コレクション・リポート:「エトロ(ETRO)」の招待状はいつも凝っているので、受け取るのが楽しみなんです。今季は、ドイツの哲学者アルトゥル・ショーペンハウアー(Arthur Schopenhauer)の著書「女について」でした。私は昨年末に彼の主著「意志と表象としての世界」を読了したばかりだったので、この偶然には驚きました!イタリア語版が届いたので読めませんでしたが、着想源は「女ついて」の作品自体ではなく、知識と感情を求めて文学を探求する、旅路に似たその過程にあるようです。ショー会場には、学びの場であるボッコーニ大学の校内を選びました。

「エトロ」のシグネチャーであるペイズリー柄は、ベルベットの艶やかなガウン以外ではほとんど見られませんでした。代わりにグラフィカルなオオカミとバラ、雪の結晶のモチーフをニットウエアやシャツにあしらい、コレクションが華やぎます。コーデュロイやフリース、サテン生地のソフトな質感のボトムスは、ワイドシルエットでリラックスムードを引き立てました。終盤には同じようなルックの3人のモデルが一気に登場し、ニットウエアに記された文字をつないで読むと“Raison d’Etro”となります。フランス語で“生き甲斐”を意味する”raison d’etre”をブランド名とかけているのだと想像できました。その後、イタリア語で“喜び”を意味する”GIOIA”の文字も続きました。

「エトロ」は昨年、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)系の投資会社、Lキャタルトン(L CATTERTON)に株式の60%を売却し、新たな最高経営責任者(CEO)を迎え入れました。新章へとページをめくった今、新たなモチーフとシェイプを取り入れて、ブランドにとっての大きな変化を楽しんでいるように見受けられます。喜びとポジティブなエネルギーに満ちたブランドの原点はそのままに、「エトロ」の物語りは時代と共にこれからも続いていきそうです。

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