2020年に俳優デビューした藤原大祐。その後、ドラマや映画などで躍進し、今年7月期の日本テレビ系連続ドラマ『ちはやふる-めぐり-』でも話題に。一方で、シンガー・ソングイターとしての才能も開花。23年にメジャーデビューし、10月29日に初のラブソングに挑戦した新曲『好き』をデジタルリリースした。卓越したピアノ演奏とソウルフルな歌声で注目され、今年音楽活動3年目を迎えた。ENCOUNTは表現者としての多才な22歳にインタビュー。前後編にわたって掲載する。後編は「新曲と音楽人生」。(取材・文=福嶋剛)
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――ニューシングル『好き』は前作から1年ぶりのリリースとなりました。
「1年前に出した1stアルバム『pocket beats』は、それまでの藤原大祐の集大成という感じで、当時自分が持っていたものを全て出し切った感がありました。そこで新たにスタートを切るために一度立ち止まってみようと思いました」
――『ちはやふる-めぐり-』では1年かけて役作りを行うなどその間は俳優業に専念していたということですね。
「そうですね。役者の仕事にしっかり向き合う時間を作って、そこで得た経験や学びをピュアなエネルギーに変えて再び音楽を作りたいと思いました。今回は1年間の僕自身の成長や気付きもあり、今まで作ってこなかったラブソングを書いてみたいと思いました」
――『好き』の歌詞は、まるで物語のワンシーンと藤原さんの内面的な部分が同居している印象を受けました。
「まさにその2つを軸に考えました。僕は曲を書く時は、『君』という対象を具体的に決めた上で書いていて、今回はその対象に届けたいというリアルな感情を言葉にしました。同時に映像作品に置き換えたらどんなシーンになるだろう』と想像しながら、それが見えるような言葉を選んでストーリーを作りました」
――この1年の経験が生んだ作品ということですね。
「そうですね。今回はもう1つ大きな変化があってandrop(ロックバンド)の内澤崇仁さんにプロデューサーとして入ってもらい、曲作りの段階から一緒に作業をさせていただきました。今まではアレンジ以外は全て自分でやってきたのですが、今回初めて共同作業を体験したことで新たな引き出しを増やすことができました」
――今までとの違いは具体的にどのあたりでしょうか。
「メロディーラインと歌詞の両方です。僕と内澤さんのアイデアを合体させて作ったのですが、内澤さんのアイデアが僕に足りなかったピースとなって見事にハマりました。特にサビの部分は内澤さんのアイデアがなかったら形にならなかったであろうパワーのあるメロディーラインになっています」
――とても親しみやすいメロディーで歌詞の言葉がダイレクトに響いてきます。
「内澤さんとご一緒できたことで、本当に勉強させていただきましたし、自分にとっても新たな世界を構築できた曲になりました。ちょっとスケールの大きな話ですけど、俳優としての活動や楽曲制作を通じて人生って人と生きることなんだと改めて実感しましたね。僕は人と直接対話したり一緒に何かを作り上げることが大好きなので、これからも誰かと一緒にいろんな作品を作っていきたいと思います」
――藤原さんは、人に何かを伝える時はSNSではなく手紙を書くことにこだわりを持っているとお聞きしましたが。
「僕はSNSとか電話が苦手なんです。だからスマートフォンは仕事の報告用とメモだけに使っていて、人と話すときは直接会って話をしたいんです。だから音楽でもライブを大切にしたいなと思っているんです」
