俳優の茅島みずきがフジテレビの配信サービス・FODのオリジナルドラマ『エリカ』(配信中)で主演を務めている。本作は人気コミックが原作のサイコスリラーで、教師にストーカー行為を行う異色のヒロイン役。主題歌も歌った茅島が、作品への思いや役作り、音楽活動への挑戦、そして現在の心境を語った。(取材・文=平辻哲也)
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本作は楠本哲氏による漫画を原作にしたサイコスリラードラマ。女子高生・閉野恵里佳(しめの・えりか)の常軌を逸したストーカー行為と、その裏に潜む孤独と愛情への渇望が描かれる。物語が進むにつれて明かされる彼女の過去と、予測不能な展開が話題を呼んだ。
茅島はNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』(2021)のほか、連続ドラマは『卒業式に、神谷詩子がいない』(日本テレビ系/22)、『教祖のムスメ』(MBS/22)、『明日、私は誰かのカノジョ Season2』(MBS/23)、映画『女子高生に殺されたい』(22)、『交換ウソ日記』(2023)などに出演しているが、サイコな女子高生役は珍しい。
オファーを受けて原作を読んだ際には「純粋にストーリーに引き込まれました。怖かったですし、これを映像にしたらどうなるんだろう?っていう楽しみの方が大きかったです」と振り返る。
「エリカ役は、今まで演じてきた役とは全然違いました。人を殴ったりするような体験は当然ないので、台本と原作をとにかく読み込んで、監督ともたくさん話し合って、現場ではみんなで試行錯誤しながら撮影しました」
当初、エリカに対しては「狂っていて怖い子」という印象を抱いていたが、役を掘り下げるうちに「すごくピュアでまっすぐな子だな」と思うようになった。
「愛に飢えているようにも見えて、両親から愛されてこなかったことが彼女の行動の根底にあるんだと感じました。演じながらすごく可愛らしい子にも思えたんです」
多彩な表情が求められる役でもあり、演技の幅が試された。アクションシーンも初挑戦となった。
「相手の方と息を合わせないと危ないので、そこが一番難しかったです。あと、表情の切り替えや声のトーンの違いなど、演じ分けはすごく苦労しました」
血のりを付けての演技も初めてで、「顔に血のりがずっとついてて、終わるまでベタベタで……。撮影だと知らない人から見たら完全にやばい人に見えたと思います(笑)」と振り返る場面も。また、ロケ地となった学校は「撮影で、4、5回訪れていたので、『案内できます』って感じでした」と笑った。
主題歌『distortion』(7月30日配信リリース)の歌唱も担当した。今年4月に主演ドラマ『霧尾ファンクラブ』(中京テレビ)の主題歌『ローファー。』でアーティストデビューしており、これが2曲目。「It’s so sad ああ狂おしい」との歌い出しで、ポップなデビュー作とは、まったく違う世界観を見せている。
「初めて聴いた時に、このドラマにぴったりだと思いました。エリカの心情がすごく出ていて、ローな感じがかっこいいし、サビで急に明るくなる。ドラマに合ってるなと思いました」。レコーディング前には、通っているボイストレーニングの先生と相談しながら準備に取り組んだという。
完成した映像には「実写化に不安もありましたが、廊下を歩く1話のラストなど、こだわり抜いたシーンが多く、原作では想像しにくかった部分が魅力的に仕上がっていたと感じています」と自信を見せた。