興行収入ランキングを賑わす2026年の期待作と背景を解説

森田 聡子

森田 聡子
フリーライター・編集者

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2026.5.4(月)

(写真:Rawpixel.com /Shutterstock.com)

ゴールデンウィーク明けは、日本のミステリー作品を原作とする映画の公開ラッシュだ。5月8日が湊かなえ原作の「未来」、15日が小川哲原作の「君のクイズ」、22日は深水黎一郎原作の「ミステリー・アリーナ」と毎週のように新作がスクリーンに登場する。6月には、4つの主要ミステリーランキングを総なめにし、直木賞も受賞した米澤穂信「黒牢城」の映画化作品の公開も控える。近年の国内ミステリー映像化作品人気の背景を探った。

2025年、アニメが席巻する中で、ミステリー3作品がトップ20入り

 昨年に公開され、実写邦画の興行収入記録を塗り替えた「国宝」が、日本アカデミー賞で監督賞や主演男優賞など10冠に輝いたのは記憶に新しいが、その前年に強敵「キングダム 大将軍の帰還」などが並ぶ中、監督賞、主演男優賞を受賞したのが藤井道人監督、横浜流星主演の「正体」だった。

「正体」の原作は染井為人の同名小説。一家3人の殺人で逮捕され死刑判決を受けた若者が脱獄し、建設現場や雪深い街など次々に場所とキャラクターを変えながら潜伏生活を送るというストーリーだ。刑事の追跡、過酷な環境をかいくぐり、果たさなければならない目標へと突き進む主人公を横浜が鮮烈に演じ、藤井監督特有の映像美の世界で彼を取り巻く環境や人々の変化が丁寧に描かれている。

 近年、実写映画で日本のミステリーが存在感を高めている。

 2025年の興行収入ランキングでも、「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」「名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)」「チェンソーマン レゼ篇」「映画ドラえもん のび太の絵世界物語」など強力なアニメ勢が記録を伸ばす中、3作品がトップ20入りを果たした。

 13位の「爆弾」(興行収入31.6億円)は『このミステリーがすごい! 2023年版』と『ミステリーが読みたい2023年版』で1位に輝いた江戸川乱歩賞作家・呉勝浩の同名の小説が原作。酔って微罪で連行された正体不明の男が爆破事件を“予言”したことから、連続爆破テロを阻止すべく、捜査一課の刑事が取調室で男との壮絶な心理戦を繰り広げる。男に扮した佐藤二朗の怪演が話題を呼んだ。

映画では佐藤二朗の怪演が話題を呼んだ呉勝浩の『爆弾』

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 17位の「ブラック・ショーマン」(興行収入24.0億円)では、原作・東野圭吾、主演・福山雅治が、「容疑者Xの献身」「真夏の方程式」「沈黙のパレード」のガリレオシリーズに続いてタッグを組んでいる。原作は20年刊行の『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』。類まれな人間観察力を持つ超一流のマジシャンながら金に細かく噓つきの変人を、福山が高いテンションで演じた。

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