“ウルトラスーパーポップ”を自称する長崎発の3人組バンド、Sundae May Clubが4月22日に1stフルアルバム『なみなみならぬ』でメジャーデビューを果たした。大学在学中にバンドを結成して以降、それぞれのルーツとなるロックやパンク、オルタナティブロックなどを取り込んでポップに着地させた楽曲、浦小雪(Gt/Vo)の文学的な歌詞世界、親しみやすさと凛々しさを併せ持つライブスタイルは、着実に音楽リスナーの心を掴んできた。
このゴールデンウィークに「VIVA LA ROCK 2026」や「OTODAMA’26」に出演し、5月17日からはアルバムを引っ提げたリリースツアー「なみなみならぬツアー」がスタートする。対バン形式とワンマン形式で開催されるこのツアーで、『なみなみならぬ』の真価も発揮されることだろう。アルバムのリリース週にバンドのソングライターである浦をキャッチし、Sundae May Clubの精神性やポリシーを探った。彼女が音楽に向ける熱い眼差しの向こうには何があるのだろうか。
単純に相性がいいのかも。今もバンドを続けられて、本当にうれしいです
──メンバー皆さん2022年に大学を卒業し、同年3月にリリースされた『少女漫画』は学生時代の青春を詰め込んだ作品となりました。その後Sundae May Clubはメンバー全員それぞれ別の土地にお住まいとのことですが、今もですか?
わたしとギターのみやはらが関東、ドラムのヒロトが関西に住んでます。ヒロトにはライブや練習のたびに関西から来てもらっているので、どうしたって疲れるだろうから楽しくストレスなくやってもらいたいなと思っていて。大学の友達同士で組んだバンドなので、これからもずっと友達の空気感は大切にしていきたいんです。よく話すし、大学時代ほどではないけどよくごはんにも行きます。

──Sundae May Clubはメンバー皆さん仲良しですよね。ご出演なさったフェスで一緒にエリアを回っているところもよくお見掛けします。とはいえ遠距離でメンバーチェンジもなくバンドが続くケース、なかなかレアではないでしょうか。
在学中からも多分全員「卒業しても続けていくんだろうな」と思っていた気がします。でもそれも、わたしが「音楽1本で行く」と早い段階から決めていたからかも(笑)。ふたりがついてきてくれたというか。
──いやいや。「じゃあついていくか」くらいのテンションで遠距離活動を4年続けられませんよ。それだけ3人の結束が強いんですね。
確かに。わたしたち3人+もうひとりの4人編成でやった時期もちょこちょこあったけれど、なんだかんだ残るのはこの3人だったので、単純に相性がいいのかも。話しているときの空気感も全員ほわほわしてるし、好きになる音楽も共通しているものが多くて。そんな人たちと仲良くなって、今もバンドを続けられて、本当にうれしいです。
写真左から:ヒロト(Dr) / 浦小雪(Gt/Vo) / みやはら(Gt)
──浦さんが大学卒業後にソロを始めた理由は、遠距離ゆえにバンドでの稼働が頻繁に行えないかわりにご自身やバンドを知ってもらうためだそうですね。両軸での活動は浦さんにどんな影響を及ぼしましたか?
バンドのアレンジは主にみやはらくんに任せているので、初期のソロ曲はアレンジャーの方々にお願いしていたんです。でもここ2年ぐらいはソロ曲の編曲を自分でするようになって、アレンジには自分が影響を受けた音楽が色濃く出てくるなと実感しました。ソロの歌詞は自分の内面に近いものが多いので、パーソナルなものを知ってもらえればいいなって。バンドは友達と始めたので、よりいろんな人と友達になりたいと思っています。聴いてくれる方と音楽で仲良くなりたいです。
Sundae May Clubは全天候型のバンドになりたいんです。晴れでも雨でも曇りでも聴けるバンドでいたい
──音楽で仲良くなれた人も、浦さんのパーソナルな部分を知ってくれる人も増えて、この4年でソロでもバンドでも浦さんの作る楽曲に共鳴してくれる人とたくさん出会えたのではないでしょうか。
だから少しずつ“このままでいいのかもな”と思うようになりました。わたしが曲を作る原動力はネガティブな感情が多いので、この先どんどん大人になっていくのにこのままでいいのかな?と思ってたんです。でもネガティブな感情から生まれた曲を好きでいてくれる方がたくさんいてくださって、自分のことを暗いからだめだと思うのは、曲を好きだと言ってくれる人にも失礼かなと思うようになって。暗い部分は暗いままに、明るさも得ていければいいかなと思っています。
──そのマインドは、メジャーデビューアルバム『なみなみならぬ』にも表れていると思います。
メジャーデビューアルバムだけど歌詞は結構暗いなと思います(笑)。全体を通して変わりたいという気持ちがあるけど、変わってもいいし変わらなくてもいいというか……。「~すべき」という意見は苦しいなといつも思うんです。考え方は変わるものだから、気まぐれで全然いいと思う。Sundae May Clubは全天候型のバンドになりたいんです。晴れでも雨でも曇りでも聴けるバンドでいたい。だからこそ何も否定したくない。誰としゃべるのも嫌で、誰とも絶対に目を合わさない!という覚悟のもとずっと机で顔を隠して本を開いて読んでいた昔の自分にも寄り添いたいし、昔の自分と同じような人はこの世にたくさんいると思うんです。もともとの性質が閉じこもりがちだから、内側に閉じこもる人たちのことも外に出ていく人のことも、それでいいよねと思うんですよね。

──浦さんが塞ぎ込んでいたのは、おいくつの頃ですか?
中1の時ぐらいまではいじられキャラみたいな感じでなんとかやってたけど、中2で闇落ちをして……。
──そこで限界がきちゃったんですね。
学校にはちゃんと通っていたけれど、思春期だったのもあって「徹底的にお前らのことを嫌ってやる!」みたいな感じで、みんなを敵と認識して生活をしていました(笑)。いまその時の自分を見ると可愛いなとも思うし、あの頃があったから理解できる感情も増えた気がしています。どんな選択も正解だけど、そう思えない人もいるだろうから……そういう人たちにも聴いてほしいです。「フロム・ヘル」は敵意むき出しだから一緒に発散できると思うし、“全部いいんだよ”という思いを曲に出したいなとは常々思っています。やっぱり人間が好きだから、いろんな人たちと仲良くなりたいんです。だからこそ全部のど真ん中にいたい。どんなところにも反復横跳びで行ける位置にいたいんです。
──『なみなみならぬ』の頭4曲は、その凛々しさがわかりやすく表れていると思います。いろんな解釈ができる歌詞ですが、特に「だって眩しくて」と「月が出た!」はSundae May Clubを表しているように受け取れました。前者はメンバー3人が波の合間を縫ってしっかりと話をして、心を深くつなぎとめられたからメジャーデビューにも至ったのでしょうし、後者は新たなフィールドに飛び出す気概とも捉えられて。
わあ、うれしい!「だって眩しくて」はなかなか会えないふたりのラブソングのつもりで書いたんです。でもメンバーのことと言ってもらえて、本当にそうだなって。「月が出た!」は“自分の足でちゃんと歩くぞ”という決意の曲です。『なみなみならぬ』全曲に変わりたいという思いがあって、その裏側にはつらい記憶があるなとは感じていて。だからつらい感情も明るく表現したいんですよね。歌詞が暗ければメロディは明るくしたいというポリシーがずっとあります。
【Music Video】だって眩しくて – Sundae May Club 
──それでもコードワークにちょっと陰があるところがSundae May Clubの面白いところだなと思います。「ひとり・ゆくえ」も歌詞とメロディのコントラストが小気味よいと同時に、コードワークが歌詞の趣を引き立てているような。
「目黒シネマロマンス」以外の全曲をみやはらくんがアレンジしてくれていて。彼も歌詞を気にしていないようでいて、ちゃんと読んでくれてるんだろうな。だからすごくうれしいです。やっぱりSundae May Clubにおいて、彼の力は大きいなと思います。

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