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スマホ縦型で展開されるマイクロドラマが世界的に急拡大し、2025年には市場規模が約1兆6920億円に達すると予測されている。

2025年第3四半期の世界収益(中国除く)は約1230億円と前年の倍に増加。広告費の68%はFacebookやTikTokなどソーシャルメディアから発生。

視聴者は18〜34歳が中心だが、35〜44歳層も多く、地域によっては中高年層も視聴している。

ショート動画の普及に伴い、ショートドラマ、グローバルで言うところの「マイクロドラマ」が注目を集めているのも自然な流れだ。

最初からモバイルを念頭に置いたこれらの番組は、1話あたりわずか2~3分、縦長画面で撮影されるが、一般的なショートクリップとは異なり、即効性のある快楽刺激ではなく物語の緊張感で視聴者を引きつける。各エピソードはまるでミニチュア版のTVドラマのようで、登場人物やストーリー構成、次へ引き込むような展開まで備えている。延々とスクロールを続けるのではなく、小さなドラマをひとつずつ繋ぎながら進んでいく。

マイクロドラマは、規模はまだ小さいとはいえ、すでにかなりの収益と視聴者数を生み出している。それはどれくらいなのか? 続きを読んで確かめてほしい。

全世界での収益は約1兆6920億円に達する見込み

オムディア(Omdia)によると、マイクロドラマは2025年、世界全体で110億ドル(約1兆6920億円)の収益に達する見込みであり、その収益の大部分(83%)は中国から生み出される。マイクロドラマの普及が続くなか、米国は国際市場において最大の収益を記録しており、約8.6%を占める。一方、英国、日本、韓国、タイなどが占める割合はそれより小さい。

マイクロドラマの急成長を受けて、同フォーマットが無料広告型ストリーミングテレビ(FAST)チャンネルの収益のほぼ2倍を生み出すと市場調査会社のオムディア(Omdia)は予測している。FASTチャンネルの収益は2025年末までに58億ドル(約8920億円)に達すると見込まれている。

2025年第3四半期だけで約1230億円を生み出した

2025年第3四半期には、ブティックメディアおよびエンターテインメントのコンサルティングを手掛けるアウル(Owl & Co.)によると、同期におけるマイクロドラマの世界的な収益(中国を除く)は8億ドル(約1230億円)に達し、前年同期(2024年第3四半期)の4億ドル(約615億円)から倍増したという。

最大の収益を生み出しているのは米国である一方、そのほかの地域および(中国を除く)アジア太平洋地域、欧州、次いでラテンアメリカも、これらの地域でのマイクロドラマの普及が進むにつれて、小規模ながらも収益をもたらしている。

広告費の大部分を生み出したのはソーシャルメディア

eマーケター(eMarketer)がセンサータワー(Sensor Tower)のデータを引用して発表したところによると、2025年1月から9月までの米国におけるマイクロドラマアプリの広告費総額の68%がソーシャルメディアから発生したという。

内訳を見ると、Facebookが最大のシェア(25%)を占め、次いでTikTok(19%)、Snapchat(スナップチャット)(16%)、Instagram(8%)となった。eマーケターによると、YouTubeは、ショート(Shorts)に注力しているにもかかわらず、米国におけるマイクロドラマ広告費に占める割合は依然としてわずか2%に留まっている。ただそれは、ほかのプラットフォームに比べて、ショートが実際に勢いを得るまでに時間がかかったためかもしれない。

eマーケターでソーシャルメディアおよびクリエイターエコノミー担当主席アナリストを務めるマックス・ウィレンズ氏は次のように話す。「マイクロドラマが米国で人気を集めているのは、そのストーリーの感情表現の強さや、切れ味鋭い展開、そして尺の短さが、ソーシャルネットワークでの共有に最適な構造になっているからだ。

これらのプラットフォームの一部では、脚本があるコンテンツが既に利用時間の相当な割合を占めている。たとえばTikTokでは、映画やテレビ番組のクリップが視聴回数で第4位となっている。だからマイクロドラマがオーガニックにも広告などによっても、広く拡散されていくのも不思議ではない」。

若年層の視聴者だけではない

驚くには当たらないが、マイクロドラマを視聴するインターネットユーザーのほぼ半数(46%)は18歳~34歳、つまり主にZ世代と一部のミレニアル世代だ。そのグループのうち、25歳~34歳の4分の1以上(27%)と、18歳~24歳の約5分の1(19%)がマイクロドラマを視聴している。興味深いことに、マイクロドラマ視聴者数は18~24歳よりも35~44歳の方が多い。アンペア(Ampere)の記録では、この年齢層の23%が視聴している。

利用可能なアプリが増えれば視聴者も増える

当然ながら、マイクロドラマアプリの普及地域と、そのアプリが生まれた場所には相関関係がある。ソフトウェアおよびデータソリューション企業のファブリック(Fabric)が20のアプリを分析したところ、その由来は以下のとおりだった。

シンガポールは6つ(DramaWave、FlexTV、FlickReels、FreeReels、GoodShort、NetShort)
中国は3つ(Fareflow、iQIYI、SnackShort)
香港は3つ(MoboReels、StardustTV、WeTV)
米国は3つ(ReelShort、Sereal+、Vix)
日本は2つ(RapidTV、UniReel)
韓国は1つ(ShortMax)
アルゼンチンは1つ(VYCO)
キプロスは1つ(MyDrama)

さらに、各地域(ラテンアメリカ、アジア太平洋、北米・カナダ、ヨーロッパ・中東およびアフリカ)の年齢層を分析すると、アジア太平洋地域では55歳以上のスマートフォン視聴者の4分の1以上(27%)がマイクロドラマを視聴しているのに対し、16~24歳の視聴者は同地域ではゼロであることがファブリックの調査で明らかになっている。

ヨーロッパ・中東・アフリカ地域はアジア太平洋地域と同様に、16〜24歳の層ではマイクロドラマを視聴する人がほとんどいない。一方で、それより上の若年層では、年齢層ごとの視聴率に大きな差はなく、いずれの層でもほぼ同程度に視聴されている。米国・カナダでは、55歳以上はマイクロドラマを視聴せず、16~24歳(21%)、25~34歳(23%)、35~44歳(22%)で視聴率がほぼ均等になっている。

ラテンアメリカでも同様の傾向が見られるが、同地域におけるマイクロドラマの最大の視聴者層は16~24歳(30%)で、次いで25~34歳(26%)、もっとも低い年齢層は35~44歳(17%)となっている。

[原文:In Graphic Detail: The rise of micro dramas that are attracting big ad dollars]

Krystal Scanlon(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:島田涼平)

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