









パリコレクション・リポート:朝からいくつかのアポを済ませ、向かったのは「ロエベ」。コロナ禍にはショー形式から離れ、壁紙や新聞などユニークな方法によるコレクション発表で楽しませてくれたジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)でしたが、その際にもショーへの思いを語っていただけに期待が高まります。会場は、以前の定番だったユネスコ本部から変わり、フランス共和国親衛隊の屋内乗馬練習場。中に入って2階に上がると、そこには白っぽい木で作られた極めてシンプルな空間が広がり、会場内にアートを飾ることも多かったこれまでとの違いを感じました。そして、真ん中に下の階から続く階段があり、どうやらそこからモデルが登場してくるようです。
ジョナサンは以前から新たなフォルムを探求しているように感じますが、「神経質でサイケデリック、そしてシュールレアリスム的なものを表現したかった」という今季は、自身がフィレンツェで見た、ルネサンス期のマニエリスムの画家ヤコポ・ダ・ポントルモ(Jacopo da Pontormo)の感情的な作品から着想。その世界観に通じる、「ねじれや転換、ゆがみを取り入れた」といい、色使いやドレープのシルエットにもその影響が見られます。 ショーは、コットンジャージーを使ったシンプルなロングドレスからスタート。ただし、骨組みのようなメタルワイヤーで作るウエストや肩の突起が、違和感をもたらします。その後も、ゴールドやシルバーのメタルプレートを組み込んだドレスをはじめ、ちょっと戦隊モノ的にも感じる翼状のケープをあしらったルック、シルク生地をチェーンで吊ったりツイストしたりしてドレープを描く神話上の女神のようなドレスなど、実験的なスタイルがズラリ。「『ロエベ』に入ってから約8年になるけれど、パンデミックを経た今こそ、私たちがどこへ進んでいけるのか、クラフトをどのように再解釈できるのかという新たな領域の開拓にトライするときだと感じた」と話していましたが、スリムなシルエットと、トレンチコートやデニムジャケットといった定番アイテムをベースに、大胆で彫刻的なひねりを加えるというアプローチに目を奪われるコレクションでした。ただ、このまま着ることを考えづらいアイテムが多いのも事実。どのようにコマーシャルピースに落とし込まれているのかが気になります。
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