コレクション・リポート:「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」のショー開始直前には、「ウクライナの悲劇に巻き込まれた人々への気持ちを表し、今回のショーではあえて音楽を使わないと決めました」というアナウンスが流れました。コレクションの世界観を表現する上で音楽はとても重要な要素の一つ。新型コロナウイルス・オミクロン株拡大の影響を受けて1月のメンズとクチュールのショーを中止したアルマーニさんにとって、このショーは特別だったはず。彼の“音楽を使わない”という決断には強い思いを感じます。振り返れば、イタリアにおける新型コロナ感染拡大が始まったときに、先陣を切って無観客ショーに切り替えたのも「ジョルジオ アルマーニ」でした。2月24日にロシアのウクライナ侵攻が始まりましたが、ミラノコレでは主要ブランドからのそれに関するメッセージ発信は見られず、今回も、アルマーニさんが先頭に立ってアクションを起こしました。

ファッション・ウイークは、華やかな部分が取り上げられがちですが、本来はビジネスの場です。デザイナーだけでなく、アトリエや広報、マーケティングなど多くの人が関わり、作り上られたコレクションは、次の半年のビジネスにつながるもの。エディターやジャーナリスト、インフルエンサーが、それを伝える役割を担っています。つくる側、発信する側全てが、真剣にファッションを向き合っています。ただ、正直、この数日は100%の気持ちで発信に臨むことができませんでした。ウクライナに思いを馳せ、自分たちに一体、何ができるのかと考えました。まだ、ファッション・ウイークは続きます。そんな中、コレクション発表でできることは、世界に発信される力を生かして、より多くの人に“今、世界で何が起こっているかを考える”きっかけを与えたり、行動を起こさせたりすることだと思います。なぜなら、ファッションは移り変わる時代・世の中と共にあるものだからです。パリコレの序盤では、ショーやプレゼンテーションでウクライナへの連帯を示したり、寄付などの支援を行ったりするブランドが増えました。私自身、何よりも祈るのは、“これ以上傷つく人がでないこと”。戦争は、悲しみしか生みません。

カメラのシャッター音だけが鳴り響く中で披露された「ジョルジオ アルマーニ」のコレクションは、光沢のあるベルベットなどの柔らかな素材となめらかに体に沿うシルエットで表現する、しっとりとしたエレガンス。序盤はテーラリングを軸にウィメンズとメンズをミックスして見せました。後半のイブニングウエアは、すっきりとしたロング丈。ダークカラーの生地に施されたビーズのフリンジやクリスタルの装飾が、繊細にきらめきます。

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