【朗読】江戸川乱歩:白い羽根の謎 原作「化人幻戯」児童向けリライト版より(8)

謎は解け た絵画佐木上吉が歴史した16日の夜大川 市のところへ知り合いの探偵作家大江 ランソン氏から電話がかかってき た私の親友明智小君が是非一度お目に かかってお話を伺いたいというのですお 忙しいところ申しわけないのですがあって やっていただくわけにはまりますわいかと いうのである 大川らしは有名な明地探偵には以前から 一度会いたいと思っていたところなので すぐ承知し たその夜7時頃明智小五郎探偵は訪ねてき た大川は探偵を予感の書斎に通し た私の秘書の少女はあなたとはお心やすく していただいてるそうでいつもお噂は伺っ ていますおさしえなければかと秘書も同席 させたいと思いますいかが でしょう大川氏は挨拶が住むとこう 切り出してみた探偵は心よくこれを承知し た大川らしとゆみ子夫人とは明地探偵に 初めて会うので好奇心を持って彼の様子を 眺めて いる明地探偵は痩せた長い体にいつも黒い ダブルブレストの背を着ていた椅子に持た れて前に組み合わせた足が非常に長く 見える重な骨ばった顔高い花しまった唇 二重まぶの大きい目半白のもじゃもじゃの 髪写真で見るよりも人なつっこい顔であっ た巨人対巨人だな正司武彦は大川と明地 探偵を見比べてふとこう思った外見といい 内容といい2人とも確かに巨人に違い なかった 佐木上吉という画家の死んだことをご存知 ですか明地探偵がいきなり尋ねたいや知り ませんねその男は姫田や村越と何か関係が あるのですか大はつい2日ほど前警視庁の 中村警部の訪問を受けていただが佐木上吉 のことは何も聞いていなかったええ田君と は関係がないようですが君とはに親しい 間柄でした僕もその画にあったことはない のですが警視長の美浦刑事から詳しく話は 聞いてい ます明地探偵はそこで美浦刑事の村越美行 のことから佐木上吉地の天井部屋のこと までかいつまんで話して聞かせたそのおが が家を出かけて行方不明になったのは村越 君の死んだ先日12のことなのですその まま1度も家に戻らなかったので庁では 指名手配をしようとまで考えていたのです が昨日の朝その画の死体が千住大橋の下手 に浮いているのを発見されたのです千住橋 から1kmほど下流の曲がったところです そこには上流から流れてきたゴミがいつも 溜まっているのですが蒸気の死体もそこに

浮いていました死因は歴史です傷もなく 毒物も飲んでいないのです推定によると彼 は家を出た12日の夜歴史したらしいの ですするとやはり他殺の見込みなのですか もし村越君が殺されたとするとこの画家も 多々と見ていいと思いますであなたは村越 多説を取っておられるんでしょう な多々と考えています警視長もそういう 考えのよう です大川と明地探偵の2人は熱心に 話し込んでいる 由子夫人と正司武彦はもっぱら2人の会話 の聞き役であっ た昨日の番 です警視庁の中村警部が訪ねてきまして 村越君の事件については相当に詳しく話を 聞きました多だとすると身質の謎を解かね ばならないそうですが警視長ではまだそれ が解けないと言っていましたが探偵小説に 詳しい大川は こういう話にはひどく興味があるらしく身 を乗り出し た僕は事件の翌日美浦刑事から聞きました そしてその日に現場を見せてもらいました そしてその謎を解きました今では捜査一課 長も中村警部もそれを知っているはず です明地探偵は何でもないことのように 言った おお身質の謎が解けましたか一体それは どうあなたは探偵小説や犯罪士のことに ついては大変詳しいご様子ですから身質の トリックについても我々と同じぐらいご 存知だろうと思います大抵の場合密室の謎 さえ解けばもうすぐに犯人が捕まって しまう場合が多いのですところが今度の 村越君の事件はそうではありません身質の 謎が遂げたから後は簡単に犯人が分かると いうような種類の犯罪ではないの ですゆみ子夫人も武彦も明地探偵のやかな 顔を真剣な目つきでじっと見つめて聞いて いるドアの鍵は内側から鍵穴にはめたまま になっていたのですからそれを落とさない で外から相かで閉めることはできませ んウスティカセットのような道具を使って 外から内側の鍵を回すという手もあります がこの場合は鍵の先にカカな傷がつきます 今度の場合そういう傷は全然ありません それから針とピンセットで動かすという 方法もありますがこれにはドアの下に隙間 がなくてはなりませんところがあのドアの 下にはそういう隙間がないのです敷に段が ついてドアのカをぴったりそれにはめ込む ようになってるのですつまりあの密室は ドアに施したトリックではないことが 明らかになりまし

た大川はここまで聞くとニヤニヤとながら 口を挟んだ小説ならまだありますね所外の ネジを緩めてドアそのものを取り外しまた 元の通りにはめて おくそんなバカなことを実際にやるつもり ではないでしょう が僕はそれも調べましたあのドアの調子街 には最近ドライバーを当てた後などまるで ありませんでしたするとあは窓です ね探偵はこれにはすぐ答えないで大川の 白い大きな顔を穏やかに眺めていった大川 も笑いながら明地探偵を見ている武彦は なんとなく妙な感じがしたそうです窓の他 に秘密の出入り口など全くないことを 確かめましたおっしゃる通り問題は窓に あったのです村越君の部屋の窓は3つとも 旧式な洋風の押し上げ窓です2枚の ガラス戸が縦に滑るようになっていて手前 のガラス戸を押し上げると下の方が開き 向こうのガラス戸を下げると上部が開く あの幅の狭い窓ですそれが東側の壁に2つ 北側の壁に1つついているの です窓ガラスには割れて穴の開いたもの など1つもありませんでしたまたガラスを 外して外からはめパテを塗ったというよう な後も全くありませんしかしよく調べて みると北側の窓の下の方のガラス戸の右上 の隅にごく細い隙間があるのを発見しまし た明地探偵はそこで竹彦に紙と鉛筆を持っ てこさせるとテーブルの上で図をかき ながら説明を続けた古いガラス戸ですから パテが所々はげ落ちていますこの戸の右上 の隅もやはりパテがちしているのですが そこのガラスの隅がごくわずか斜めにかけ ているのですパテを塗ってしまえば隠れて しまうほどの小さなものですですから部屋 の中から見るとほとんど気がつかないの ですほんの2mmか3mmくらいの三角型 の隙間なのです犯人はこのわずかな隙間を 利用したの です3つの頭が解かれていく謎に引きつけ られて明地の各略図の上に集まった この押し上げ窓の掛け金は上の方の ガラス戸の下の枠の上面に半月型の金具を 取り付けてあってそれが下のガラス殿の 上部の枠の金具にはまるようになってるの です上から見るとこんな形です ねあっちはその金具の略図を書いたこれで もうお分かりでしょうドアの下の隙間の 利用を窓ガラスに応用したのに過ぎません この掛金の端に銅の細い針金を2巻き ぐらいしてその針金の一歩の端を下の戸の 右上の隅の小さな隙間から外へ垂らします 同線は柔らかくて自由になりますそうして おいて犯人は内側から下の戸を上げて外へ

出ますその時戸を上げるにつれて同線が途 戸の間に挟まって伸びますが静かにやれば そのため掛金に巻きついた同線が外れる 心配はありませんガラスの隙間に通して ある一方の橋は自由で戸を上げても強く 引かれることはないからですそして外に出 た犯人は外から下の音をぴったり閉め ガラスの隙間から垂れている同線を引き ますそしてそれがピンと張ったところで ぐっと強く引けば掛け金がかかりさらに 強く引くと巻いてあった同線が遂げて全部 隙間から外へ引き出されてしまうという わけですこの図の通りです ねすると今まで一言も言わなかった竹彦が 口を出し たどうして同線に限るのでしょう釣りとの ような糸でもいいわけです がそうだだがこの場合は銅の針金だった 掛け金の端が何かで強くこすったように 光っていたのでそこを削り取って調べて もらったらどうの分子が出たのだだから この場合はどの針金が使われたのだ よ密室の謎は見事明地探偵によって解かれ たので ある壊れた 人形いやよくわかりましたそこで 差し当たって村越の事件では警察は村越の 地人関係を調べているのでしょうね大川が 言ったそ です昨日中村警部がやってきたのもその ためだったようですつまり私たちのあばい 調べです挙さんは中村君からその結果をお 聞きになりましたかいや美浦君から詳しく 聞きました明地探偵は刑事の報告を 思い出した12月13日大川原市は夕方5 時に会社から帰ってきたそれからすぐに 風呂に入りゆみ子夫人と一緒に食事を済ま せて7時頃から書斎にこもって読書した 中途で夫人が紅茶と歌詞を運んできたが それから8時40分の坂口十三郎の バイオリンのラジオの時間まで一歩も書斎 から出なかっ た夫人の方はお茶を運んだ後は羊の外れに ある自分の部屋に行って手紙などを書いて 過ごした大川氏はこの夜夫人と一緒に ラジオの坂口十三郎バイオリン演奏を聞く 約束だったので8時40分になると読書 やめ客間に入ってき た大川ラのラジオは客間の飾り棚に置いて あったそこへ夫人とたきが入ってきた部屋 の伝灯を暗くして3人はバイオリンが 終わるまで身動きもしなかったその間誰 1人客間から出たものはなかったのである 坂口のバイオリンが終わると9時の地方 そこでラジオを切ったせっかくのいい音楽

の味が壊れるので他のものは聞きたく なかったのだそれに大川楽家は早の習慣で 9時はもう男に着く時間だったから だ夫妻は新室へ行き武彦も自分の部屋へ 引き上げ たどこにも疑いを差し挟む余地のない完全 なありで 村越は9時の地法に重なってピストルで 打たれたのだ大川の人間が同時刻に村越の アパートに現れることは不可能で ある何もあなたのありいまで調べることは ないのですが操作を完全にするためにそれ も必要なんです中村君もそういう意味でお 尋ねしたのだろうと思います明地探偵は 警察を庇うようなことを言ったすると嵐は 手を左右に振って無論私も疑われていると は思いませんしょっちゅうの家に出入りし ていた姫田君と村越君が続いてああいう ことになったのですから一応お調べを 受けるのも当たり前のことですですから私 は中村警部にできるだけ詳しくあの晩の ことをお話ししたわけですところで容疑者 はまだ浮かんでこないのでしょう か君の関係をしらみつぶしに当たってる ようですしかし今日の昼頃美浦君に聞いた ところではまだ何も浮かんでないようです 第一警察にはこの引き続いて起こった事件 の同機が何も分かっていないらしいです それですよあついで殺された3人の変死 事件が同じ犯人の仕だとすると一体どこに 共通点があるんですかね共通の動機が 分かればは自然に犯人の目星もついてくる んじゃないかと思うのだがそうです今の ところ姫田君と村越君の事件に共通なのは ただ白い羽だけですまた佐木という画家は 村越君と何か秘密の関係があったという ことだけですそこで実はあなたの意見を 伺ってみたくなったのです田君も村君も しちこちらへ伺ってあなたにがいただいて いましたですからこの2人の性格はよくご 存知だと思いますそこで何かあなたのお 考えが出てくるのじゃないかと思うのです それを伺って捜査の参考にしたいという わけなの です明地探偵は相変わらず笑顔を浮かべ ながら大川らしを見た大川らしはしばらく 目をつって考えていたがやがて話し出し た2人はまるで反対の性格だっただ姫田は 口数も多く陽気でどちらかといえば女性的 なところがあった村越は無で物を深く考え てるようなところがあった会社の仕事など も学者タイプと言いますかじっくりと こなしていくところがあったしかし2人 とも催で学校の成績も優秀だったし会社の 仕事も文句ないほどよくやっていました

ですからここへ理するのうちではあの2人 に最も目をかけてやっていたの です私としてもあの2人を失ったことは 非常に寂しい実に惜しいのですですから そういう立派な青年が殺人事件の被害者に なるなどとても想像できないことでし た中村警部の話では例の白い羽を秘密決し が何かのよしたものと考えたそうですが 私にはそういう心当たりは全くありません 2人ともそうしたことに関係するような 性格ではなかったのですと言って物取りの 仕業とも思えません2人ともまだこれから という男で財産があるわけでもなく2人を 殺したからって何の利益があるわけでも ありませんとすると残るのは何かの恨みに よって殺されたのではないかということ です警察でも一時はそう考えたらしいです ね村越の尾行をしてたとか聞きました がそれはさっきからお話ししている美浦 刑事ですあの人がしつこくつきまとってい ましたもちろん姫田事件の容疑者として ですところがその村越まで殺されてしまっ たすると村越が姫田に恨みがあったの だろうと考えていた警察の方針も成り立た なくなりますね いやそうとばかりは言えませんあったもう 1人の人物があるという考え方もあるから です よそういった時明智探偵の顔にちらっと妙 な表情が走った武彦はそれを見逃さなかっ たそしてなぜかドキッとし たするとさっきの画家はどういうことに なるんですかねその画家は村越の味方だっ たようですがさき蒸吉というのですが大変 変わった画で毎日のように千住のゴミ位を 冷やかす癖があったそうですあの辺を夜に ぶらついていて歴史したのではないだろう かと思われます千住橋の上流にも下流にも 切り立ったセメントの騎士になってる ところが多いですからねもちろん手すりも 何もありませんセメントの壁が地面より 60cmぐらい高くなっているばかりです 突き落とすのはわけもないことです泳ぎを 知らない人だったらそのまま歴史して しまいましょう美浦刑事は佐木蒸気が全然 泳げなかったということを調べ上げました 犯人もおそらくそのことをよく知っていた のに違いありません大川はちょっと笑いを 漏らした川に突き落とす随分つまらない 方法ですね村越の場合の密室などと比べて なんとなく同じ犯人ではないようなところ もあるその画家は突き落とされたのでは なく誤って落ちたのではありませんか多の 確かな証拠はありませんしかし村越君と 何か関係のあった佐木がほとんど同時に

変死しているのですからやはり多と見る べきでしょうそれにこの画家には色々変な ところがあるのです おおというのは大嵐の目が奇ののため きらりと光った僕は美浦君に案内して もらってその画の部屋へ行ってみました 壊れた石膏の像だとか古時計だとかが ごちゃごちゃと並べてあるのです僕はその 中に妙なものを見つけましたマネキ人形 です汚い傷だらけのマネキなのですそばに はその人形の手と足が転がっていました しかもそのマネキは腹と胸部が見当たり ませんでしたこの足と腕と胴はひどく汚れ ていてその足の切り口の周りにはぐるりと キリで開けたような小さな穴が並んでいた のですまたそれと同じ穴はマネキンの足と 手に開いていました紐とか針金とかで繋い だ後ではないかと思いまし た実に細かく話している武彦は明地探偵が どうしてこんなつまらないことをこまごま と話し続けるのか不思議に思っ た無論初めから人形に穴があったはずは ありません誰かが何かの必要のために開け たのです僕はその人形をさきが買う前に すでに穴が開いていたのかあるいは買って から開けたのか考えてみまし たいくら物好きでもあんなに穴の空いた 人形を買って帰って飾っておくというのは おかしいやはり買ってから穴を開けたと 考えるのが本当ではないかと思い ますここで明地はまた言葉を切って3人の 顔を眺めた大川とゆみ子夫人はまきもし ないで夢中になって聞き入っている夫人は さっきから一言も口を聞かないでひどく 興奮してるように見え た武彦は大川夫妻と明地探偵の表情を見て いるうちにまた妙な気持ちになった さきについてはもう1つ考えられることが あります彼はいつもゴミ一に出入りしてい たゴミ一には闇の品物はつき物ですそう いう場所には必ず良くない商人が出入り するもんですあの画家はそこでドイツ性悪 さ拳銃のようなものを買っていたのでは ないかまたは変装用のオーバカのような もの も美浦刑事はそう考えてすぐに千住のゴミ へ出かけてて佐木上吉の行動を洗いざらい 探り出そうとしています実はピストルを 売った商人はもう捕まっているのですその 他のことはまだ分かりませんが僕はもっと 色々なことが分かりはしないかと期待して いるのです武彦はびっくりしたさすがは 明地探偵だと改めてこの有名な私立探偵の 顔を見直し た村越君は死ぬ2日前に会社を抜け出しの

さき上気を尋ねましたミノ刑事の部下が 尾行して村越が10分ばかりで帰ったのを 見届けましたその時ピストルを村越に 手渡したに違いありませ んでは村越君はなぜピストルが入用だった のでしょうそのピストルで殺されてるの ですからね僕はこう考えましたあの ピストルは村越君が自分が欲しくて帰れた のではなく何者かに頼まれたのだと もちろんさき蒸気を通じて買ったのです それを頼んだのは犯人です犯人は被害者に 用意させたピストルで彼を殺したなんと いうずるいやり方 でしょう明智探偵はもう笑ってはいなかっ た引き締まった顔は青ざめ両眼は険しく 光って いる JA

全10夜にわけて江戸川乱歩の少年探偵団シリーズより『白い羽根の謎』をお届けいたします。原作は、天地茂さん、夏樹陽子さんの出演で「美女シリーズ・エマニエルの美女」としても好評を得た「化人幻戯」。先に児童向けリライトされ、ポプラ社様から少年探偵団シリーズの一部として刊行されたものを出典といたしました。(とはいえ少年探偵は一切登場しませんが・・・)

世代性別を問わず、子どもの頃、学校の図書室で読まれた方もいらっしゃるかもしれません。朗読していて子供の頃に想像した景色があざやかによみがえって来た気がしました。

よろしければ、ご感想のコメントやチャンネル登録を頂けると大変うれしいです。次回もどうぞよろしくお願いいたします。

※作品の中に、現代においては一部不適切な表現がありますが、作品が創作された時代背景を考慮して、原作のままといたしました。ご了承の上ご視聴願います。

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