提供:ブックオフコーポレーション株式会社

使わなくなった服や雑貨、みなさまはどのように手放していますか?

リユースショップやフリマアプリで売るのは手間が掛かるし時間がない。でも、まだ使えるものをゴミとして出すのはしのびない。古着回収ボックスを設置している店舗はたくさんあるけど、投函したものはどこに行っている?

FRaUサステナ部では、そんな悩みを解決するイベント「使わなくなった服・雑貨 の“すてない循環”を学ぼう」を開催しました。リユースできるもの、リサイクルされるもの、回収後のものの行方を学ぶことができ、「すてない(=ゴミにしない)」という新しいライフスタイルを体験できるイベントです。

#FRaUサステナ部とは


FRaU SDGs会員のみなさんと、同じゴールを目指す仲間として、社会課題解決に向けともに行動する部活。世界中で山積みになっている社会課題を、楽しみながら学び、行動へと繋げる体験型イベントです。友だち同士で情報交換するような、“楽しい”を共有する場として使っていただけたらうれしいです。



「ファッション業界は闇が深い……」

講師として登壇した株式会社BPLabの渡邉桂子さんのそんな一言から始まった本イベント。1990年から約30年間ファッション業界に携わってきた渡邉さんに、今のファッション業界が抱える課題についてお話しいただきました。

株式会社BPLab 渡邉桂子さん 撮影/浜村達也

ファッション業界は循環ができていない

「1990年、ファッション業界の市場規模は年間の売り上げが15兆とピークを迎えました。バブル真っ只中。日本の高級ファッションブランドが流行し、服を買うために行列ができていた時代です。当時、生産された服の消費率は96.5%。作った服はほぼ全て売れていました。しかしそこからコロナ禍を経てファッション業界は縮小。1990年から2020年までの30年間で、ファッション業界の市場規模は15兆2,760億円から7兆5,158億円と半分になっています。

市場規模が半分になったにもかかわらず、供給は20億着から37億着と約2倍に。生産された服の消費率も48.2%と半分になっています。セールにかけても生産した服の半分は売れ残るというのが現状です」(株式会社BPLab 渡邉桂子さん)

画像/BPLab 提供

さらに、服1枚の単価はこの30年間で6,848円から2,892円と半分に減少したと言います。ファストファッションが増えてきて、1店舗に在庫を多く抱える状態になったファション業界。売れ残った洋服たちは大量のゴミとして、どこに行くのでしょうか?

撮影/浜村達也

「日本で作られた服でリユース・リサイクルとして出されたものは体型が似ているアジア、マレーシアなどに出荷されます。しかし、赤道直下なので需要があるのは夏服だけ。日本の冬服は行き場がないというのが現状です。せっかく寄付したものも、いらないものは破棄に……。リサイクルボックスに入れても、実は遠い国でゴミになっている、なんてことが起きています。

カンボジアのカンダル州のゴミの山 画像/BPLab 提供

環境省のデータによると、服がゴミとして出された場合、再資源化される割合は5%程でほとんどはそのまま焼却・埋め立て処分されます。その量は年間で約45万トン。この数値を換算すると大型トラック約120台分を毎日焼却・埋め立てしていることになります。

みなさまもリサイクルショップやフリマアプリ等を通じて古着として譲渡や売却をしたり、資源として、地域や店舗で回収してもらうこともあると思います。しかし、回収された衣類のリユース・リサイクルの割合は34%で、残りは焼却されるか埋め立てられています。ゴミで出された衣類が再資源化される割合はたった5%、そこから、繊維にリサイクルされるのは1%ほど。衣類の循環は成り立っていないというのが現状といえます」(株式会社BPLab 渡邉桂子さん)

撮影/浜村達也

使わなくなった服・雑貨を“すてない循環”に

ファッション業界は「サーキュラーエコノミー」へ移行することが大事だと渡邉さんは言います。サーキュラーエコノミーとは、資源を無駄にせず、循環させていく新しい経済モデルです。

「ファッション業界の方から『廃棄したくない。循環させたい』と相談が来ても『そもそも循環させるように作っていないから難しい』というものが多いんです。例えばリサイクル素材を使って作っている服。取り組み自体は素晴らしいのですが、それも廃棄されていく。リサイクル素材の正体は服ではなくペットボトルなので、衣料品にリサイクルさせるためにペットボトルを作るという本末転倒なことが起こったりもしています。本当の意味で地球のための循環を考えて生産しましょう、というのが『サーキュラーエコノミー』という考え方です」(株式会社BPLab 渡邉桂子さん)

サーキュラーエコノミーはリサイクルのことではなくて、循環させるための考え方。この考え方を通して、株式会社BPLabがブックオフコーポレーション株式会社との提携により行なっているのが「R-LOOP」という回収システムです。

R-LOOPの回収ボックス 撮影/浜村達也

「繊維の回収をしてもう一度資源化させるというプラットフォームを運営しています。使わなくなったものを回収ボックスに入れるだけで“すてない循環”に参加できます。R-LOOPの特徴は『衣料だけでなく雑貨も回収できる』というところ。バッグや靴はもちろん、使わなくなったベビー用品、食器、玩具、ぬいぐるみなども回収ボックスに入れるだけで、リユース・リサイクルできます。

BPLabが契約のリサイクル工場には、1日40~60トンの衣料品・雑貨が集まります。60トンというと、小さな体育館は埋まるくらい。回収したものはそこから手作業で分別しています。リユース・リサイクルとして出しても、分別しないと欲しい人の手には渡りません。

画像/BPLab 提供

画像/BPLab 提供

まだ使えるものはリユース品として、ブックオフが運営する海外直営店『Jalan Jalan Japan』(ジャラン・ジャラン・ジャパン)を通じて次の人に直接お届けします。リユース店舗はマレーシアに14店舗、カザフスタンに7店舗あり、2023年の店舗利用客数は1,707千人。このリユース販売によってゴミにしなかった量は1年間で3,669トンにもなります。カザフスタンは寒いから冬物が売れるというのも特徴です。これによって、オールシーズンの服が回収できるようになりました。これはすごいことなんです!

ブックオフが運営する海外直営店『Jalan Jalan Japan』 画像/BPLab 提供

使えないものはリサイクル処理工場に送られ、燃やしたり、埋めたりしない100%リサイクルを行います。再生資源リサイクル工場をベースにしているため、素材ごとの最適な再資源化が可能。回収されたあと、その服や雑貨がどのようにリユースされたのか、本当にリサイクルされたのか、『その後』が分かることもR-LOOPの大きな特徴です」(株式会社BPLab 渡邉桂子さん)

サステナ部員の使わなくなった服・雑貨を回収!

イベント会場に置かれた回収ボックスは部員の方の使わなくなった服・雑貨でいっぱいに。マレーシアやカザフスタンの現地の様子を知るブックオフコーポレーション株式会社 小湊貴治さん、有馬樹さんを迎えて回収された雑貨・服の仕分け、解説も行われました。

イベントの司会を務めたサキュレアクト代表 塩原祥子さん、株式会社BPLab 渡邉桂子さん 撮影/浜村達也

ブックオフコーポレーション株式会社 小湊貴治さん、有馬樹さん 撮影/浜村達也

回収ボックスに入れられていた雑貨。靴やバッグ、水筒、傘など…… 撮影/浜村達也

「まだ履ける靴は基本的にはリユースとしてマレーシア、カザフスタンに届けられます。汚れていたり、ヒールが擦れていても、問題ありません。現地の方は日本仕様のものはクオリティが高いとわかってくれているので、喜んで購入してくれます。

フライパンなどの調理器具も現地では人気です。不燃ゴミで出さずにリユースできるので、ぜひ出して欲しいです。テフロンが少しはげていてもOK。現地の製品を使うより日本のユーズドを使う方が良いと考えるひとも多くいます。

アクセサリー、バッグなどもリユースとして現地で人気の商品です。

鮭をくわえた熊の置物や日本人形なども現地で人気の商品。買ったものではなく、作ったものでも使えるものであればリユースとして回収することができます」(ブックオフコーポレーション株式会社 小湊貴治さん、有馬樹さん)

服のボックスからは、上下が揃っていない上だけの柔道着が。 撮影/浜村達也

「使わなくなった柔道着もリサイクル大歓迎! 綿100%など、1つの素材しか使われていない服は回収しやすいです。名前が縫われていてすてづらいと思うものも、リサイクルすることで新しい循環に回すことができます。

レザー100%のものはリサイクルできません。今家にあるレザー素材のものはリペアしながら長く使ってもらうことをおすすめします。使わなくなったらぜひリユースとして出してください。

また、レーヨン、ポリエステルが入っている服はフェルトにして車の内包材に。素材が混ざっている服はリサイクルできないんです。内包材がないと車が作れないため、車産業を支えている素材に循環させることができます。

撮影/浜村達也

服を買うとき、リサイクルしやすい素材は1つの素材100%のもの。また、リサイクルできないレザーや混合物などはできるだけ長く大事に使ってもらって、いらなくなった場合はリユースとして出すことができます。手放したあとの循環を考えながら服や雑貨の買い方、すて方を見直してもらえたら嬉しいです。

リユース・リサイクルとして出したものも欲しい人の手に渡らないと廃棄されてしまいます。自分が手放した後にも責任を持ち、消費者としてできることを考えていただけるとファッション業界の循環も進んでいくのではないかなと思います」(株式会社BPLab 渡邉桂子さん)

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