2026年5月2日

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鑑賞方法:映画館

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 国籍をロストし生きる場所もロストした民。それがロヒンギャ。幼い姉弟が粗末な家で無邪気に楽しそうに遊んでいる。しかしそこは安住の地ではない。難民として受け入れてくれる国はごくわずかしかない。しかし受け入れ拒否の国に向かう。ただ一人の親族を頼りに。

 祖父母とマレーシアに向かう姉弟を軸に藤元監督は難民集団を描出する。密航船が雷雨に打ちのめされる映像の暗さが、身を潜めて生きるしかてだてがないロヒンギャの実態を浮き彫りにする。密航船で祖父母と離ればなれになった姉弟。
 密航者が存在する。すなわち密航をビジネスにするブローカーも暗躍し利益を搾取する。ブローカーから逃れた姉弟。どこにいて、どこに向かうのかまったく把握できずにさまよう姿。そこに夢や希望、そんな幻想はなく、ただその日を生き延びることを考えるしかない悲痛さが伝わってくる。姉弟と一緒に密航した三人のロヒンギャの男たちが言葉にする夢。あっけなく断ち切られる。やはり夢は幻想であったのだ。

 なぜ世の中はこんなに理不尽なのか。ロヒンギャが迫害を受け続けるのになぜ世の中はただ傍観しているのか。そしてなぜこんなにも命が軽いのか。この映画を見進めていくうちに、とてつもないショックを受けた。すべてをロストした人たちを映画館の柔らかなソファーに身をしずめて傍観していることに。藤元監督はロヒンギャを題材にしているが、彼ら以外、世界中に存在する、行き場のない難民も考えてこの映画を撮ったのではないか。そしてほとんどの人間が傍観者であることも糾弾している。

 難民はほとんどが戦争、紛争による政治的問題からうみだされる。今、このときも、大国が中東の国に戦争を仕掛けている。また別の大国も小国に戦争を仕掛けて何年もたつ。地域紛争など数えきれない場所で発生している。つまり難民はもっともっと増え続ける。人間は連帯するより分断を好む。一部の人間の利益のために。もう許してはならない。傍観者よ立ち上がれ。藤元監督の決意と人間の連帯を諦めるなと𠮟咤激励がこめられた映画であった。

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LOST LAND ロストランド

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