【声優の朗読】まるで落語の世界!~山本周五郎・作『ゆうれい貸屋』【時代小説】

幽霊 柏谷山本 清五郎 1怠け者にも言えば理は あり江戸京橋住市のやぱ長屋という裏に 桶屋のやろというものが住んでい たやは怠け者であったそれも なくらいのものではない人をぐする程度で もないもっとずっとひどい怠け者であっ たあいつはしよがねえやろのやつ は家主の平作老人は探測し次のように 折り紙をつけ たああいうのをそ抜けてん だこれに対して反対するものは1人もない そればかりでなく底抜けという折り紙は そのままやのもになっ たやろの父はやと言ってこれは評判の 働き者であっ たやはり屋職人で酒もタバコもトバも優等 も嫌いであり食うのと寝る時間の他は働き 同士に働い たやが46で死んだ時やろは21であった 律儀な父親の仕込みで彼もお屋としては かなりな腕を持っていたし親の顧客を そっくり引き継いだし母親は丈夫でいたし というわけで生活はまあまあ楽であっ た彼は20死で嫁をもらっ たすると母親が死んだ誠にやけないもので 3人で晩飯を食べている 彼女は突然茶碗と橋を放り出して仰向様に ひっ たふざけているようにも見えたがともかく も寝床を敷いて寝かした彼女は夜中まで いびきをかいて眠っていてそれから目を 覚まして盆の久保で有りが行列をやって いるなどと言い出し たおっぱいてくれというのでよく見たが ありなどはいなかった いないことはないよよく見ておくれ よ母親は子供のむがるようにせがん だほらほらぼの久保から頭へ行列してる じゃないかほら髪の毛の中へぞろぞろ入っ ていくよああ嫌だ おっぱい額の方まで行列してくる よそしてほどなくと唸った気持ちの良さ そうなああいい心持ちだというような唸り 方であったそれが死ぬ合図であっ たやろは元から勤勉とは言えなかっただが 母親が亡くなると初めて本性を表し た仕事をすれば確かな腕を見せるが だんだん仕事をしなくなっていっ たそうかと言って道楽をするわけでも なかっ た父親と違って彼は酒を飲むしタバコも 吸う女遊びも避けはしないだがなければ

ないでも済ん だ浮かない顔をしてるわねあんたお酒でも 買ってこよう か女房がそう言うと彼はあびを するうん酒かあそうさ なあそしてだるそうにどこかを描いて 言うまそんなことにでもする か酒を買ってきて勘をして出してやれば 出してやるだけ飲む黙って飯にすれば彼は 黙って飯を 食うもう1本つけろとかこれでやめよう などということは決してないタバコも同様 であり優等も同様であっ た仕事はどうするのさ仕事をしてくれなく ちゃ困るじゃないか伊勢屋さんから せっつかれて私は返事の仕様がありゃし ない一体あんたどうする気なの さどうもしねえ さやろはあびを するどうもしねえしまたしたくもねえさ 仕事をしなければ顧客は減る自然収入が ない夫婦の幸愛で女房が陳仕事などをして 2年ばかりはその日を凌いだけれども情愛 は無限大ではない女房は飽きてきたそして 家主の平作郎に相談し たそうだろうね無理はね無理はねえと思う がと家主はさすがに年だけの分別は見せ たともかく俺が一度意見をしてみようそれ で行けなければしよがねえがまあ一応その 様子を見てからにしたらいい だろう平作郎は意見をしに出かけていった ところがやろは不真面目な格好で寝そべっ たままでそれで奪還したようなことを言っ たそう仕事仕事ったってしようがねえ俺の 親父なんぞは寝るを惜しんで仕事をした親 さんなんぞも褒めていたから知ってる だろうがまるで仕事の猛者みてに稼いだ もんだそれでどうしたかってえばやっぱり 年中ピーピーだったから ね酒もバも飲まねえこれが楽しみってこと を何にも知らずクソ働きに働き同士でそれ でも貧乏から抜けることができねえでそう して46なんて年で死んじまったから ね同じこったよ大家さん生ぜ稼いだところ でまた稼がねえでいたところでよどうせ 抜けられねえ貧乏ならアセするだけ尊て 感情さ それからだるそうに大きなあびをし た ほらこれでいいのさこれが極楽さね売っ ちゃっといてくん ね結果は半年たるものであった女房のお金 は実家へ帰り彼は置いてきぼりを送っ た出て行く時お金は泣い て

あんたが人波の気持ちになる日を私は実家 で待ってるよ肉食って別れるんじゃない からね私は待ってるからねどうか早く 帰れるようにして おくれよこうかくいて人切りまた泣い た 2出る幽霊の身に都合 あり 女房に置いてきぼりを食って2年家主の家 から時々米とか味噌を届けてくるのとある ものを橋から売り飛ばすのとでやろはいそ 気楽草に暮らしてき たおかさんは実家で待ってるんだぞ返そう とは思わねえの か平作労は檻に触れてそう小を言っ たいい腕を持っていてめえのようなやつも ねえもんだまだ目が覚めねえの かやろは軽減そうな目をするのであった ああ誰かと思ったら大家さん かそれから手足を踏みのばして大を し何かよ か自然作郎も黙って帰るわけだっ た夏6月と言うと今の暦にして7月のこと であるが酔いの口から小雨になってそれが 野反になっても止まない気温も下がって ちょっと肌寒いくらいであっ たかもつらず寝床もしかぬままごねをして いたやろがふと目を覚まし たかりの日がなくなっていた だがその日を作るより蚊食われた方が彼に は安楽であっ たまだ降ってやがる根気のいい雨だ飽き ねえもの かしら彼は首筋やスなどをボリボリ かく変にゾクゾクするじゃねえかそれに なんだかひどく陰気な番だぜまだ夜明けに は間があるのか な独り言をブツブツ言っていたがその時 かなりケブなことが起こっ た寝転んでいるやろの前方はげとろけの壁 のところがぼとカカにあるんできたごく カカに青白くおぼろにあるんできたので あるそしてその薄い幸運の相 から [音楽] めし なこういう哀れな声が聞こえ たやろは寝転んだままそっちを見てい た隣は鉄蔵というボテ振りで夜中になると 女房がうされると見えてよく妙なうめき声 を あげるおかと言ってもう38になりっのの 抜けたひったような女房であるがまたその 女房がうされたのかと思っ たすると今度は前よりもはっきりと

やっぱりひどく哀れな声でこういうのが 聞こえ た う メシア なそしてさらにケなことには壁ののが少し ずつ強くなりやがてぼんやりと1人の女の 姿が見えてき たなんでこりゃ妙なものが出てきやがった が夢か な あら [音楽] ウア口 よし [音楽] ななら女の姿は次第にはっきりしてきた 寝巻きのようなものを着て細帯で散髪で 両手をこう前へ垂らし飲めるような姿勢で すごいような目でじっとこっちを見 た変な声をするなよ幽霊みてな格好して おめいてなん だ見ていてわからないの相手は少しむっし たようであっ たみたいな格好だっって格好つつけるん じゃない本物の幽霊よ ええ本物かいすると誰の幽霊だおかか とぼけないで よますますむっした風で あるお金なんて人知りしない私は染めじ ってこれでも辰の芸者だよ ら辰に借はねえはずだがね感情取りに来た わけじゃないよバカバカしい私は幽霊だっ て言ってるじゃないの さそれは分かってる がやろはそこであびをし現国で涙を吹いて まじりまじり相手を見 たそんならよ辰芸者の幽霊がどんな因縁で 俺んとこへなんぞ出てきたんだ だそこは私だって都合があるじゃない のそれは誰にだって都合はあるだろうが他 のことと違って幽霊だからなそっちの都合 ばかりで出るてのめちったばかり勝手すぎ やしねえ かあんたは訳を知らないからそんな白場な こと言うんだわ男ってみんなそうよみんな 白場の不人情の毛物だ わ怒っだてしようがねえ俺に怒ったってよ おめえ誰かに騙されたてわけ か騙されたも何 も優女はこう言いかけてそこへ座っ た悔しくって悔しくって男なんて本当に みんな不日でろでなしで浮気もでひしどう してくれたらいい だろそりおめえなんだそんなに悔しかっ

たらお その相手のところへ化けてれてよそいつを 取りこすなりなんなりやったの よ友情は見えをした言われなくったって そのくらいのことはやったわよその男を 取りこしたばかりじゃなくその男の一家 一族みんな取りこしてやった わそんなら何もそれでいいじゃねえかそれ で文句はねえはずじゃねえ か文句なんかありゃしないわ 文句なんかないけれどもう取りこす相手は ないし私は怨念の幽霊だから浮かばれない し中に迷って行場がなくなっちゃったの よ 3夜中の宴に酒と かきなるほどねええそんな具合のもんかね うんそいつはその行場がないとは俺も知ら なかった なああんたは死んだことがないからそんな 呑気なこと言ってるけど人間死んだからっ て誰も彼も行くところへ行けるもんじゃ なくってよ地獄へでも入れてもらえばまだ しも浮かばれないで中に迷ってるものが たくさんいるのよ脅かしちゃいけねえ変な こと1個なしにしようじゃねえかあら本当 よ嘘じゃなくって よソジ姉ちゃんは横座りになってサバ髪を 後ろへかき上げながら行っ た中でも成仏できないのは人を恨みに死ん だものそういうのは真意と言ってどんな 瞑想知識の供養でもダメなの極楽は もちろん地獄へも行けないで自分の怨念に 自分で苦しみながら未来英語中に迷ってい なければの よそいつはひでえ仕掛けだ死んでまで そんな苦労があるた驚きだそうとすりゃ俺 も考えなくちゃなら ねえやは置き直した首筋とスをバリバリ 引っ掻いてそれから念を押そうとして相手 を見て一度その目をそらしたが今度は びっくりしたように見直し たどうしたのよ何をそんなに見る の ええ うんこいつはなかなか 彼はなお相手を眺め ながらこいつはどうしておめえなかなか女 っぷりがいいじゃねえかあらいやだよして ちょうだいよ そんな何そうでね俺も辰じゃ56ぺ遊んだ ことがあるがおな生な姉ちゃんにはおめに かかったことがねえ幽霊でなけりゃただは お金ところだあらあんたうまいこと言うわ ねソジ姉さんの幽霊は上半身をくねらせ こっちを発かに睨みそうして生めかしく

多元でぶつ真似をし たらは世辞を言うなは嫌いだ よそんなら私を女将さんにしてくれる 幽霊でなけりゃ ないいじゃないの幽霊だって昼間はダメだ けれど夜だけならにだって洗濯だって できるしその他にも世間の女将さんのする ことなら大抵なことはしてあげるわ ようめえような話だがまさか ね疑うんなら今夜試してみたらいいじゃ ないのお酒の支度もしてあげるしお魚も 作ってあげるわ やろは頭を描いた姉ちゃんを見てまた頭を 描いて物は試しかなどとつぶやいたがそこ で急にがっかりして首を振っ てそいつはいいがあに米も味噌も切らし てるし酒もねえし何しろ先立つものが すっからかんと来てるんで なしけてるのねあんた 姉ちゃんの友助はこう言ったがいいわ今夜 のところは私がなんとかする わなんとかってどうかなるの か亭主になるかもしれない人のためだもの 私だって実のあるところを見せたいじゃ ないのちょっと待っ てらっしゃい優女はすっと立っ た今何か持ってきてあげるから寝ちゃっ ちゃだめよ起きてるのよ そしてあがりが町の方へ行ったと思うと 生子の隙間から煙のように出ていっ たやは気の抜けたような顔で何か口の中で 呟いていたがやがてふっと眉毛へ唾をつけ た夢でなけりゃ狐かたぬきにちねえだが 京橋の真ん中に狐やたぬきのいるわけは ねえしすると夢か な独り言を言っていると表の戸の外で女の 声がし たちょいとあんたすまないけれど塔を開け てちょうだい持ってるものがあるの よやろは返事をしてもう1度眉毛へ たっぷり唾をつけてそれから遠明けに立っ ていっ た姉山幽霊は持ちを下げてああ重かった などと言いながら上へ 上がるやは後ろから尻尾のないことを 確かめそうしてともかくも元のとろへ座っ た冷めてるけどしようがないわね急の 間に合わせだから我慢して明日の晩は もっとご馳走する わ優女はおかちを開けて見せた見事なかき の皿とどを3本坂から橋で揃って いるこれは驚きだ大串の手したうじゃねえ か随分久しく食べねえから見たばかりで腹 が成り上がるおっと俺が前を 出そういいから座ってらっしゃいよそんな

ことは女房の役男が手を出すもんじゃない の友は隅から調を出して手まにおかちの中 のものをそへ そして差しに座りりを持ってにっこり笑い ながらはいお1つ冷やでごめん なさいどうもこれはすまねえがそれじゃ もらう か遠慮することはなくってよ将さんにして くれればこのくらいのこと毎晩だっってし てあげる わそれが本当なら願ってもねえがまおにも 1つ行こうあらすみませんいただき ます思い出しだぜ嬉しいこと言うわね こちらそれじゃあ女さんにしてくれるの そのつもりでさした逆月 を本気にすることよよくて こちら彼女はまた初にこっちをじっと見て その面前たる流し目のまま逆月を唇へ持っ ていった さすがに辰の姉ちゃんである見なし目元の 色っぽさ2と言えばカーと来る調子全てが 職業的に洗練されていて到底お金なんぞの 日ではなかっ たやろはどうやらのぼせてきた様子で変に 無きに座り直し たむろんこっちは本気なんだがこちらての は具合が悪いならはやろくってもんだこれ からそう呼んでもらいてえあらいだ女房が 亭主の名を呼ぶものがあるかしらご夫婦と 決まればあなたって呼ぶわそう呼ばせて くれるなんだかゾクゾクしてき やがる目尻を下げてだらしなく 笑いするてえと俺はおめえをなんて呼べば いいんだ お前でもいいけれど本名は遅めっていうの 私遅めって呼んでもらいたい わだってお前呼び捨ててわけにはいかねえ や な私が頼むんだからいいじゃないのねえ 呼ん でそうかそれ じゃあ おさん3なんてつけちゃだめそしてもっと きつく遅めって呼ぶのねえ呼んでみ てそれじゃあ その 遅めあ嬉しいあなたもう 1度察し抑えつかば焼きを魚に飲み出した 幽霊でもようものだろうか女の青い顔が いつかポっと赤くなり目にうるみが出ての こなしがますます生めかしくなってき たあなた私酔ったわ酔ってもいいわね堪忍 してくれるわねご夫婦の固めの逆好きです ものそう でしょそうだともうんと酔いねえ酔ったら

俺が解放して やらまあ嬉しいこうなったらそばへ行くわ よてしんなりとやにもたれかかりぐいと肩 で押しながら鼻声を出し たねえ あなた断っておくけれど私とっても 焼きもち焼きなのよもしも浮気なんかし たら取りこすことよよくって あなた脅かすなよ大丈夫らは浮気なんかし ねえ から脅かしじゃないわさも話した通り私 あの白場者を取りこしてあいつの1家一族 全部取りこしたんだから取りこす当てが なくって中に迷ってるんだ からもしもあんたが浮気なんぞしたらその 時は 私分かったもう分かったよ決して浮気 なんざしねえからその取りこすだけは勘弁 して くれ彼は話を変えたくなったと見えて だがおめえこいつはこのウナギ屋酒なんぞ はどこでどうしたん だ3実件堀の田川から持ってきたの持って きたってそんなことして大丈夫か大丈夫よ 田川くらいの棚で焼きのりにかざまの2本 や3本何よそれよりみんな寝ちゃってた からこれを持って出るのに苦労しちゃった わお隙間から出入りするじゃねえ か私は針の穴だって抜けられるでもおかち だのなんだのはだめだってこういうものは 幽霊じゃないんです ものなるほどそういう理屈 かあらもうつもりだ わ友助の女はくりを置い た私1人で飲んじゃったのねもう少し取っ てきましょうかあらもういいら強かねえん だじゃあ明日の晩としてねえ あなた私酔っちゃったわよ ねえ男しい てそして世が開け た世は開けたがやろの起きたのは午後で あったこれは稀なことである怠け者に 似合わず彼は早起きだった朝早く起きれば 1日ゆっくり怠けられるというのが彼の 存念であったこんなに寝過ごしたのは 生まれて初めて だろうやろは起きてぼんやり部屋の中を 眺め回した裏だのことで隙間だらけだから 外の光はむやみなくらい差し込んで くる おあるぜうなぎもお酒も持ち もやろはそれらのものをついそこに認め たする程と夢じゃねえんだ ね彼は頭を振りふと勝手口の方へ向かって 呼ん

だおめえいるか おい 遅めもちろん返事はなかった路地で騒いで いる子供たちの声が 聞こえるやろは体のそこここをボリボリ かきそれから1人で呟いていっ たそう か幽霊だから昼間はだめ か 4これはおつり夜だけの 妻 夫婦固めのさきをした証拠はある明け方 まで続いた脳炎な形状の記憶も鮮やかだ また晩にねと約束もし たしかし本当だろうか来るだろうかいや キアしまいあんまり話がうますぎる多分 これきりのこったろそうとすれば惜しい もんだがしかしによと来るかもしれねえ 何か来るような工夫はねえもの かしら2年間のやもめ暮らしもそろそろ 飽きてきた肌しくもなってきたそこへこの 幸運であるしかもいな辰のお姉さん稼げ 稼げと言わないばかりか向こうで思考を 持ってくるたえ幽霊でも何でもこういうの を逃す手はないまして中のあの情の細やか さこいつは逃せ ねえやろは珍しくいごん だなんとか法はねえかななんとかその幽霊 の機嫌を取る方 はうんうんいやいけねえそいつはだめだ そいつ は彼は考えた考え直したそからようやく 思いつき久しく開けたことのない仏壇を 開けた中には父母の牌があるその他貧しい けれども物が人揃いめくがきの半に教など が誇りにまみれている誇りを払うのは面倒 くさい彼は残っている古老ソを灯した先行 のかけらに火をつけ た何しろ死んだもには経が何よりのくだ てえからなこれならあいつも喜ぶ だろうご存知がないかもしれないメク教門 というのは半恵のようなもので教門が みんな絵で書いて ある半に原見たこれがえとになっているの で見本がないとお分かりがないかもしれ ないが金も読めない人に読むことができる わけ だやはの前に座って亡くなった母親の みぶりを思い出しながらこの目教を使え 使え読み出し た怠け者の彼としてはよほど真剣だった わけだがところでそれがいけない全然いけ ないので ある自分では教門を読むつもりなのだが口 から出る言葉はまるで違うお教門などとは

縁もゆりもない言葉が出てくる 様と寝るよは片手が邪魔 よこういうことになるやろはびっくりして 目をこすって咳をして 読み直すたまに会うのにくぜはやぼ よ たおかしいな だ抱いておくれよ しっぽりとああこりゃこりゃとき たどうしてもこうなって しまういくらやり直してもダメなので ついにやろはうんざりして教門を放り出し て寝転んでしまっ た バカバカしいどうにでも しあがれ やけになってそのまま眠ってしまった らしいどのくらい眠ったものか枕本でさこ の音がするのでひょいと目を覚ましたする とそこに優女がい てよく寝てたわね目が覚めてこう言って にっこり笑っ た おめえおめえ来てくれたの か嫌なことを言うわね私あなたの女将さん じゃないのずっとここで一緒にいたわ よだっておめえ俺には見えなかった ぜそれは初めに言ってあるでしょう幽霊は 晩だけ昼間は見えないのあんた自分で さっきそう言ったじゃないのあそうそう さっきで思い出したけれどあんた今日大変 なことをしてくれたわ ね大変なことって俺がか俺がじゃないわ よ乙女友情はきっと座り直し たあんた仏壇を分けて半家信教を読もうと したでしょういやすまねえあれを聞かれ ちゃ合わせる顔が ねえやろは頭を描いて並行したらちゃんと 読むつもりだったお袋の聞く覚えていたし 読まされたこともある読めねえはずはねえ んだがいけねえどう読んでも妙ちきりんな ハウみてな文句になりやがる面目ね勘弁し て くれそうじゃないのあれは私がしたの おめえがしたって何 を読めないように邪魔をしたのよだって あんたに半に信教なんか読まれたら私成仏 しちゃうじゃないの成仏すれば行くところ へ行っちまってもうあんたに会えなくなる わ ええ成仏するのかい経を読む とやろは妙な顔をし ただっておめえ確か侵入とか神兵とかいう ものでどんなエレ坊が食養しても浮かばれ ねえっていやね侵入だの神兵だのって真意

真意っていうのよそして瞑想知識じゃだめ だけれどあんたのような身内のものに供養 されると浮かばれるのよ危ねえなそいつは 彼は少しばかりぎっっとし たそいつはうっかりできねえここで浮かん じまわれちゃ大変 だそれでもあんたが金を叩かなかったから 良かったのよ金を叩けば仏様が出てくる からそうすればお経の邪魔をすることが できなかったの私本当にヒヤヒヤしたわよ そうかそういうわけか外は知らねえもんだ からいきなりこりこりなんて飛び出すには びっくらし たこれからは気をつけてねさ起きてゆえで も行ってらっしゃい私その間にここの支度 をしとくからはい 手ぬい戦闘で汗を流してさっぱりして帰る と前後次ができていたアジの酢物にモキ イカ刺しにさよりの糸作りそして今度には 蛤鍋が味噌のいい匂いを立ててい たこれはどうもこいつは体操なご馳走じゃ ねえかおめえにこんな散在をさせちゃすま ねえ散在なんか視野しないわこれみんな 金田屋から持ってきたのよえ金田屋2丁目 のかそうよ板場でこらえたばかりのを持っ てきたのよお酒もたっぷりあるから今夜は あんたも酔って ね遅め優女は霊の目で初会にこっちを睨ん であんたはいくら何してもすぐ辞儀し ちゃうんだものあれじゃ開けなくてつまん ないわ今夜は酔うのよ酔えば息が長く続く からそのことなら安心しねえは遠慮があっ たし2年ぶりのなだったからよそうと わかれや自慢じゃねえけれどもおめえなん ざ日と立たねえうちにげっそりして ヘトヘトの幽霊みてにあけねおめえは今で も幽霊だからなそれと言うとどんな寸法に なるんだ私のことはいいの私はどんなに せい出したって身に答えるってことがない んだからあんたが考えなければならないは 自分のこと よ俺なら金のわらじ ささすがに金だやだこれは木1本だぜもう 1 つはばかり様ご主におさしてバチが当たり ゃしない かしら当たったら半分は俺が背負わ な殺しもがうまいのねその口で散々女を 騙してきたんでしょもしこれからそんな ことしたらおっとその辺で闇にしよう トコスが出ると酔いが覚めていけねええ ちくし彼は仕切りに太ももや腕などを叩き ながら今夜またバカにひでえかがおめえ ちっとも食われねえようだ ねバカねあんた幽霊が蚊に食われるわけが

ないじゃないのそんなだったら夏の晩に柳 の下なんぞへ出られやしないわ そりゃまあそうだ幽霊が蚊食われてももっ たぶなんぞをボリボリ引っ掻いてた日には 睨みが効かねえからな世の中なんてもの これで卒のねえもんだ な2人でいい心持ちに酔って寝 た世が開けると優女の姿は見えなくなる日 が暮れて9時頃になると 現れる毎晩どこかからとを持ってきて勝手 なことを喋りながら飲んで食べてそれから 外のしらみかかるまで身に答えないのと金 のわらじがせを出すこれが連日続い たおの番は八前の天ぷらと行くかそれに 長寿案の小田巻きなんぞ悪くねえ ぜどの店のどんな料理でも望み次第おまけ にただと来ているから好きなことが 言える勝てて加えて遅め友助息で履行で 手下があって仕事をしなぞとは決して言わ ない夢ならどうか覚めねえで くれ極楽でもこうは行くまいとやろは ホクホクと喜んでい た近所のものは誰も気がつかない一度隣の 女房のおかが心配そうな顔して次のように 聞い たやろさんこの頃毎晩ひどくされるようだ けれどどこが体でも悪いんじゃないのか いそうかいうされるか い彼はニヤニヤ笑いながらそう答え たそれじゃあきっとあれだおかさんが毎晩 うされるんでそいつが俺に映ったにちげえ ねえおは赤くなってあら嫌だなどと言って 逃げ出したがそれからは彼女も何にも言わ なくなっ た家主からは相変わらず米や味そを届けて くる小銭にを置いていくこともあるがくれ ば必ず小言であっ たまだ生がつかねえかどうするんだ待っ てる人をかわいそうとは思わねえの かこれまではただ恐れ言ってへいすみませ んくらいの挨拶はしていたが遅め友助なる ものが来てからは気が強くなりある日 ついに矢へ返答をし たらこれが勝手なんだこれが勝文なんだ から売っちゃっといてくれ待ってるなんて どこの誰らか知らねえが自分からおんでて いったものをかわいそうもへもあるやしね ふざけたことを言わねえでもらえ ななんだ と作郎は怒っ た何がふざけたってんだ何がへだ仮にも 家主に向かってなんて口を聞くんだてめえ がいくら底抜けでもそれじゃ済まねえぞお 金さんが出ていったな自分が可愛いから じゃねえてめえの身を思えばこそてをの

ものに指てからこそ泣きの涙で実家蹴った んだ帰る時お金さんが泣きながら行った ことを忘れやしめあんたが真面目な気持ち になったらすぐに帰ってくるどうか早く 帰れるようにしておくなさいこう言って 泣いたのを覚えている だろう 5世に霊なき商売のこと そればかりじゃあねおかさんは実家へ蹴っ てからも1日だってヤザなてめえのことを 暗示ね日ねえんだ ぞ怒っている家主の目にその時ふっと涙が 溢れ出てきたそれを手の甲で吹きよろめく ような声で作郎は名をこう続け たてめえは底抜けのおたんちんだから そんな語たを抜かしているが2年この方米 みそから小遣い戦不優がちでもとにかく 生きてきた言ってそれを誰のおかげだと 思ってるん だそれはもうそれを言われるとなんだが そこは俺だって大家さんの恩はざまみ やがれてめえの目はそのくれのもんだここ へ運んできたな俺にちねだが本当の主は おかさんだぞぬい時洗濯仕事を選ばず世も 日も稼いでてめえが真面目になるまではと 稼ぐだけみんなてに貢いできたんだおさん どうか私からだとは言わないでください これが分かってまた呑気な気持ちになら れるもしたら私の帰る日が伸びるばかり ですお願いですから内緒にしてください おら涙がこぼれたばあさんなぞ水っぱな 垂らして泣いたぞ夫婦は偽世と言ったって 縁が切れれば他人だてめえなんぞのたれ地 をしたっていい人間だそれをおかさんは こんなにこんなにまで影で身を尽くしてる 夫婦の上だてを停止と思えばこそだ それをてめえはなんだなんてごたをつくん だ家主の怒りは頂点に達した らしいそんな人情を知らねえやつは顔も見 たかねお金さに空きのくだがおら手を引く 米みそも小遣いもこっきりだもうたちんも お金さんからはもらわねえ断っとくが1つ でもタナちんを貯めたらたきだすぞ 今度は承知しねえからそのつもりで いろカンカンになって帰っていっ たやろもさすがに物が言えなかった鼻が 酸っぱくなるような気持ちだったがしかし 遅め友情を思い優女との予言の楽しみを 思い出してやがてふんと花咲で笑っ た え何を やがる大家だと思ってへそうでございます か だそしてあびをしてごろっと寝転ん だその晩のことだ遅め優女はすっかり聞い

ていたらしい例の通り現れるといきなり やろの胸ぐらへ 掴みかかりこの大嘘つきろでなし恥知らず のペテおっちょこちょい ボナス野郎など凄まじい勢いでののしり 立て た前の女房は追い出した縁は切れたと言っ たじゃないかそれをこのかぼちゃは縁は 切れてるんだ嘘じゃねえんだ俺のしこちゃ ねえんだ からやろは懸命に陳弁した何しろ取りこす 一見があるから恐ろしい汗になって説明し 釈明し おさんも家主の捨てゼリフは聞いていたの でどうやら納得をしたらしくやがてそこへ 座ってほっととため息をつい たそういうことなら今度だけは信用して あげるわだけど大家さんにああ言われて みれば私たちもなんとか考えないといけ ないわ ね歓迎るって何をよ 食べ物くらいは持ってこられるけれど まさかお金まで取るわけにはいかないわ あんただって私に泥棒させるつもりはない でしょだとすればたちんや何かどうし たって少しはお宝がいるじゃない の女は幽霊になっても女であったやろは嫌 な顔をしたまたしても稼げと言われるはめ かこう思ったのであるが女はの出身だけに 野暮なことは言わなかっ たそうだいいことがあるわ あんた断っとくがほら働くなは嫌だ ぜあんたは座ってればいいのま聞いて ちょうだいこうな の女は込んだ顔 でつまり一口に言うとね幽霊を貸す商売な の よ幽霊をかすっ て世の中には死ぬほど人を恨んでるものが たくさんいるわ金の恨み恋の恨みいろんな 恨みから一層化けて出てやりたい恨みの程 を思い知らせてやりたいそう考えている人 がたくさんいるでしょうそういう人に幽霊 を貸してやるの借りた人は自分の代わりに その幽霊を先方へやって恨みたいだけ恨む ことができるわこれなら自分で死ぬ必要が ないし相手の苦しむのを見ることができる んだからそれこそ一挙両得じゃない のなるほど そいつはいけそう だやろも乗り気になっ たそいつは物になりそうだがしかしその役 はおめえがやるの か私もやるけれどそれだけじゃだめお客が 来るとすれば色々注文があるでしょ

だからもう56人幽霊を連れてくる わそう言ったってそんなに有的がいるのか いこの間そう言ったじゃないの行くところ へ行けなくて中に迷ってるものが大勢い るって口をかければ5人や10人すぐに 集まってくるわ よ 6世間に楽ななりわいはなし 話はちょいとしたものである商売になるか ならぬかとにかくやってみる値打ちはあり そうだそこでやろも座り直し2人で商売上 の細かい点を相談しやった客を呼ぶには どうするか発出代金はどれくらいが適当か 色々検討してみた結果これは相当なものに なるという見通しがつい だこいつはいいこいつはおつなもんだ元祖 幽霊かしやきっと人信書できる ぜやろはこう言ってエキし たその晩は前祝い乙女はすぐさま幽霊の 募集にかかり入念に物色して6人の男女を 雇い入れ た男2人じいさんとばあさん娘2人という 顔ぶれであるこれだけ抱えていればまず 大抵の注文は引き受けられるだろうが乙女 はこれには随分苦心したと言っ た幽霊はいくらでもいるけれどいざ商売と なると誰でもいいというわけにはいか ないまず正直で大人しくすみがあって 目立ちのいいものこれだけの条件は必要 だっ ただってそうでしょう正直もでないと客と 馴れ合ったり出先で間違いを起こす心配が あるし昨日洗いものだと組み合いなんか 作ってすぐに賃上げスなんか始めるわ よ女はこう説明し た肥料だってそうよ先方へ行って裏目シア をやるのにおやひょっこみたいな顔じゃ 相手は怖がるどころか吹き出しちまう わ実に行き届いたものである また募集にあたって困ったのは例の四谷 怪談のお岩さんとか船弁慶でおなじみの平 の友さんとかゆい小説さんとかさ屋敷の おきさんなどというのが来て雇ってくれと 強引に粘られたそうで ある ええそんな連中がまだ中に迷ってるの かお岩さんなんかとっても執念深いのその うちここへ押しかけてくるかもしれないわ じ冗談じゃねえとんでもねえお岩さん なんぞに来られてたまるものかそいつだけ は断ってくれ聞いただけでも肝が 縮まやろの震え上がるのを見て女は笑った がふと思い出したような顔つきになっ て念しておくけれど今度抱えた娘の若い方 ねあの娘にはあんた気をつけちょだい

よあの娘に何かわけでもあるの かあるの よあの娘は前世で大変な浮気もだったの 気量はそれほどでもないけれど体や勝文が そう生まれついたのねあの若さで30いく 人かの男を騙してその恨みで男のために 殺されたのよ今だって男の幽霊さえ見れば 口説くんだからこれがまたとっても色 っぽくて上手なんだからいいこと気をつけ て引っかからないようにしないともし私に 焼きもちを焼かせでもしたら分かってるわ ねなんだそんなことかそれなら念にはば ねえおめえ1人で持て余してるくれなんだ から浮気なんてとんでも ねえ彼はこう言って眉をしかめて見せ たここでの幽霊を紹介するわけだがお話の 先を急ぐのですぐに商売へ取りかかること を許して いただくかて幽霊かし屋は陰陰と開業され たじいさんばさんを除いた他の4人が発砲 へ出かけてまず客を探すつまり死ぬほど人 を恨んでいる人間書化けて出てりしてやり たいなどとに呪っているものを探し 探し当てたらすみやへおいでと耳打ちを するので あるやぱ長屋のやろの家へおいで なさいごくお安くあなたの恨みを晴らして あげ ますこれを暗示的に何回も繰り返すと 何しろ相手はエコのために取り乱し精神の を失っているのでついふらふらと暗示に かかる らしい開業5日目に早くも客がやってきた この大体問答も面白いのだが話を急ぐ必要 から略すとして依頼は恋の恨み先方は人の 女房ということだけ記して おく6日目7日目と客は次第に増えた10 日目には7人もやってきたし さらに多くなる模様であっ た当たったなあ遅め見ろもうめ3両近くも 多かった ぜそれっぽっち何よ今に線量箱を積んで みせる わこの調子だとそんなことになるかもしれ ねえだがなんだなほらつくづく思うんだが 世間には随分人を恨んでるものがいるんだ なやろは感じいった風 でそれも聞いてみれば最もなのもあるが まるっきり逆恨み見てのもだいぶあるてが 悪くて人を恨んだり呪ったり他人の俺が腹 の立つような勝手なのがいるぜ誰がどこで 何を考えてやがるか人かめくってみ なけりゃ人の心なんてもなわからねえ人間 がこんなにあいもんた知らなかっ た悟ったようなこと言うんじゃないのだ

からこそ私たちが儲かるんじゃありません か大きく稼ぐには人間の弱みを掴むに限る よさ商売 商売 7貧乏人は3回 がだが何もかもが順調というわけにはいか なかったあるよ中年男の幽霊の1人が発出 先で思わぬ木下に合い額に大きなコブを 出してひどく立腹して帰ってきた事情を 聞くとこうで あるその時依頼された件は常智関係のもの で妻が愛人を家へ引き入れたので自分の方 で家をおんでた夫が妻に恨みのほどを 思い知らせたいという気の弱そうな塔の夫 の頼みであっ たおしその家へ行きやし たその担当幽霊はこ高報告をした行って みるとその女房は問題の男とネマの中でお 互いにくすぐったりつねったりして キャーキャー遊戯にふけってい た帝国の牛になりようやく男の方は疲労の 上鎮静しただが女房はまだふざけたりない と見えうんつまんないとかねえ起きてよと かあんた弱くなっちゃったのねとか起き ないとくすぐるわよとか絡みかかって いる察するところ切りがなさそうなので 担当幽霊は豪にやし左方通り安の火を ポワポワと暗くした上に従って女房の前へ 現れ たしるところその女房は意地悪にも いきなりお前さん誰だいとけの実を食わせ たそうで あるおしむしやし た担当幽霊はこう続け た幽霊に向かってお前さん誰だいなんて そんなあなたいきなり人の気悪くするよう なことを言わなくてもいいでしょうおしゃ むっとしやしたむっとしたが商売でやす からぐっと我慢をしてお前の亭主の幽霊 だって言ったんですると嫌にじろじろ見て 癒やしたっけが私の亭主なら尻りっぺたに 痣があるはずだ尻をまくって痣があるか ないか見せろてんだ よすはっきりしたアだな それでどうし たどうしたってあなたまさかこっちは幽霊 ですからねそれも前世で影まかなんかし たってんなら別でやすそれならシクレへ見 られるとはあるかもしれねえけれども やこうなれば言うけれども神使いであた まとな神使いをしていてそうして今は仮に も幽霊であってそれであなたいかに商売と は言いながらケツをまくって痣のあるなし を 見せるここで泣くことはねえやなそんな

不定アなら横面の1つも張り倒してやるが いいじゃねえ かそう思ったんでやすけれども行けやせ ひどくまた気の荒い女と見えまして ポンポンポンポンと早口でりしたあんまり 早口でよくわからねえが分かるところだけ でもこっちの顔が赤くなるようなつまりは 男を裸にした長老なんでししここだから 言うんでやすが恥ずかしさも恥ずかしいし だんだん怖くなってきやして幽霊の方で 怖くなっちゃしようがねえ な体がこうそうけだって気がしたんでそう いういうことならまた出直すから今夜の ところはこれでゴブレをするからこう言っ て出ようとしたんでよすところが相手は パッと立ちやした早いの早くないのあっと いう間もね勝手からすりこぎを持ってき やしていきなりポカッとここを見ておくん なさいこれこのコブの大きいこと2度と来 てみやがれかちゃ吹いてやるから ね担当幽霊は拳で目を吹い たあしゃ前世ではまとな神でやした浮きよ というところは正直もや弱いものまとな 人間が苦労をする汗水垂らし骨身を砕いて 肩越しの歪むほど働いてそれで満足に食う こともできやせんボロを房に浴衣1枚が 買ってやれず子供がよその子の食べている 歌詞を欲しがれば叩いてごまかすよりしよ がねえ悪いことをしてせせら笑っている ようなやを旦那と立てまりご誠治がどんな にぎでも恐れかこんで何店頭様が見てお いでなさる店頭様はミスてなさるめこの世 では無いが来なくともあの世へ行けば お釈迦様もいらっしゃることだきっといい ことがあるにちねこう思って辛抱して 癒やしたところがいけねえとんでもねえ やっぱり同じこって やす全神はやや興奮してだが腰の低い調子 で訴えるように続け た浮世も金あの世も金浮でどんな悪なこと をしたに人間でも寺へたくさん金を収めれ ば大出を振って成仏する極楽へでもどこへ でも好きなところへゆけやすだが貧乏人は ろな葬式もできずオも担当は出せねえだ から坊主は天から見下げたもんで今だから 申しやすが足の死んだ時来た坊主なんぞは あなたインドにこんなことを言いやし たやこの風も1かも2かかつてんでやす その場にいたものにはちんぷカ分でみんな ありがたそうな顔していやしたけれども あしはもう魂だから分かりやしたやこは 今夜で政風はお伏せでつまり今夜のお伏せ は1問か2問かてで やすこれがインドでやあなたこれで成仏が できると思いやす

かそいつは本当だとすればひでえ坊主が あったもん だ坊主がこの通りだと仏様はその元締めで やすからなあっしらがどんな扱いを受け てるかお分かりで やしょ正直ものや弱いものやまとな人間は この世でもあの世でも同じってやすテトも 仏も何にもしてくれやしね苦しむのは やっぱり貧乏人で やすここに至って全神は叫び出し たあしゃゆでやす人間は生きてるうちの こったあの世たみに歯を食いしまってい たってあの世にも決していいことはねえ何 もかにも生きてるうちのってやす悪な野郎 と分かってるものを旦那と立てちゃいけ ねえ非道なご政治に目をつっちゃいけねえ ただ正直なだけではだめだ弱いものは強く なり貧乏人でも女房をこの幸せは守らなく ちゃいけねえ生きてるうちにそうしなく ちゃならねえでやす生きてるうちにで がさそして彼は額のコブをな 現の証拠はこの通り幽霊になっても足の ような男はこの通りでやす見て送んなさい このでけえコブをもうたくさんで やすたくさん出 やすまたじいさんばあさんの幽霊は寝て ばかりいたじいさんは通持ち出しばあさん は全速で今夜は冷えるとか湿気が強いとか 風気だとか言って依頼者があっても なかなか動かないので ある娘の幽霊の1人は実直もで1番よく 働いたがこれは半月ばかりする と身内のものが供養をしてくれて今度成仏 することになりましたから私はこれでお暇 をいただき ますこう言って消えてしまった そのすぐ後のことだったが全神でない方の 男の幽霊が発出先から声をからして フラフラになって帰ってき た全然声が枯れてしまって言うことがよく わからない手と首を仕切りに振ってもう ごめんだという表現をし たいてどうしたんだ何があったん だ まるっきりヤの詰まったキセであったやろ が彼の口へ耳をくっつけて聞いたところに よると先方は超えた50男だったが ぐーぐーいびきを書いて熟睡いくら裏やと やっても目を覚まさない絶対に反響がない ので あるそのまたいびきが です担当幽霊は前々声で言っ たどもない番外の大引きでこっちの耳が もうガンガンしてきてだからこっちも 大きな声を出すというわけでもうすごみと

かなんとかそんな生優しい場合じゃあり ません一晩中声の出しくらで気がついたら 世が開けちまって私はこんなこな声になっ ていましたこんな声 にもうゴリゴリです私はお暇をもらい ますこれもそれっり消えてしまっ たその他にも2さの故障はあったが商売は ますます繁盛人手が足りないからお姉さん も破に 出るこうしてちょうど17日目のことだっ たが珍しくじいさんやばあさんも出かけ全 神も霊の浮気娘も遅も出かけやろが1人で 留守番をしてい た生きてるうちのこと かなるほど 彼は久方ぶりに1人寝転んであびをし ながらそんなことを呟い たテトも仏もないあの世へ行ってもいい ことは ない人間は生きてるうちに生きがいのある ことをしなければならない全神使いの言葉 が変にやろの頭に引っかかってい た信じまえば おしめ何もかも生きてる うちそうかもしれ [音楽] ねえ何をそんなにしてるのよこの 人突然こう言って霊の浮気娘の幽霊が現れ た丸ポチの色こそ青いけれども片目が ちょいとやぶにらみでおちょぼ口で体中に 色気が溢れている感じ だどうしたんだもう済ましてきたの かそんなこといいじゃないのそれよりね この 人おお変な声を出すなそしてそんなそばへ 寄っちゃいけねえもっとそっちへ行って くれいいじゃないの何さこの 人ゆ娘はやろにしがみつい たあんた遅さんが怖いんでしょ知ってるわ よ育児なし男のくせにあんなおばちゃんの にれて浮気もできないなんて恥ずかしく ないのこの 人う話してくれ頼むこの 手やはもがい た頼むから話してくれもしあいつが蹴って きて見つかっ たら取りこされるってんでしょいいじゃ ないのさりされたらされたであんな人と 別れて私とご夫婦になりましょう よ人のことだと思ってよせやいらまだ死に たかね頼むから勘弁して くれ大丈夫だったらあの人は朝までは帰っ てきやしないわよ ねえそんなに白場にしないでぎゅっと抱い て

よあの人どんなだか知らないけど私のは 万人に1人の別あいよさおしくしてこれを こう [音楽] ねえよしてくれくくって待って くれ見えをして絡み合っているところへ その2人の眼前へなんと塔の乙女優女が おろおろと現れ たあおお おめえやろは業転して叫んだ浮気娘の幽霊 はよっぽど驚いたと見え一光青く光ったと 思う とお姉さん味を見させてもらいましたよと 当て付けのようなことを言って消えて しまっ た 8元に収まる半に 神教お さんとうとうやった ねおさんは静かなそして骨まで凍るような 声でやろの顔をこう覗き込みながら言っ た私は見たよこの目でねちゃんと見た よちち違う違うんだとんでもねえあら出た だ嘘っぱち だ私のことおばあさんだって ねお前を尻に敷いてい るってね取りこされたらあの娘と夫婦にな るって ね お前 [音楽] さそいたあれがあいつがあれが ねあれがお前に抱きついて手足を絡ん で言ってた ねそして乙女優女はあきのように 伸び上がり発を逆立て歯をむき出して陰々 と笑っ た あら嬉しいやこれでのの相手ができしぞ 取りこす相手ができたるぞ嬉しや嬉しいや これよりは 999やヨひごにべ現れ途端の苦しみを なめさせ て 恨み はさで置 べきか あら浦飯や な助けてくれこの通りだやろは平服し抵当 しながら叫んだほら死にたくねえ助けて くれ死ぬのは嫌だ勘弁してくれ人殺し やろくどうしたやろくしっかりしろ 背中をドシンと叩かれたやろは悲鳴を上げ 飛び上がると誰かの頭とコツンこし目から チカチカと光が飛んでそうしてまた背中を

嫌というほど殴られ たこんな地獄まで寝込んで何をうされて やがるんだふざけるな目を覚ませどうし やがったやろ く ああやろはポカンと振り向いた家主の平作 がそこにいた戸が開けてあり外は夏の 明るい日がいっぱいにみってい たやろはあ大家さん大家さんだこう言うと いきなり飛び上がって仏壇を開けて口の中 で念仏のようなことを言いながら震える手 ででくろへ火をつけ掛先行を立てそして ちんちんと金を鳴らしたがその早いのと 慌てた様とこれらのいぶかしい動作を見た 平作郎は彼がきいになったと思ったの だろう腰を上げて逃げ出そうとしたそれを やろが飛びかかっておさんおねげだどうか 王経を呼んでくなさいはに教を1度でいい アを助けると思って 読めてなら読むがしかし急にどうしたん だ目が覚めまし たやは泣き出してこっちの目もあっちの目 も覚めましたへこれから働きます仕事をし ますおめえそら本気で言うのかまだ寝ぼけ てるんじゃねえの か本気にならなけれりされるんでいや本気 ですこれから腕限り仕事をしお金も呼び かして真面目にせいっぱい稼ぎますです からどうか早く経 をそれが本心ならめでてえがなんでまた そのために今日を読むん だそら遅めやまそれは親父にもおふにも この通りだというところを見せて安心して 行くところへ行ってもらてんです すよく言ったそいつは本物 だ家主は横手というものをポンと打っ た亡くなった父母に見てもらおうてのは 冗談事じゃあねえやろおめえよくそこに気 がついてくれたおら嬉しい ぜ足の方がよっぽど 嬉しいこれでやもお袋も浮かばれるおか さんにもすぐ知らせようおかさんがどんな に喜ぶかきっと泣きながら飛んでくるぜ 泣き ながら平作郎は目をこすっ たいいかやろ今度あれるなよお金さんを 大事にするんだぞいいかああああ読んで やる読んでやるとも俺の一1台だ10万奥 へ響き渡るくれ立派に読んで あら家主の平作郎は仏壇の前へ行って座り もう一度金を鳴らしやがて静かに半に信教 をずし始め たこれで成仏してくれ めやろも合唱しながら心の中でこう言った 神屋もじいさんもばあさんも浮気娘も

ついでに成仏してくれ 東大 [音楽] な幽霊かし屋という全子みしかも 素晴らしく有利な事業はこうして不幸にも 創業まもなく解消し たにありがたきはの誠であり恐るべきは女 の嫉妬で ある今に至るもこの商売は絶えて行われ ないが誰か開業のお心志しのある方はない [音楽] か山本 作 [音楽] お相手は村上よでしたでは [音楽] また

「つまりひと口に云うとね、ゆうれいを貸す商売なのよ」
青空文庫より『ゆうれい貸屋』(山本周五郎)を朗読しました。

チャプター
00:00 一、怠け者にも云えば理はあり
07:51 二、出る幽霊の身に都合あり
15:14 三、夜なかの宴に酒と蒲焼
28:49 四、これは乙なり夜だけの妻
42:51 五、世に例なき商売のこと
49:49 六、世間に楽な業はなし
56:43 七、貧乏人は三界が苦
1:12:12 八、元におさまる般若心経

以前こちらで読んだ「風流化物屋敷」(https://youtu.be/0wdP_VT-RBk)と同じく、「風々亭一迷」名義で発表された作品で、やはり幽霊ものです。
こちらも軽快なテンポのやり取りが楽しい、滑稽物と呼ばれる作品です。

作者が楽しんで真面目にふざけて書いているのがよく分かる作品で、読んでいても始終顔が緩みっぱなしでした。
ちょっとしたお色気も、これくらいなら程よいエッセンスかと思うのですがいかがでしょうか。

笑顔は人を幸せにしますね。
つらい時でもこんな楽しい話で笑うことができれば、明日を生きる力になると思います。

#朗読 #山本周五郎 #時代小説

音楽:
https://dova-s.jp/

9 Comments

  1. 聞き惚れました。奇想天外な筋書きなのに妙に教訓がありそうな、周五郎先生の才を見た気がします。ありがとうございました。

  2. こんばんは。
    凄く面白いお話でした。
    聞き入ってしまいました。最後はめでたし!!めでたし!😊
    山本周五郎氏の時代小説大好きです😊ヨウさんの朗読まるで映像を見ているような感覚になりますね。
    ありがとうございました。🙇😊

  3. 本当に落語みたいで粋で面白い、にやにやくすくす笑い続けちゃった😸
    そのくせ、人間生きてこそだなんて大事なことを落とし込んでくるもんなあ。
    ほとんど読んだことはなかったんだけど、村上さんのお陰ですっかり周五郎好きになりました💖

  4. 😂😂😂😂笑った👍
    何て色っぽい幽霊逢って見たいものだ
    いったい何人の声が出せるのか?見事でござる👍
    欠伸噛み殺しながらの台詞等実に良かった
    楽しませてくれて有難う

  5. 凝ったお話ですねえー!また、女人の声の色っぽいことったら!それにどう聴いても女の人そのもののような麗しい女性の声!それにしてもこの主人公、いい目を見過ぎじゃないこと!可笑しいけど怒るよ( ̄^ ̄)

  6. お見事!と思わず叫びました。
    登場人物の姿かたちまで映像が浮かびました!
    この作品も村上ヨウさん作品集のMy神回に決定しました(勝手にすみません^^;)
    楽しいひと時をありがとうございました。
    元気になりました!😄

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