世にも奇妙な物語 穴 (おーい でてこーい)

[音楽] うちなんかね目の鼻の先なんですよじゃ ないですよ風によっちゃ匂うんじゃないの そうよえそうでしょいやこの事業計画に つきましてはですねあの多くの町民の 皆様方がすでに賛成してくださってますし 私たち周辺住民は賛成なんかしてませんよ 分ののすぐそばにゴミ処理場ができる なんてたまんないわよたたら創業はすぐに 工事を中止しろ中止しろ中止静に皆さん 冷静意外にしろ よい かよく 聞けよじゃああんた方が毎日出すゴミあれ 一体どうすんだよ えゴミを燃やそうってんだからね煙や肺も 出るよ多少は ねしかし現実問題このままほっといたら この町ゴミで溢れちまうんだ よ人間ゴミ出さずに生きてけるってもん じゃねえ [音楽] だろう正置作業の邪魔なんで霊の祠移動し てみたんですよそしたらその下から妙な穴 が出てきましたね穴ええ穴 [音楽] です そこは全然見えねえなかなり深いですよね 狐の穴かなんかじゃないですかねえまさか おおい出て こい おい出て [拍手] こいおおよせお前バチがったらどうすんだ よおいちょっと貸すお [音楽] はいいくら深いからめまさかそこなしって わけねえの [音楽] [音楽] あ 98m [音楽] 99m [音楽] 100m けえ [音楽] な 3953 1963 1973 1983 199400 おいあそれが最後です会社に戻って取って

きますかえはい いなんなんですかねこの 穴確かに妙な穴だ などうしましたちょっとでか妙に重いんだ [音楽] え のこの球調査所 はい危ねえよ [音楽] おにしちゃ深すぎるよな建設予定地のど 真ん中ってのは気にかかりますよねうん 基礎工事の邪魔になんなければいいんです がその左側のいかにも役人風の男は県庁の 環境衛生部長ゴミ処理場建設に合作を出し た 本人の接待をしてその見返りに便宜を図っ てもらうまよくある話ですが ジャーナリストとしては見逃せませんよ ね奴はね俺の馴染みなんだよ馴染みが一緒 に酒飲んで何の不信があるんだ よさあね雑誌の読者はその写真を見て何と 言いますかなまよく考えとくんですです なまた伺いますよ [音楽] 礼社長あんなやつまともに空いてしちゃ だめですよどうせ金目当てに決まってるん です から下に行けば行くほど直系は広がってい て東京ドームの大きさにすると500個分 はUに入るそうですしかも調査はまだ途中 で穴の底が確認されたわけじゃありません からねことによるとその何十倍何百倍の 可能性もあるって言ってます何しろ穴の深 さが少なく見積もっても3000m以上だ そうです から しかしどうしてこんな穴ができたんだろ ならないですよね全然わからないですよう 何これよ全然見えないもん ねあだまた来てやがんな危険だから近づく なってさ行ってるんですけどね追い返すよ 穴のことが大になっちゃまずい分かりまし た皆さんすいませんねあの敷地ですから 勝手にれるる んお願いし [音楽] ます [音楽] はい野本かあ大変なことになっちまった すぐに来てくれ [音楽] 頼む [音楽] 初めだったん だ穴のこと言われてついカットなッと押し

たら [音楽] こいつ後ろよけ て頭そのけに事故です よそれじゃ事故じゃないですか とにかく もうおしまい だ冗談じゃありませんよこんなやつのため に社長が自習することなんかありませんよ 社長がいなくなったらこれまでの努力は どうなっちゃうんですか [音楽] 社長 おいやめよぼ子供がいるってかじゃない ですしこのでいなくなっても誰も不思議が ません よ しかし穴は深いか誰にも分かりはしません よ なんかゴミですよ ゴミあの穴よっぽど便利にできてるんです ね分別ゴミだあんだのって面倒な仕分けも 必要ないですし次から次へとよく捨てに 行きます [音楽] よここんところずっと観察してたんです この 穴反対住民の連中マが道々と捨てに来るん ですから呆れと物が言えませんよ穴が 底なしだという評判が広まったと見えて 連中実にいろんなものを捨てに来まして ねいろんなもの人間生きていくためには いろんなものを捨てなきゃならないって 社長の口癖じゃないです [音楽] か 社長このゴミ処理工場なんですけど設計の 手直しはできないでしょうか設計の押し ええ おいどういうことだよ穴ですよこの穴この ままほっとくこともないじゃないですか間 ゴミで溢れてるんです [音楽] [音楽] か川出との新規の廃棄物処理契約も成立し まし たゴミの処理が迅速だという評判が聞いた よ ですこれで県南部の市町村のゴミ処理は うちの会社が一手に取り仕切ることになり ましたそう かこうなったらな経営計画を変更して県内 全域のゴミをだ な 待てよ1圏全域のゴミも一点に引き受ける

かはいなん言ったってお前な捨てても捨て ても例のものはここにいっぱいになる気配 すらないんだからななんかもう無限に捨て られそうな気がしてきまし てああまさにそこなしっていうわけか うん工場の感よくわかりませんとにかく急 にやってきて社長に時間に会いたいと言っ て 国の方オタクの工場については事前に調べ させてもらいましただいぶ多量のゴミを 扱っているとのことです が煙突から全く煙が出ないそうですね消炎 装置がついてない工場なの におかしいです な恐縮されることはないんですよ本日はお 願いがあって伺ったん [音楽] です大丈夫ですかこんなもの捨てちゃっ て政府が安全を保証してるん だ間違いはないだろそうですよね大丈夫 ですよ ねこれでまた一気に事業拡大が [音楽] 測れる 明の春行式には内務省長官がお見えになる そう です鬼町の例の反対住民たちは呼んだのか もちろんです我がの資金で町の集会所や 道路を整備し直したんでみんな大喜びです よ準備は万端 です野本 はい屋上に登ってみんか屋上です か 3億T は日本人が1年間に出すゴミの量だよ ああ綺麗だ な あの穴のおかげで日本中が清潔になった ような気がします よ お出て こいなんだ今の おい出て こいあ 社長 こ [音楽] [音楽] これ の社長 まさか [音楽] [音楽] [音楽] あ



世にも奇妙な物語 穴
(1992年 冬の特別編 1992.12.30)

#世にも奇妙な物語

24件のコメント

  1. 原作のラスト「おーい出てこーい」という言葉と小石だけ(気付かない)のほうが余韻があってよかったな。
    こんなにいろいろ落ちてくるのはしつこい。

  2. これ、長さんが「じゃああんたら毎日出してるゴミはどうすんだよ」っておばさん達にすごむのが記憶に残ってる。文句は言うが問題の解決法は提言しない、自分達がリスクを負うのは断固拒否って市民相手にスカッとした。

  3. 中学の国語の時間に題材になりました。友人が星新一さんの本に載っている話だと教えてくれて、以来、星さんのショートショートを集め、星さん以外の作家さんの小説も読むようになりました。思えば、私の読書のきっかけとなる作品でした。

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