作詞家・松本隆の偉業を讃え、活動の節目節目で開催されてきた〈風街コンサート〉も作詞家生活55周年を迎えた今回が最後。ということで、〈風街ぽえてぃっく2025〉はこれまでにも増して豪華な出演者たちが顔を揃え、それぞれが愛情と敬意を込めて松本が編んだ言葉を歌い紡いでいった。2日間の公演がおこなわれた初日〈第一夜:風編〉の様子をかいつまんでお届けする。

Photo by CYANDO

 トップバッターは曽我部恵一。吉田拓郎“あゝ青春”を力強く歌い上げ、Chappie“水中メガネ”(作曲は草野マサムネ)というちょっとヒネリの利いた選曲で会場を温める。

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 出演者は各々2曲ずつを披露。MCも短めにステージは淡々と、聴衆の心を温めながら進んでいくが、コンサート序盤、〈近藤真彦〉の名前がステージのヴィジョンに映し出された瞬間は、ひと際大きく沸いた。さすがに銀色のジャンプスーツを着て登場はしなかったが、デビュー曲“スニーカーぶる~す”をパワフルに歌い上げ、「品行方正な僕を若干不良気味に育ててくださったのが松本隆先生でした」と冗談半分のエピソードを語って“ハイティーン・ブギ”を歌唱。「61歳になりました」というマッチから放たれる〈若さはいつでも One Way Road〉のフレーズにあの頃と変わらないエモーションを感じ、思いがけず胸が熱くなるシーンを見せられた。

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 安田成美は、言わずと知れた“風の谷のナウシカ”。松本が託した言葉の普遍性もさること、彼女自身の可憐さも変わらずで、同じく松本&細野晴臣コンビが手がけた“銀色のハーモニカ”を披露した。

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 前半を締め括ったのは斉藤由貴。「今回の風街コンサートのコンセプトは〈歌い継ぐ〉ということでしたけど、次の人に歌い継いでほしいという気持ちよりも、せつない気持ちになります。なぜなら、この曲は私だけの歌という気持ちが強いからで」と言って歌った“卒業”からは、発表から40年経ったにもかかわらず、彼女の歌声には瑞々しさとせつなさがほとばしっていた。

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