小川洋子さんの本が好きで、小説はもちろん、エッセイも新刊が出るたびに読んでいます。昨年末になんと9年ぶりの発行されたエッセイ集『遠慮深いうたた寝』をご紹介。小川さんの日常のあれこれ、小説が出来上がるまでのエピソード、少女時代の思い出……など。九谷焼の陶板画のなんとも懐かしい表紙の中には、小説同様、暖かくどこか静謐な小川ワールドがたっぷり詰まっています。田辺聖子さんと小川さんがおふたりで甲子園で「六甲おろし」を歌われていることに驚愕したかと思えば、『小箱』『小鳥』という名作はこうして書かれたのかとしみじみしたり、小川さんのライフワークともいえるアウシュビッツについて語られた「答えのない問い」では、人が生きるということの崇高さに心を揺さぶられ涙したり。読む方も様々な感情を味わえます。

「題材はさまざま異なっていても、どのエッセイも結局は文学のない世界では生きられない、ということを告白しています。」とあとがきにある通り、文学とともにある日常、そして作家として一字一字、文学を紡いでいくという小川さんの強い信念が伝わってきます。

ひとつひとつは数ページのエッセイですが、先の見えない不安感に満ちた今、励まされ心の琴線にふれる作品ときっと出会える一冊です。

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