴れされた迎えに来た保護者
たちの注目の的にはなるし幼稚園の先生
たちも困りきった顔でこちらを見るだけで
誰も助けてはくれないきっと普段から
こんな調子なので下手に関わりたくなかっ
たのだろう
後部座席が汚れるのは仕方がないと諦め
せやを車に押し込んで社長宅に送り届けた
名がついた途端に名がついた途端に宣言
通りに父親に泣きついて俺を首にしろと
わめき散らしたのだこれは一体何があった
んだね困ったような顔の社長に聞かれ正直
にあったことを全部話した俺の状態を見
たら嘘ではないと分かるはず俺は社長を
信頼していたのできっとせやを注意して
くれると思っていたのだが帰ってきた言葉
がこうだった君の言い方がきつかったん
じゃないかねせやはまだ幼稚園の子なんだ
よ君はまだ子供がいないから仕方がないが
ちょっときりが足らなかったのかもな確か
に俺は当時まだ独身で子供もいなかったが
そういう問題ではないだろ驚いて言葉も
ない俺の方を向いてまだ幼いせやは圧巻べ
をしてみせた結局車の清掃台やスーツの
クリーニング代は出してくれなかった悪い
のは小さな子大声で怖がらせた俺の方そう
いう結論にでもなったのだろう腹立たしい
ことこの上なかっただがこのことで社長は
俺とせやは相が良くないとしてくれたよう
だそれ以降俺には夜関係の頼み事をしてこ
なくなったので結果往来にはなった俺の
場合はそれで済んだが運悪く社長が我が子
と相性がいいと認定した社員の場合はそれ
が現在までずっと続いている正直気の毒で
たまらないだがそれで社長に色々と目を
かけてもらえているから割り切ってその役
を引き受けているのかもしれないが
とにかくずっとそんな感じでせやは社員に
命令をするだけではなく気に入らないと足
を蹴ったり物をぶつけたり社長の子だから
と皆が我慢をしていたのも悪かったの
だろう子供の時のまま大人になってしまい
今では手がつけられない人間になって
しまった社長はそんな息子を叱りもしない
し何をやっても目を細めて見ているだけ
いくら社長として立派でもその一点だけで
人間性まで信じられなくなるほどだバカ
息子を猫かいがにする親ば社長それが社長
の評価と言っていいだろうそして残念な
ことにとうとうせやが後を継いで3代目
社長になることが決まった先代と違って
社長はまだまだお元気だが60歳になっ
たら引退しようと決めていたらしい
せやも立派に育ったし私は会長として
ちょっとゆっくりさせてもらおうと思って
いるこんなにも頼もしい後継者がいるんだ
から我が下田成果の育成は安泰というもの
だ諸君も安心して仕事を頑張ってほしい
この挨拶を聞いてその通りだと安心した
ものが果たしているのだろうか一体あの
せやのどこをどう見たら立派に育った
頼もしい継者に見えるの
親が我が子を見る目が甘くなるのは分から
ないではないだが理解できるのはある程度
のレベルまでの話だ他人の目には犯罪
レベルの悪業も社長の目には可愛い天使の
いたずらぐらいに見えているようで一体
どんな見方をしているのか不思議でなら
ないだがどう嘆いてもすでに決まって
しまったことはどうしようもないこうして
せやが3代目をついで新社長となって
しまった僕が社長になったからには社員を
甘やかしてはおかないからな底辺の労働者
というものは厳しくしつけてやらないと
どうにもならないこれから僕の言うことに
は全部素直に従うように逆らうものは解雇
するせやの就任挨拶がこれだったせやは
その言葉の通り自分の言う通りにならない
社員にはすぐに首にすると言って脅しを
かけるようになったいいから僕の言う通り
にやってればいいんだよ無能な底辺の労働
者がいくら考えたって時間の無駄分かっ
たらとっとと言って
こいその通りにやらずにうまくいかなかっ
たらどう言われるか分かったもんではない
言われた通りにやった結果うまくいか
なかったら今度はこうだ僕に言われた
からってそのままやってればいいってもん
じゃないんだよ
そこを工夫してうまくやれないんなら会社
は一体何のために給料を払って
るってことになるだろうが本当にたまった
もんじゃないそれでせやの言うことを聞く
ふりをして自分で考えその結果うまく行く
と自分の手柄にしてしまうほら僕の言う
通りやってよかったじゃない分かった
だろうお前たち無能な底辺は僕の言うこと
を黙って聞いておけばいいんだよどうせ
それしかできないんですさ頭に来るが下手
に逆らって機嫌を損ねるともっと始末が
悪くなる例えば社長の決済が必要な書類を
承認しないとかわざと会議に遅刻するとか
無断血筋するとかそんな子供じみた
嫌がらせをしてくるのだそれでは仕事が
進められない会社全体の迷惑になるみんな
仕方なくせやの言うことをふりをして仕事
をなんとか回すのが暗黙の了解になってき
た俺は会社をやめたくなってきたあれほど
憧れ入社事には感動した俺ですらそうなの
だから実際に辞める社員もちらほら出たの
も仕方がないだろうこのままでは会社が
潰れてしまう誰もがそんな危機感を持った
頃もっと深刻な問題が起きてしまったいつ
ものようにモヤモヤした気持ちを抱え
ながら仕事をしているととんでもない連絡
が入った社長が倒れて病院へ運ばれ緊急
手術をすることになったという社長夫人の
なおさんから息子をすぐに帰らせてくれと
電話があったのだが肝心のせやの姿が見え
ないみんなで手分けして探したがどこにも
いない今日は出社の予定になっているのに
一体どこに行ったのか仕方なくせやの携帯
にかけたが何度かけても出ないなおさんに
連絡しようにもあちらも病院内なので電話
を切っている困り果てた俺たちはとにかく
手分けしてあちこちに電話をかけまくる
ことにしたせやが行きそうな場所会ってい
そうな相手など片っ端から電話をしまくる
せやのSNSもチェックするが今日は何も
更新がない
社長だけでなくせやにも何かあったのでは
ないか本気でそう思うようになり警察に
通報をという話が出るようになった頃
やっと携帯に反応があったちょうど電話を
かけていたのが俺だったので急いで戻って
くるようにとせやに伝えたのだが内容も
聞かずにこう言われた休暇中だ2度と連絡
するなお前は首がそれどころではないん
ですすぐに戻ってきてください実は
うるさいせやは大声でそう怒鳴りつける
休暇中というが誰もそんなことは聞いてい
ない予定表では今日は普通に出勤のはずだ
なおさんは携帯にかけてもせやが出なかっ
たので出勤していると思って会社にかけて
きたのだろう腹は立つが父親である社長の
命の危機なのだとにかく戻ってもらわない
と俺はは必死で説得しようとした大変な
ことが起きたんですとにかく話を聞いて
ください僕に差しするな僕は社長だ一番
偉いんだお前みたいな底辺の労働者は帰っ
たらすぐに追い出してやるからなですが
社長うるさいもう絶対にかけてくるな休暇
の邪魔するなわかりました分かればいいだ
けど休暇を邪魔したことは絶対に許さない
からな
せやはそう言い捨てると電話を切ったこの
男には何を言っても無駄らしい俺は電話の
内容を皆に説明した誰もが呆れて口も聞け
ない状態だ仮にも社長という立場であり
ながら誰にも何も言わずに休暇を取って
いるまずそこからどうしようもないさらに
それを母親にさえ黙っていた学校をさった
中学生ではないだ責任ある立場の人間が
やることでは
ないこれはもう放置するしかないでしょう
ねみんな俺の意見に首を縦に振る当然
だろうだが問題は社長もせやもいなくて
仕事をどうするかということだ今日は大事
な契約がある大手デパートの治会場に
懐かしの駄菓子としてうちの会社のお菓子
を出すことになっているほぼ話は決まって
いてあとは契約書を交わすだけそこに社長
の決算員が必要なのだ仕方ない代理で役員
であるなおさんの班をもらおう病院へ行っ
てくる本当なら命のかかった手術をして
いる夫のそばにいる方にそんな話を持って
いきたくはないだがそうしなければ会社の
信用に関わるのだ俺は病院へ急いだそして
病院側に事情を説明し手術室のあるエリア
まで通してもらった手術の待ち合い室には
名子さんと娘のほさんがいた社長の手術は
まだ続いている社長は自宅で心臓の発作を
起こして倒れた幸いにもなおさんとほさん
が一緒にいてすぐに救急車を呼んで病院へ
運んでもらえ緊急手術を受けることができ
たのだもし少しでも遅れていたら手の施し
用がなかっただろうと医者が言っていた
こんな状態でこのようなことをお願いする
のは心苦しいのですが俺が状況を説明する
となおさんは情けなさそうにため息をつい
たそしてほさんに社長のことを任せると
役員の班を取るため自宅へ戻ると言って
くれた本当なら心配で数分だって離れたく
ないだろうにあんな息子を持ったためにと
俺は気の毒でならなかった俺は代りの決算
員をもらうともう一度なおさんを病院へ
送り契約のために大手デパートへと急いだ
俺が取ってきた仕事だここでダメにする
わけにはいか
ないそして無事に契約は完了した俺が契約
を終えて会社に戻ると同じタイミングで
社長の手術が無事に終わったと連絡が入っ
たまだ安心はできないがなんとか一面は
取り止めたと聞き皆でほっとする親馬で
あんな男を後継者にした人ではあるが社長
としての業績は立派だったし息子さえ絡ま
なければまともな人間だできれば聖夜を
やめさせてもう一度戻ってくれないかと
思ったこともあるがこんな病をしたらその
希望ももうない
だろう激動の1日が終わり皆は仕事を終え
て代謝した明日は土曜日次の日は日曜日だ
大変な1日の疲れをゆっくりと
癒そう週明けの月曜日俺が出社するとせや
が怒り狂っていた親父が手術で大変なのに
なんで知らせてこなかっ
たこの男は一体何を言ってるのだ
仕事をさって休暇でどこかに行っていた
人間を皆でどれほど手分けして探し回った
ことか何十回何百回も電話をかけてやっと
通じたら邪魔するなと話を聞かなかったの
は一体誰だ皆が無言でいるとせやは
イライラした様子で続ける一体誰が隠した
んだそんなやはすぐに首だそんな事実は
どこにもないだがいつものように自分に
だけ都合がいい話を事実にしようとして
いるもう黙ってはいられない首にしたけれ
ば勝手にすればいいお言葉ですが私は
きちんと説明しようとしたのに話を聞か
なかったのはそちらですなんだと俺の言葉
にせやは目を三角に吊り上げて俺を見た
もう一度言わせてもらいます私が社長がお
倒れになったこと手術をされていること
なおさんがあなたを探していることそれら
を説明しようとしたら聞かなかったのは
あなたですなんよこの底辺の平社員が私は
平社員ではありません課長です今は平も
課長も関係ないがこの男に自分が思って
いることだけが事実だとは思わせたくなく
てあえて間違いを訂正したじゃあ今すぐ
平らにしてやるお前は攻殻だ無理です俺は
ピシャリと言い返した業務上での失敗の
ない人間を理由なく広角になんかできる
はずがないでしょう失敗したじゃないか僕
に父親の一大児を知らせなかったさっきも
言いましたが言おうとしたのに言わせ
なかったのはあなたです俺が声を張り上げ
てそう言うとせやはびくりと身を縮めた
いつまでもそうやって身勝手な言分が通る
と大違いだ今回の失敗をしたのはあなた
です失敗で格だというのならあなたこそ攻
だいつもそうやって首だ首だと言うが社員
を首にするのがそんなに簡単だと思うのか
そんなことすらわからないのか俺は興奮し
てかなりの大声で怒鳴りつけていたようだ
気がつけばせやを壁に追い詰めるようにし
て立っていたせやは壁に持たれるようにし
てビクビクした顔でそれでも最後の一言を
なんとか口にするパパに火つけて首にして
やるからせやはなんとそう言って
しゃくりあげながら泣き出した幼稚園の時
俺に泥靴を投げつけた時と同じ顔だせやは
今30歳そんな大人の男が5歳の時と同じ
ことをやっている本当に情けな
いいですよ言いつけなさいそれで気が済む
のならいくらでもどうぞ俺がさらに大きな
声でそう言うとせやは壁に持たれたまま
ずるずると崩れ落ちて座り込み大きな声を
あげて大泣きし始めた皆が呆れて見ている
こんな人間が自分が勤めている会社の社長
なのかもうこんな会社に未来はないな皆の
考えは多分一緒だろうせやを少しでも
こらしめられたのはいいがこの後一体どう
したらいいものか俺は真剣に困ってしまっ
たもちろん他のみんなも困っているせやは
ただ泣き続けるだけだとっとと泣き止んで
もらいなんとか話を進めたいがどうしよう
もない今日は平日で普通に仕事をする日な
のだこんな男の相手をしている時間はない
みんな暇ではないどうしようかと皆で顔を
見合わせていると思わぬ人が現れたなお
さんだ母親を見てせやが喜ぶかと思ったら
意外なことに泣きやみはしたが硬い表情で
黙ってしまったなおさんも息子を冷たい目
でじろりと見ただけで言葉も書けなかった
この旅は皆さんにご心配とご迷惑をおかけ
いたしましたなおさんはそう言って頭を
下げて謝罪をしてくれた幸いにも夫の容態
は安定しています回復も順調でもう心配は
ないだろうとのことですその言葉を聞いて
皆は喜びの声をあげたそして伝言を伝えに
来ました会長である夫から本日付けで息子
を社長から会議するとのことです
この言葉に皆はさっき以上の喜びの声を
あげたなんでだよせやは驚いて立ち上がっ
たこの会社の社長は僕なんだ嘘言わないで
よいいえ嘘ではないわなおは厳しい表情で
せやにそう言ったお父さんはねあなたを
社長にしたのは失敗だったやっとそのこと
に気がついたとおっしゃっているのだから
社長をやめてちょうだい
なんでだよ僕が何をしたって言うんだよ
本気でそう言っているのだろうかもしかし
て自分がやってきたことを覚えていないの
かつい3日前にも無断欠席した上に俺に
不当解雇を宣言していたくせに逆に聞く
けどあなたは社長になって一体何をしたの
う私の耳に入るあなたの噂本当にろでも
ない話しか聞こえてこない私がどれだけ
情けなく思っていたかなおさんは言葉の
通りに情けなさそうな顔で首を左右に振っ
た私はずっとお父さんにあなたを甘やかす
のはやめてほしいそう言ってきたのでも
聞いてくれなかったあとりだから好きかっ
てさせてあなたをダメな人間にしてしまっ
た何言ってるんだよ僕はこんなに立派にを
務めてるだろ自分で自分のダメなところが
分かっていないそれが本当に情けないの
まだ自覚のある悪人の方が何倍もましよ
自分がやっていることを悪いと分かって
いるのだ
からなおさんの言葉は深くさすがのせやも
うと唸って黙ってしまったお父さんは最後
の情けとしてあなたに自分から社長をやめ
てほしいそうわどうするのやめさせられる
かそれとも自分からやめるかどっちを
選ぶせやはまだ唸りながら苦しそうに考え
ていたがしばらくして観念したようにこう
言った分かったやめるよやめればいいん
だろう最後まで拗ねた子供のような言い方
だっ
たこうしてせやは辞をしなおさんが社長に
なることに決まったすぐに引き継ぎ作業が
行われ下田成果は新しい経営大生のも1
から再スタートした本当に皆さんには色々
と大変な思いをさせましたもう一度謝罪を
させてくださいそしてこれからの下田成果
に続けてお力を犯しください立派な挨拶に
社員全員が拍手を送ったこれで俺たちも
安心して仕事を続けることができる俺は
大事な会社をこれからも守れることが本当
に嬉しい会社はいずれ社長の娘のほさんが
継ぐことになる今はその勉強のために
新しく社長になった母親のそばで秘書をし
ている兄と比べて本当に立派な人だと少し
話をしてよくわかったどうして社長は最初
からこの人をにしなかったのか不思議だ
ももなおさんは初代社長の秘書だったその
時に社長にみめられ初代社長に息子を支え
てやってくれないかと頼まれて結婚を
受け入れた当時から切れ物で結婚後も社長
を影から支え続けた優秀な方なのだ今も
役員を務めているのはそのためだおそらく
なおさんがほさんはせやのようにはする
そう思ってきちんと育てたのに違いない
きっと素晴らしい時代社長になること
だろう名子さんは俺が息子を怒鳴りつけて
くれたことに礼を言い色々と話を聞かせて
くれた麻酔から冷めた社長は自分が助かっ
たことを知るとまず最初にせやはどうした
となおさんに聞いたそうだなおさんは社長
に何があったかを説明したのだが社長は
それでもまだせやをかったまあ社長という
ものはそのぐらいわがままでないとな人の
上に立つ人間はいちいち下の人間に自分の
細かい事情なんて説明しなくてもいい
だろうなおさんはこの言葉に呆れてしまい
社長がまだまだ安静が必要だと知りながら
思わず声を荒げたあなたはまだそんなこと
を言ってるんですかあなたが散々かせて
好きかってさせたせいであの子はあんな
情けない人間になってしまったんです
分かってるんですか社長は妻の見幕に驚い
て言葉もなかったがなおさんはさらにこう
続けたもう限界です今のようなことを
続けるのならあなたもせやももうどうなっ
ても知りません離婚してください私はほを
連れてすぐに家を出ていきますから離婚
って何を言ってるんだお前お前はこんな
状態の私を見捨てるというのかあなたの
ことはもうずっと前から見捨ててました今
命の危険があるのはあなただけじゃあり
ません下田せかもですせやが社長になって
から会社の状態がどうなっているかあなた
も分かってるでしょうになおさんの言葉を
聞いて社長はもごもごと口ごもった会社の
状態が悪くなっていることにはもちろん気
がついてただがせやにその理由を聞くと
こう答えていた僕がまだ若いからって
みんななかなか言うことを聞かないんだよ
僕が言ったようにさえしていたら全部
うまくいってるはずなのにもしかしたら僕
の優秀さに嫉妬してるのかもしれない社長
はその言葉を信じたそしていつものように
せやを叱ることもせずこれからも頑張れと
激励するだけだったそのおかげで何人もの
古くからの優秀な社員が辞めたいと言って
きましたなんとかお願いして引き止められ
た人もいますがどうしても無理だと辞めた
人もいらっしゃいますどうしてもこのまま
せやを社長にしておくというのなら私は
その人たちと一緒に下田成果をやめて
新しく会社を立ち上げます社長はその言葉
に驚き考えた結果せやを懐妊することを
了承したわかりましたあなたの決心を評価
してとりあえず離婚はしないことにします
ですがもう1つ条件があります新しい社長
には私がなりますそして次の社長はほです
そんなことをしたらせやはどうなるまだ
そんなことを言ってるんですかもしかし
たらほりが覚めたらまたせやを社長にとか
考えているんじゃないでしょうねもしそう
ならやっぱり離婚ですなおさんがそう言う
と社長は大慌てで首を左右に振って必死に
否定した思ってないそんなことは絶対に
思ってない分かったお前が社長になってほ
を後継者にすればいいそれからあなたも
会長辞任取り締まり役もやめてください
その体ではもう仕事を続けるのは無理
でしょうし下手に権力だけ持ち続けたら
いつまたせやをと言い出すかわかりません
から
なおさんの本気を知った社長はその条件も
のみ完全に会社から手を引くことを約束し
た社長は退院した後は静かな場所にある捕
所で療養をすることになったというのは
公実でこれは社長をせやと接触させない
ためだ何しろあれほどの愛情を注ぎ何でも
言うことを聞いていた社長だせやが
泣きついたらまた元の状態に戻ってしかも
しれない今は一面を取り止めて大人しくし
ているけど元気になったらどんなことを
考えるか分かりません私は夫のことも信用
していないんです私は尊敬する仙台社長の
義父が作ったこの会社を守りたいそのため
にできることは何でもやりますなおさんの
決意は固かったそれからこんなこともあっ
たらしい実は社長が倒れたあの日無断血を
してせやは人妻と密か旅行の真最中だった
らしい夫が出張になったからと突然誘われ
そのために出勤予定を無視して突然休んだ
ということだだがそれは罠だった少し前
から相手の夫は妻の様子がおかしいと思っ
て調べていてあの日も更新所が後をつけて
いたので2人の中がバレてしまった翌日
止まっていたホテルから出てきたところを
女性の夫に吸収されせやは金で肩を
つつけるからと捨てゼリフを残し逃げる
ように自宅に戻ったその時に父親が倒れた
ことを知ったとかせやは急いで病院に
かけつけたが父親の容態を聞くより先に
こんなことを言ったママちょうど良かった
こんなことがあってさすごく腹が立った
から欲しいなら慰謝料ぐらい好きなだけ
払ってやるって言って帰ってきてやった
まるで立派な行いでもしたかのようなその
言葉になおさんは激怒した今あなたの父親
は命がかかった大きな手術を乗り越えて
眠っているところなのよそれを心配する気
はないの他に何か言うことがあるんじゃ
ないでももう助かったんでしょだったら
それよりも僕の慰謝料の方が大事じゃない
それはこれから払うんだしさそれを聞いて
すぐになおさんは息子を病院から追い出し
たあれが本当に自分の血を分けた子供なの
だろうかひどいとは思っていたがここまで
とは思わなかったもうせやもせやをそんな
人間にしてしまった夫も見限って家を
出ようそう決めて社長が目を覚ましたら
離婚を言い渡して家を出るつもりだったの
だが話した結果なんとか社長が言うことを
聞いたのでそれは思いとまったという話だ
私だってあの子の親です愛情がないわけ
じゃないですが他人として見るとあんなに
ひどい人間はいませんどれだけひどい母親
と言われても突き放すのが私の責任の取り
方だと今では思っていますせやは山奥の寺
に預けたが今も全く変わっていないそうだ
自分は社長だなんでこんなことをしなけれ
ばいけないんだと泣いたりえたりしている
らしいあの慰謝料は建て替えましたがその
分を働いて返すまでは家には入れないと
言ってありますもしも本当に反省して全額
返してくれたならその時には家に入れて
やってもいいと思っていますがそんな日は
来るのでしょうかねなおさんは寂しそうに
そう言って笑った申し訳ないが俺にはそれ
ははな夢に思える子供ののあの
ふてぶてしい態度社長になってからのあの
言動どれ1つ取っても大丈夫だと言って
あげられる言葉を俺には見つけられない
からだきっとなおさんにもそれは分かって
いるだろう俺が返事をしないことに何も
言わなかった新体性になって再スタートを
切った神聖下田成果は順調に動き出した
新しく社長になったなさんはきちんとの
意見を聞きよく考えて自分の判断を聞かせ
てくれる本当にいい上司だおかげで社員は
新しい歌詞のアイデアをどんどん出せる
ようになり新しいイベントを思いついて
提案することもしやすくなったさらにあの
時せやの代わりに決算員をもらったあの
大手デパートのイベントが大成功をして俺
は昇進することになった本当に須藤君は
頼りがあります
うちの会社を心から愛してくれているん
ですね夫もあなたみたいな人をもっと大事
にしてくれたらよかったのにその言葉に俺
は思わず苦笑する社長は確かにいい人で
きちんとしていたとは思うだが俺に対して
は息子を怖い目に合わせたという思いが
残っていたのかいくら仕事で成果をあげて
もそれに見合う評価はしてもらえなかった
今の課長という役職も俺が一定の成果を
上げて営業成績もいいためにいやいやけて
くれたという感じだった今俺は営業部の
部長だ前の部長は社長の代替わりの後の
一連の出来事に疲れてしまい定年までは
まだ数年あったが退職したいと言ってやめ
てしまっ
た俺が前の部長に自分が後を継いで部長に
なったこと今は車内が落ち着いていること
を報告すると
そんなにいい環境になるならやめなければ
よかったなと言って笑いながら祝福して
くれた本当にせやのおかげでうちの会社は
貴重な人材を失ってしまったそして短い間
ではあるがあのどうしようもないせやの
体勢のも会社自体の信用もかなり落とした
取り返すにはかなりかかるだろうが馴染み
の取引先はもうかなり理解してくれている
これも初代者社長が作ってくれた
素晴らしい歌詞とその歌詞を愛してくれる
ファンの人たちがあってこそだこれからは
まっすぐに前だけを見て仕事をしていけば
いい愛する下田成果をもっともっと
盛り立ててうちの素晴らしい歌詞を世界中
に知ってもらいたい俺の心は晴れやか
だ父さん知ってる今日は母さん友達と旅行
に行ったんじゃないよ
どうしたんだ急にそんなはずないだろう
じゃあ誰と言ったん
だその時の俺はただの好奇心から聞いてい
た結婚30年目の妻の教子はその日から
友達と旅行に行っているはずだっ
た驚かないで聞いてね相手は男詳しく言え
ば浮気あいてさ何を言っているんだ啓介嘘
はやめて
くれ嘘じゃないよ本当さほら
これそう言ってケスやメモ用紙を差し出し
たその名前にはっとした俺は急いで実質を
調べて
みるメモの名前と俺が25年前に受け取っ
た名刺のそれが一致してい
たケ母さんが浮きしているというのは本当
なのかうんそれは間違いないよそうかそれ
なら俺は25年間浮気されてたよう
だねえ父さんは母さんを許せないあの人に
やり返し
たい俺は啓介の質問に静かに頷い
た僕に任せて少し散歩でもしながら話そう
よ俺は荻原光54歳
今年で結婚30年となる妻の教皇今でも
変わらず愛している男
だ若い頃の教子はとても美しかっ
た2人で町を歩けば男たちの視線が彼女へ
注が
れる彼女に見れる男たちのそばで連れの
女性たちがいつも怖い顔をし
た自分を見ないで他の女に釘付けになる
彼氏や旦那が許せないのだろう
そんな様子を観察するのが俺は何よりも
楽しかっ
た皆が振り返るような美しい妻を持って
得意な気持ちだっ
たあの頃と比べたらその美貌もやや衰えた
とは
思う今では彼女に見れる人も減ってきたで
も俺にとっては美しい妻だし54歳という
年齢を考えれば十分に綺麗
だそれに
30年間の幸せな思い出と共に教子は俺の
中で神格化されてき
た美しい妻を持てる男はそういるはずが
ないと自していたの
だ俺と京子とは私立大学の同級生で学部も
同じだっ
た男子学生が多く少ない女子学生の中で
彼女はぱっと人目を引く
存在校内を歩いているところやで友達と断
する姿を見ては立ち止まって
しまう彼女は誰よりも可愛かっ
たしかし自分から話しかける勇気は
ないそんな俺にある日天気が
訪れる大学の図書館で今子と2人きりに
なったの
だ緊張する俺に彼女は親しげに話しかけて

た同じ学部ですよねしかも同級生私知っ
てるんだあ私は京子ですうん俺は荻原光
ですそういえば俺もきこちゃんよく
見かけるよそれからは自然と話が
弾むいつしか仲良くなって2人で大学の
帰りや休日にも出かけるようにだから告白
でもしてもし撃沈した場合には次の日から
どう接すればいいか困っただろう
けれどもそんな展開にはならなかっ
たきこちゃん俺と付き合って
くださいうんいいよでもその代わりこれ
からは京子って呼んでくれる私もみつひろ
って呼ぶね彼女はやかにそう言った勇気を
出して思いを告げた結果晴れて京子と恋人
同士になれたの
だ図書館での偶然の出会いもあり俺は京子
に対して運命めいたものを感じてい
た京子と付き合い出して1年ほど経った頃
のこと俺たちは仲むつまじ過ごしていた
その日大学で顔を合わせると今日の予定を
聞くごめん今日は友達と約束しているの
明日は
どうそう言って両手を合わせた彼女の姿を
見るとこれ以上強くは出られない
それに京子の方から明日を指定してきたの
は嬉しくもあっ
た分かった俺も明日でもいいなじゃあ明日
ね次の約束は取り付けたが今日も誰かと
過ごしたい気分で
ある俺は友達を誘って大学から電車で3駅
の町へ出た6時半頃から飲み始めた俺たち
は9時には1軒目を後にしていた角を
曲がり線路沿いに進んでいくと少し前を6
人の男女が歩いて
いる一目で大学生だと分かったそのうちの
1人に見覚えがある今日の昼間大学で見た
のと同じ洋服の
後ろ姿俺はてっきり京子の友達というのは
女友達だと思っていたが女子ばかりでは
なかったのだ今夜は合コンが開催されたの
だろう今日の京子の服装は講義を受ける
だけにしては気合いが入っていた彼女は俺
を騙したのだろうか最初は男子が前で女子
が後ろだったがふいに男女のペアに
入れ替わる京子は嬉しそうに話しかける男
の顔を見上げながら華やかな笑い声を
立てる隣り合う2人の距離が近い今すぐに
割り込んでいって両者を引き離すべき
だろうかすると事態に気がついた友人が指
をさしてさいたあれって光の彼女だよな
お前このこと知ってたの俺は大きく首を横

振るそれまずくないかまあ友達同士の
集まりにも見える
けど俺には友達と約束があるってだけ言っ
てたそれだけ答えると見失わないよう静か
に跡をつけて
いくこのま解散ってのもありえるな一応
ほら駅に向かってるしが彼らは駅には入ら
ずに高架下を南口へ
通り抜けるそして一軒の店の前に
立ち止まるとそのまま入って行っ
たまたこれから飲むのかなでも友達に
付き合わされたって可能性もあるし明日
直接聞いてみ
たら今の時代ならスマホにかけてもいいが
この時代にはまだ携帯電話がない次の日に
なって大学で教子を見つけるとこちらへ
手招きした俺は担当直入に聞いてみるきこ
昨日何してたの何って友達と会ってたのよ
そう言った
でしょう京子は少し唇を尖らせて軽減そう
な顔をし
た友達って女友達
当たり前じゃない彼女は明らかに嘘をつい
ている男たちと一緒の姿を俺はこの目で見
たのだからいやちょっと気になって聞いて
みただけなん
だ男がいたら私言ってないよ信じてくれ
ないなら私こそ光のことを許さないわ昨日
は本当に女子だけだったから信じて
ね彼女はまたしても嘘をつきそして理不尽
なことを言うが俺はそれを指摘しなかっ
た分かったそういえば今日は大丈夫
うんそう笑顔で頷いた教子を見ると何も
言えなくなるそれから抗議が終わり京子と
待ち合わせをして駅までの道を
歩く光聞いてる今日の最後の講義眠くて
たまらなかった
のはその後ものないことを喋り
続ける俺はその愛らしい声を聞けるのが
嬉しかったそのために教子を問い詰める
最初のチャンスを逃してしまったのだこの
時に釘をさしておけばあんなことにはなら
なかったかもしれないの
に大学を卒業して2年目に俺たちは結婚し
たこれ以上の女性は現れないだろう教子に
首ったけな俺はそう判断した
時々彼女が自分のそばを離れていく可能性
を想像してしまうそれを思うと恐ろしく
すぐにでも咳を入れたいと望んだので
ある結婚してもしばらくは子供を作らない
と決めていたそれは少しでも恋人気分を
長引かせたかったからそれに20代前半の
教子は輝いていた出産のせいで美しさに日
が入るのが
怖い俺は自分の素直な気持ちを彼女に告げ
たあなたが私を大事に思ってくれる気持ち
とても嬉しいわそれに私も子供は少し早い
ような気がしていたのもう少し2人の時間
を楽しんでからでも遅くないわねそう
しようまあでも子供は急に欲しくなるかも
しれないしこればっかりは分からないね
そうね今のうちに2人でいっぱい遊び
ましょう旅行にも行きたい
わ彼女は俺の願いを心よく受け入れてくれ
たそれなら自分も教子の望みをなるべく
叶えてあげたい俺は休日になると進んで
彼女の買い物に付き添った色々なところへ
食事に出かけ季節ごとに全国へ旅行に
行く数年間俺たちはそんな風に過ごしてい
たしかし休日であっても時々こちらに外せ
ない用事ができる
すると京子はプリプリとした顔で文句を
言うどうしてあなたが一緒に来てくれ
なきゃ私も出かけられないじゃない1人で
行くのは寂しいしすまないでも今日だけな
んだ来週にしようよお友達を誘ってみたら
どう付き合ってくれるんじゃ
ない彼女の気持ちをなめるためにそう言っ

みるこんな急に誘うのは無理
まあ今回は許してあげるその代わり今度の
旅行には絶対に連れてってわかった約束
するそう約束した25年前の夏俺たちは
秘書地に来ていた彼女の願いを聞き入れて
ゴミゴミした町から2泊3日の予定で避難
してきたのだ朝食を食べた2人は一度
ホテルの部屋に戻っていた
の窓からは明るい光が入って
くる京子はすみの前に立っていた白いワン
ピースを着た自分の全身をチェックして
いるすらりとした滑らかな肌に当面感の
ある服装がよく
似合う俺がソファーに座ったまま見れて
いると彼女が鏡越しに声をかけてきたお
天気もいいし少しだけホテルの周りを散歩
してくる
わ15分くらいで戻って来るからあなたは
それまでに準備しておい
て部屋を出ていく後ろ姿を見送ると俺は
すぐにうとうとしてしまった
らしいビクンと気がついて腕時計を見ると
すでに約束の15分は過ぎていた入れ違い
になるのはまずいが戻ってこないのも気に
なる俺はすぐにロビーに降りた
キョロキョロと辺りを探したが見当たら
ない外に出てホテルを一周してみても彼女
には出会わなかったひょっとすると部屋に
戻っているかもしれないと思い駆けると
部屋の中は空っぽだった俺は息承unaし
てロビーへと戻るすると一面の窓ガラス
越しに美しいワンピース姿の彼女を見つけ
てほっと胸を撫で下ろしたするとその後ろ
から同世代と思われる男が近づいてくる
京子がパッと振り返ったのを見ると男が声
をかけたのだろうそれから彼女は
立ち止まって彼が来るのを待ち一緒に歩き
出すどうも出会ったばかりには見えない
ほど仲むつまじい
2人は微笑みあっている入り口近くに来る
と彼らは向き直り不に男がポケットから
小さな紙切れのようなものを
差し出す彼女はそれを受け取ると大事そう
に手の平に包んだやがて2人は別れ
た京子がロビーに入ってくると俺は早速今
のことを
問いただすきこ今の男は誰なんだ知り合い
なのか君に対して随分と親しげだったが
興奮していたせいかまくし立てるように
聞いて
しまうあなたちょっと落ち着いてよ
知り合いじゃないわ今あったばかりの人よ
散歩してたら声をかけてきたの信じてね
じゃないと私怒るわ芸能事務所の方だった

ほらそう言って彼女は手に持った紙片を
差し出した見ると確かに会社の名刺てある
俺は少し落ち着きを取り戻したそれに彼女
のことを信じてあげないと後が怖い俺は
教子の機嫌を損ねないように聞いてみた
君はこういうのをよく受け取っていたよね
今でも興味があるのかい彼女には学生時代
モデル活動をしていた時期が
ある町を歩いているだけで目につく美しさ
を芸能事務所が放っておかなかったの
だしかし結婚した彼女が今更自分を
売り出すような真似はしないだろうと高を
くっていたが子の答えは予想外のものだっ
た興味はないけれど声をかけてもらえると
やっぱり嬉しいじゃないそれはあなただっ
て分かってくれるでしょうちょっとの間
だけこの名刺を持っていてもいいかしら気
が済んだらあなたにあげる
わそんな風に言われると反対はし
づらい分かったまあ俺としては行動には
映して欲しくないけどなそれから10日
ほどが経った頃のこと夕食後に家の
ソファーでくつろいでいると教子が
立ち上がるまた戻ってきて見覚えのある
名刺を差し出し
たこれやっぱり必要ないわ光弘にあげる
あなたに心配かけたくないしそうかこちら
の気持ちを察する彼女の優しさがひどく
嬉しい名刺をしまった俺はすっかり満足し
ていたこの問題はこれで全て解決したと
思っていたのだ
あれから25年もの歳月が経ったこの日
から京子は3連休を利用して2泊3日で
友人との旅行に出かけていた彼女はそう
やって時々夫の元を離れて羽を伸ばすのだ
その期間は俺が率先して夕飯を
作る今日は何を作ろうかと思っていると
息子の啓介が突然こんなことを
言う父さん知ってる今日は母さん友達旅行
に行ったんじゃないよどうしたんだ急に
そんなはずはないだろうじゃあ誰と言った
んだその時の俺はただの好奇心から聞いて
いたが次の言葉を聞くとともに驚きで目を
丸くして
しまう驚かないで聞いてね相手は男詳しく
言えば浮気相手
さ介は普段と変わらぬトンで恐ろしいこと
を言ってくるしかしその顔を見れば俺を
心配しているのが分かっ
た何を言ってるんだ啓介嘘はやめてくれ
母さんのことでふざけたことを言っちゃ
いけないよ俺はそう返しながらも内心
ドキドキしていた50代になった彼女には
未だに女性の色気がある嘘じゃないよ本当
のことなんだほらこれと言って啓介はメモ
用紙を差し出した男の名前と電話番号が
書かれているその名前をしばらく見ている
うち俺ははっとしてしまう実質に行き
クローゼットを開けたそして1つの箱を
取り出すとそれを床に
ひっくり返す焦って探すうち目当てのもの
が見つかった忘れもしない25年前の夏に
教子が受け取った芸能事務所の名神
これを渡したのはあの時の男に違いない
メモの名前と教子のくれた名刺のそれとが
一致していた戻ってきた俺はがっくりと
ソファーに腰を下ろした啓介母さんが浮気
しているというのは本当なのかこんな大事
なことでお前が嘘をつくとも思えないが
当たり前だろ僕だってそれくらいの常識は
わきまえてるその人は間違いなく母さんの
浮きあいてさ
そうかそれなら俺は25年間浮気されてた
よう
だうれた俺に啓介が
語りかけるねえ父さんは母さんを許せない
あの人にやり返したい俺はその質問に静か
に頷い
たしかしどうすればいいのか検討もつか
ない僕に任せて少し散歩でもしながら
話そうよ啓介に促されるままに俺たちは
昼間の外へ出
た啓介は22歳で今年大学を卒業する予定
だ彼はあの秘書地への旅行の後にできた
子供で
ある凡人である俺や教子とは違い啓介は
とても頭が良かった具体的な数字で示すと
IQが160もある東大生の平均IQが
120だそうだからそれよりも1と数だ介
は幼い頃から賢かったが普通の意味での
優等性ではなかったそんな彼の天気になっ
たのがIQテスト異常値を示したその結果
を受けて学校から病院での診察を進められ
たがそこで言われたのは表し抜けする言葉
だっ
た息子さんの力になりたいのは山々です
しかしそれは難しいかもしれませ
ん君にはギフテッドの兆候がある脳機能の
発達の遅れとギフテッドの症状は他人の目
から見ると似ていますそれは知能の工程が
違うだけのように見えるです
がですが何でしょうやはり息子には問題が
あるのですかいえ問題があるというよりも
その逆です頭が良すぎるために私たちの手
に負えないところがある端的に言えば医者
になる人よりも息子さんの方が知能は上
ですおそらく私たちが何を言っても自分
よりも知能の低い人から教えを受けるよう
な感覚を覚える
でしょうさを投げられた格好だが医者の話
も最もである啓介からすれば俺も医者も
自分より知能の低い人間であるのに変わり
はないどうやって母さんの浮気を知ったの
か知りたい2人で歩道を歩き始めると早速
啓介が聞いてきた
ああもちろんだでも父さんが期待している
ように頭を使ったわけじゃないよごく簡単
なことなんだ僕は母さんの携帯のロック
ナンバーを知っているたったそれだけの
ことでもそれだけ分かればあの人が浮気
相手であるのがすぐに炙り出せるあの人と
言われて俺は25年前の光景と名刺の名前
を変わるがる
思い浮かべるどうして母さんのがる母さん
はよく僕にスマホの使い方を聞いてくるで
その時に目の前でロックナンバーをすんだ
けどそれで覚えちゃう僕はなんとなく
母さんのメッセージアプリを開いてみたん
だすると妙にやり取りの親密な人がいてね
ユーザーメは女性なんだけど中の人は確実
に男メッセージの中では本名で呼び合って
いたから名前を割り出すのも簡単だった
よの話を聞くうちににが湧いてくる母さん
のプライベートを調べ上げているのはなぜ
なんだってところだよね父さん怒らないで
聞いてほしいこれは歴とした取材の一環な
んだ僕は今1つの物語を書き上げたいと
思っているでそれは想像だけに頼るもので
はなく現実の出来事が反映された内容にし
たいんだちょっと待ってくれつまり介お前
は母さんの浮気を題材にして説をでもして
いるのか啓介は子供の頃から本が好きで
よく読んでいたそれに国語屋社会が好き
だったからそれが執筆につがっても不思議
じゃないまあそうだね本当は別の人でも
良かったんだでもたまたま身近に格好の
取材先を発見した俺は啓介の話に驚いてい
たけれど小説家は自分についてもらに書く
そうだし族をにするくらい当たり前なのか
もしれ
ないそうなんだねお前の話を聞いていると
母さんの浮気で悩みかけたのが吹っ飛び
そうだよ父さんの頭じゃ啓介の発想には
とてもならないでどうすればやり返せんだ
いそれは母さんたちが泊まるホテルへ行け
ば一発さそれも分かってるから本当か俺が
驚いて聞くと介は微笑みながら頷く
1つ聞いていいかお前は自分の母親の浮気
についてはどう思ってるんだもちろん許せ
ないよ決まってるだろだから父さんに教え
た父さんを悲しませたり騙したりしている
母さんは嫌いだそうかそれならいいんだ
ありがとう自分の味方をしてくれる彼の
気持ちを知って俺はほっと胸を撫で下ろし
たそれから家に帰るとがの行き先を教えて
くれただとすると俺に伝えた行き先は
真っ赤な嘘だったんだなソファーに
ぐったりと持たれた俺に啓介が1つの提案
をする父さん今から母さんに電話してみな
よ明日俺たちも2人で旅行に行くことにし
たって
さ僕が小説を書いていて街並はホテルの
様子を取材する必要があるって言うんだ
なるほどそれでそれからわざとと母さんが
父さんに教えてくれた行先を出すここには
行かないから安心してってね元々母さんは
そこにはいないしもちろん僕たちもそこに
は行かない俺は啓介の話を聞いているうち
にピンときたで明日は母さんの本当の居所
を突撃するわけだそうなんだけど今日の
うちに出発しよう明日出かけて行って
すれ違いになると面倒だでも母さんには
明日行くって伝えて
そうだなそれがいい彼の言葉に勇気を得た
俺は早速京子に電話をかけてみるが彼女は
なかなか出ないソファーから立ち上がって
もう一度かけてみると今度はすぐに出た
もしもしあなたどうしたのどうもしない
けれど君はどうしてるのかなって思って
ねそう心配してくれてるの私たちは朝から
色々と回ったから今は少し休憩中もう
しばらくしたらまた出かける予定よあなた
たちもちゃんとご飯食べてね京子の声の他
には何も聞こえない今は静かな場所に1人
でいるの
だろううんそうするよそういえば明日から
啓介と2人で旅行に行くことにしたんだ1
泊2日だけど先に断っておかないと君に
叱られそうだから報告しておくえ本当に
2人でなんて珍しいじゃない別に私怒っ
たりしないわよそれより旅行に行くなんて
どういう風の吹き回し
かしら今ね啓介が小説を執筆しているそう
なんだその取材のために旅行先の街並みや
ホテルなんかを見ておきたいらしくてそれ
からそこで楽しんでいる人たちの様子もね
恋愛要素があってカップルの姿を目に
焼きつけたい
らしいふうんそうなのまああの子は賢いし
分際もあるだろうからスラスラとかけて
しまうのねいい意味で自分の子供とは思え
ないわでも恋愛なら自分と彼女のことから
想像を膨らませればいいのにそう言って
京子はふふっと笑った啓介とその恋人を
思って微笑ましくなったのだろうしかし
啓介が取材したいのは教子とその浮気相手
なのだまあそういうわけで明日から俺たち
も旅行に行くからもちろん君の元へ
押しかけたりはしないようんそうして
くれる京子の声はどことなく嬉しそう
だねえもし明日君の元へ行くって言ったら
どう俺はともかくお友達に啓介を見せたら
とても喜んでくれると思うんだけど君も
賢い息子を紹介できて鼻が高いんじゃない

いそんなことしなくてもいいわ介だって
ここを取材したいわけじゃないんでしょう
それにお友達だって気を使っちゃうわだ
から来ないでねあなた
いい彼女は寝をすように
言う分かったよそういえば一緒にいる友達
って女性だよねまさか男じゃないよな俺は
何の前置きもなしにいきなり確信に触れて
みる子は押したかと思うと焦りを隠すよう
に答え出した何を言っているのそんなわけ
ないじゃないいつもの人たちよ知ってる
でしょうそれはよかった君は美人だから
もしかしたらと思ってねちょっとお世辞は
嬉しいけれど冗談きついわよそう答える
彼女の声は早くも元気を取り戻して
いるこういうこと昔にもあったな
確か大学生の頃の話さ男といたんじゃない
かって君に聞くと軽くあわれたあの時は
実際どうだったんだろうひょっとして嘘を
疲れていたりして今日のあなたくどいわよ
そんな昔話覚えてないわそれに私が嘘を
つくわけないじゃ
ないその言葉を聞いて俺は呆れていた君は
たった今嘘をついただろうと
なる男のことを尋ねると京子はいつだって
カリカリするそれならいいんだごめんね
それじゃあじゃあね
あなたそう言って静かに電話が切れたそれ
から俺たちはすぐに今後の予定を立てた
まずは京子の泊まるホテルとそこへ行く
ための新幹線の手配が必要である
問い合わせてみるとどちらにも空があり幸
の良さが
えるホームページを見る限り京子が好み
そうな朝食を出すホテルであるこれなら
作戦を実行した時に空振りをする恐れは
ない
だろう明るいうちに出かけた俺たちは夕方
には目的地についていたホテルにチェック
インする際にロビーを見渡したが教子の姿
はない俺は急に不安になるなあ介本当に
母さんはこのホテルに止まってるだよな
もちろんちゃんとチェック済みだよその
言葉を信じることにしたしかし明日の対決
を思うとどうも落ち着いていられない2人
でその気持ちを抑えつけるようにお土産の
駅弁を食べるその日はホテルから一歩も出
ずに床に着い
た夜が開けていよいよ決戦の日俺たちは
朝一から朝食バイキングが開かれる会場の
近くにいた少し離れたところで見張って
いると1組目のお客が来て2組目3組目と
続くそのうちに見慣れた美女と中年男の
カップルが現れた彼らは張り出された
メニューの前で中almostまに
寄り添っているそれから中へと入って
いくなるほどあの人が母さんの脇相手か
父さんそろそろだね
ああ俺たちはその場でしばらく待った後
そっと会場へと入った入り口から見渡すと
すぐに2人の姿を見つけた明るい窓際の席
で向かい合っている最初の料理を取り終え
て食べ始めていたちょうど2人の隣の席が
空いている俺たちはそこへ向かっていった
そして椅子を引きながら京子に問いかけた
すみませんお隣よろしいですかはい
どうぞ言葉に詰まった彼女の瞳が大きく
見開かれている信じられないとでも言い
たげな
表情それから素早く瞬きをした目が今度は
ケスへと注がれ
たちょっとあなたあなた
たち動揺を隠せない教子は黙って俯いて
しまうそんな彼女から視線を話すと目の前
の中年男と目があっ
たあのお尻ですかとまけな質問をして
くるこの男は現在の白場に気がついてい
ない
らしいそれともううかづきながらも精一杯
この場を取り繕うつもりなのかフォークを
握った男の左の薬指には指輪がはめられて
いた京子の薬指には俺が送った指輪が光っ
ている周りからは2人は夫婦に見えている
だろうそれを思うと強いが湧いてくる夫
ですそして
息子京子が早くも観念したように呟いた
知らばっくれるのは無理だと悟ったの
だろうかあそうなんですねそれはどうも釈
する彼を俺は無視したきここの方はどなた
なんだい男はいないって言ってたじゃない
か君が嘘をついたとも思いたくないけれど
そう聞くと子はパっと顔をあげて
答える誰ってどなたでもないわたまたま
このホテルで知り合ったのこうやって食事
をするくらいいいでしょうそれにもうすぐ
お友達も来るのよなあ君は本気で言ってる
のか今日のことが偶然なはずがないこいつ
の名前は橋本充だろ俺は全部知ってるんだ
俺はそう言って1枚の名刺を取り出し
テーブルに叩きつけたおやこれは私の名刺
ですね失礼ですがどこかでお会いしました
かあなたは黙ってて彼女の鋭い声が会場内
に響き渡った君は25年前にあの秘書子で
出会ったこの男とずっと浮気をしてたんだ
な認めなさい京子は黙ったまま首を横に
振るとけても無駄だよ証拠上がってるんだ
啓介が全て調べ上げたんだから
俺たちの賢い息子がなこの子は何でも探り
出せるそれを聞いた京子が啓介に視線を
向けると彼は静かに頷いた母さんもう諦め
てよ僕は全てを知っている母さんとこの人
を見たのだって今日が初めてじゃないんだ
母さんたちが食事しているその後ろの席で
聞き耳を立てていたこともある僕の恋人と
一緒にねどうしてそんな
それはいつのことですか全然気づかなかっ
たなピントのずれた質問をしてくる橋本
相手にせずケースは教子を見据えていった
僕は今小説を書いているでそれにはモデル
がいてねそれが母さんなんだ母さんと浮気
相手の恋い模様が話の中心もちろん
ノンフィクションじゃないよ取材したもの
を徹底的にフィクションへと変換するだ
から母さんをモデルにするけど読者には
その姿が透けて見えることはない主題を
一言で言うと浮気する美女ってところかな
啓介の話を聞いた教子は呆然としたまま何
度もまばたき
する橋本の顔には驚きと関心が入り混じっ
ていた母さん聞いて僕は母さんに対して
大きく二通りの興味を持っているまずは
具体的な自分の母親としてそれともう1つ
は母親という一般名詞としての
母さんだから僕は今回のことを自分の母親
の浮気であると同時に一般的な母親のそれ
だとも感じているその辺りが興味深いんだ
彼女はうえたような表情を
するこれまでにも僕はいくつかネットで
小説を発表してきたけれど抽象的だとか
作者は自分でも何を言っているか分かって
ないだろうってコメントに書かれて挙句の
果てにはこいつは自分に酔っているだけ
だって言われもした悔しかったんだでも
こんな風に他人の言葉に反応してしまう
自分は珍しいそんな時に知ったのが母さん
の浮気なんだこれなら行けるって直感した
よけすには自分の考えのままに突っ走る
ところがあった他人と話すのは下手では
ないがほとんどの場合対当なやり取りには
ならない介が自分の話のレベルを
引き下げるか相手が伸びをするかである
今回彼は京子の浮気に取材した作品で現状
を打開したいと思っているなんとも皮肉な
状況だが帰って笑えてくるそれにけすの
執筆は京子の心に強い打撃を加えるに違い
ないそして取材してきたこの物語も
いよいよクライマックスさ妻と夫それに
浮気あいてそれから息子までが一同に返し
ての修和だ母さん僕はこの最終局面におい
て父さんに勝利を納めて欲しいと思ってる
なるほどあなたは小説を書いてるんですね
しかも私たちを題材にしてしかし
スキャンダルは困るな橋本が急に嬉しそう
な声をあげた若い才能を発見して目を
キラキラさせている不少女を気にする
ところなどいかにも芸能事務所の人間
らしいそんな橋元を啓介は睨みつけた
あなたは黙っていて
くださいねえ啓介あなたはさっきから何を
言っているの私には分からないわお願いだ
からそんなこと言わないでちょうだい
きここれで分かっただろ君の行動は筒抜け
だったんだ俺は君を許さない25年もの間
嘘をつかれてきたんだからなこっちの愛情
も一気に覚めてしまったもう離婚だよそう
言い捨てて俺はは深いため息をつく
ちょっと待ってよあなた何を言い出すの
離婚されでもしたら私はこの先どうなるの
安いアパートに引っ越してパートの時間を
増やせば平気さそうでなければ契約社員の
口でも見つけなさいとにかく浮気をした君
が悪いんだそれは認めるね彼女はそれには
答えずにそっと目を伏せたが静かに顔を
あげるとしらしく喋り
出すねえあなた私が悪かったですごめん
なさい謝るわだから許してちょうだいもう
間違いはしませんえお願い許して
あなたそんな猫撫で声に今更騙される俺で

ないだめだ君の謝罪は受け取るが許しはし
ないそう宣言した途端子の瞳からバ涙が
溢れ出すそれからテーブルへ突っ伏すと
少女のように泣き出しただが教子への愛
から解放された俺にはその姿が固形にしか
見えないそうやって泣き落としをしようと
しても無駄さ冷静に考えてみろ君は54な
んだよ若くて美しい娘じゃないべったりと
した圧しを落とせばシがびっしりだし肌に
は張も潤いもないもうおばあさんじゃない
かそんな女が子供みたいにワンワン泣いて
許しをこうなんてみともない恥をしれ僕も
それには同感だなこの間僕の彼女が家に来
た時だってそうだ母さんはいつも以上に
化粧が暑いし無駄に聞かってるし高そうな
ブレスレットもつけちゃって吹き出しそう
だったよ僕の彼女にマウントでも取ろうと
したのやめてくれよ22歳と54歳じゃ鼻
から勝負にならないから
そこで京子が静かに顔をあげた悔しそうに
俺たちを
睨みつけるどうしたんだ自慢の目元が
ぐちゃぐちゃじゃない
かもう誰だかわからないよそんな顔を見
たらこいつだって100年の恋も覚めるん
じゃないか彼女は急いで両手で顔を折った
いやあの私は京子さんとは腐れと言います
か長い間一緒にいるだけでもう恋や愛など
とでもおいあんたはさっきからとけたこと
ばっかり言やがってイライラするんだよ
ずっと今子と浮けしてたんだろ既婚者の癖
してよそれは認めるよな俺が怒りの目を
向けると足元はさっとまたを伏せて
こっくり頷いたそれならもう黙っててくれ
土星を浴びた橋元は背中を曲げてしとして
いる情けないその姿を見た子が目をそらし
たそうか分かった母さんの若い女への嫉妬
についても書こうリアリティが大切だから
ね啓介それは明暗だ
素晴らしいやめてよもう私を馬鹿にしない
でねえあなたつい昨日まで私のことを綺麗
だって言ってくれたじゃないあれは嘘だっ
たの啓介も母さんを馬鹿にしてひどいわ私
のことを小説にするだななんてやめて
そんな風に言われると昨日までの自分が
バカとしか思えなかったまあそれについて
は俺の目が節穴だったと認めるよでも今回
の剣で目が覚めた先誇っていた頃の君は
もういないすでにしぼんでいたんだこれ
から先は散っていくだけさで俺はそんなお
ばあさんは嫌いだ僕は馬鹿になんてしてい
ないよ母さんは大切な取材対象だからね
それに小説にするのをやめる気もない
そして今の僕にはジャーナリズムの精神も
芽ばえ始めてる真実は明るみにし
なきゃきこの目は晴れて美しさのかけらも
ないきこ君への恋は冷めたんだもう愛して
などいないいやはっきりと像に変わった君
の顔を見ていると不愉快になる別れる以外
に選択肢は
ないそんなあなたねえお願いとつぶやき
ながら彼女はこちらに手を伸ばしてきたが
俺はそれを
振り払う触るな汚
はしあなた許してお願いよ諦めろもう
終わりだそう突き放すと京子はがっくりと
頭を垂れた明るい室で染めのこしの白髪が
見にくく光っていた父さんお腹空いたね
せっかくだし僕たちも食べていこうよ
そうだなだけど橋本さんあんたは席を外し
てくれるかそれと今の名刺を持っている
ならここに1枚置いてってくれ後から京子
の荷物を取りに行くから橋本は財布から
名刺を取り出してテーブルに置くとすぐに
去っていく名刺を見ると会社は以前と同じ
だが役職は上がっていた静かになった京子
のそばで食事を済ましたの約束通り2人の
部屋に向かったそこで全ての荷物を
受け取り橋元と別れるとそのまま
チェックアウトする一見落着して座った新
幹線の中京子1人だけが深くれていた帰宅
してしばらくは押したまっていたきこだが
急に塩らしく泣きついてきたが俺はそれを
厳しく
突っぱねる結局2人の離婚が決まり俺の
味方をしてくれた啓介にも依存はなかった
弁護を通して橋本に料を請求したがその際
に彼の妻にも浮気がばれたらしい俺と橋本
の妻によって2人はきっぱりと別れさせ
られたそして彼女は絶対に橋本とは離婚し
ないとのことこれで京子と橋本がくっつく
線も消えたわけだ家を出た京子は今では
実家近くの安アパートに移りすんだが
借りる際には人着あったアパートを借りる
には連保証にが必要だが俺はどうしても
なりたくないそのため無理を生じて京子の
兄に頼んでみたすると意外にもすんなり
了承してくれるしかし1つ条件がありそれ
は京子が父母の介護を受けようこと教子は
彼らが30歳を過ぎての子なので父母は
すでに85歳を越しているそれまでは京子
の兄夫妻が主に面倒を見ていたが今では
京子の仕事だもちろん収入は発生しないし
父母も感謝するどころか容量の悪い恐怖を
起ってばかりいるらしい兄夫妻は厄介な
仕事を押し付けることができて俺に感謝
さえしていた自らの浮気のせいで熟年離婚
に至った教子は新たなパート探しにも苦労
したようやく見つけたパートに加えて介護
に消耗する生活は以前の教子には予想も
できなかったに違いないしかし地獄のよう
なその生活は今後もずっと続いていくのだ
これから教子は再現もなく彼しぼんでいき
男には見向きもされず若い女には馬鹿にさ
れていくの
だろう後日京子の思い出が残る家を売りに
出すと予想外の高値がついたそのお金で
マンションへと引っ越した俺たちは以前
よりも快適に暮らしている啓介は京子に
取材した小説を書き上げてネット上に発表
すると立ちまち反響があったング上位に
なり出版者からも声がかかったしかし冷静
な啓介は就職する傍執筆を続けていく
つもりだというそんな啓介に俺はこんな
ことを言った啓介小説を書くのはいいが
もう今回みたいな取材はやめておけよ
当たり前さもうこんな取材はしない今回は
特別だよ僕は初めから母さんをこらしめる
ことと父さんを救うことが目的だったん
だそう
介は穏やかに微笑んだ子一筋の生活から
解放された俺は心身共に身軽に感じている
啓介の活躍を祈りつつ自分も好きなことに
挑戦しようと思い映画について学び始めた
人生はまだ折り返したばかりであるこれ
から先新たな風が舞い込んでくるに違い
[音楽]
ないHV
[音楽]

▼動画タイトル
【スカッと総集編】中途入社した俺が1ヶ月で独自システムを構築すると部長「特許は俺の名前で出したぞw」俺「あとは任せました」→翌月、部長「システムトラブルだぞ!無能が!」俺「全権利はお前にあるので失礼w」

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2 Comments

  1. 2話目みたいなの懲戒解雇は当たり前、会社に慰謝料請求するわ結構な額、それと今まで奪われた案件のインセンティブ、それによって役職上がれなかった可能性含めて慰謝料とはまた別に差額分の給料と慰謝料請求する、前川個人じゃ金取れないかもしれないから、金ある方に請求するんよ、それでその分会社が前川に請求すればいい!!会社が弁護士立ててきたら、悪いと全く思ってないんだな、思ってたら弁護士なんか立てないだろってこの口調で社長に言うわ!!役職も上げる交渉も即するし!!

  2. 銀行の話は不思議な話だ。なぜ一銀行支店が取引相手になるんだ。銀行本社のシステム部なりが相手になるんじゃないのか?

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