【画像・写真3枚目】ファンだった私が、誰かを救う側へ──「タイトル未定」多田萌加、新曲「空」に込めた“現在地”と希望(撮影・冨樫優花)
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 北海道発の5人組アイドルグループ「タイトル未定」の新曲「空」リリースに伴い、メンバーの多田萌加が東京・渋谷でソロインタビューに応じた。一度アイドルを辞め、孤独の中で葛藤した多田は、なぜ再びステージを選んだのか。過呼吸寸前まで追い詰められた初舞台の裏側に迫る。(「推し面」取材班)

【多田萌加 連載②】ファンだった私が、誰かを救う側へ

 「私は本当に劣等感まみれの人間で、素の自分が好きになれなかったんです」。多田は、自らの原点をそう振り返る。キラキラと輝くだけではない。BiSHやでんぱ組.incのように、コンプレックスさえも表現に変えるアイドルの姿に光を見出した。「マイナスな部分が共感を呼ぶ。それが救いだった」。いつしか、自分も誰かにとってのそんな存在になりたいと願うようになっていた。

 しかし、一度所属したグループを離れ、ソロタレントとして活動を始めた多田を待っていたのは孤独だった。「自分の意見を言わなければいけない世界で、『自分は何になりたいんだろう』とすごく苦しくなってしまって」。たった一人で進むべき道を見失い、もがいていた時期。それが「タイトル未定」への加入話が舞い込んだ、まさにその時だった。

 「人生で一番大きな決断でした」。年齢への不安、環境の変化への恐れ。それでも心を強く惹きつけたのは、タイトル未定の世界観だった。「自分の抱えている希望とか劣等感を、そのままストレートに伝えてくれるグループだったから」。再びアイドルの世界に飛び込んだが、凄まじい重圧が襲う。

 新体制として臨んだ初のライブ。それは、最も過酷な記憶として刻まれている。「息が吸えなくて、過呼吸になりそうなくらいでした」。大好きなグループを自分のせいで壊したくない──そのプレッシャーで、本番前から涙が止まらない。人生で初めて経験するほどの重圧に押し潰されそうになりながら、それでもステージに立った。

 極限状態を救ったのは、一つの出会いだった。ステージから見えたファンの顔、そして「入ってくれてありがとう」という温かい言葉。その一言が、張り詰めていた心を解きほぐした。「ありきたりかもしれないですけど、『一期一会』なんです」。ソロ時代に手を差し伸べてくれた人、再びステージに立つことを受け入れてくれたファン、そして共に支え合えるメンバーたち。悩んだ時にいつも、大切な出会いが多田を救ってきた。

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