「いつかやろう」と思って、そのまま放置していることはないだろうか。時間ができたら、余裕ができたら――そう思っているうちに、気づけば環境も自分自身も変わり、やろうとしていたこと自体が遠ざかっていく。『人生は「気分」が10割』の著者、キム・ダスル氏の新刊『人生は期待ゼロがうまくいく』の発売を記念した本稿では、ライターの柴田賢三氏に「やりたいこと」を先送りしないための考え方についてのエッセイをご寄稿いただいた。(企画:ダイヤモンド社書籍編集局)
Photo: Adobe Stock
「いつかやろう」は
今すぐ禁句に
テレビ番組を録画するBlu-rayディスクやレコーダーが相次いで生産終了している。
ネットフリックスのような動画配信が普及し、テレビ番組もTVerで視聴するスタイルが定着したからだ。
先日、子どもが生まれた甥っ子に、娘が使っていた英会話のDVD教材を譲ろうとしたら「DVDのプレーヤーを持ってない」と言われて驚いたばかりなのに、Blu-rayまで世の中から無くなろうとしている。
私はドラマが大好きだが、ゆっくり観る暇もなく50を過ぎた。若い頃から「定年後の楽しみに」と録画して保存もしてきたが、VHSが無くなり、どうしても手元に残したい作品はDVDセットまで購入してきた。
ところが、そうしたコレクションもプレーヤーが無くなれば視聴できなくなる。かなり焦ったが、ふと気づいた。
会社勤めをやめ、フリーライターになって自由な時間は少し増えたが、過去のドラマを一気見するほどのまとまった休みや「心の余裕」がないことに。
どん欲な人ほど
人生を楽しむ
“人生の指標”となる言葉の数々を収録している本、『人生は期待ゼロがうまくいく』の中には「自分の『どん欲さ』を誇る」という項目がある。
著者のキム・ダスル氏は、「欲望が尽きないのは、恥ずかしいことではない。むしろ生きている証拠だ。同時に、幸せだという証拠でもある」として、「とにかく遊びに行きたい」「食べてみたいものがある」「何かにときめく瞬間がある」といったいくつかの欲望の例を挙げている。
その中に、「観たい映画やドラマ、マンガがある」も入っていた。
「幸せになりたい」という欲望に正直な人は、幸せに向かって動き、学び、実行する。(中略)大切なのは、「幸せになりたい」という気持ちを忘れないこと。安定した幸せは、何気ない日常に潜んでいる。僕らは宝探しをするみたいに、その幸せをどん欲に探しながら生きていくだけだ。
――『人生は期待ゼロがうまくいく』(p.236~237)
録画しているから「いつでも観ることができる」と安心して保存したメディアを放置し、次第に時代から取り残されてしまうより、自分で無理やりにでも視聴する時間を作ってみることにした。
すると、逆に「心の余裕」が持てるようになり、「あれ? 結局、昨日の休みは何してたっけ?」的な無駄な時間の過ごし方も減ったような気がする。
柴田賢三(しばた・けんぞう)
大学卒業後、複数の出版社や不動産会社での社員を経てフリーライターとして独立。週刊誌、月刊誌、WEBメディアなどで記者、編集者を経験した。事件、芸能、スポーツ、サブカルチャーまで幅広く取材に携わり、のちに新聞やテレビでも大きな話題になったスクープをモノにしたこともある。
