パリコレクション・リポート:「ディオール」の会場は、今回もチュイルリー公園の特設テント。1年前にも同じ場所に来ましたが、今季はすごい人だかり。人混みをかき分けて中に入ると、そこに広がっていたのは、コロナ前と変わらぬような規模の階段状の座席と大掛かりなセット。ミラノコレでは席同士の間隔がとられていましたが、パリはその必要がないようで、国が変わればルールもかなり違うと実感します。

 今回、セットデザインを手掛けたのは、イタリア人女性アーティストのアンナ・パパラッチ(Anna Paparatti)。現実に疑問を投げかけ、想像力の扉を開く空間としての遊びの概念を追求する彼女が1964年に発表した作品「Il Gioco del Nonsense(ナンセンスのゲーム)」をベースにした、立体的な”すごろく”のような円型のランウエイを用意しました。会場が赤い光に照らされると、モデルが一気に登場。数字がふられたマス目一つ一つにそれぞれが立ち、イル クアドロ ディ トロイージ(Il Quadro di Troisi)による心地いいディスコミュージックの生演奏とミラーボールのようなライティングとともに、ショーが幕を開けます。

マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)がインスピレーションを得たのは、「ディオール」の3代目アーティスティック・ディレクターを約30年間務めたマルク・ボアン(Marc Bohan)のアーカイブ。中でも、1961年に発表された”スリムルック”コレクションに焦点を当てています。キーアイテムは、トラペーズラインのミニドレスやスカート、コート、コンパクトなシルエットのスーツ。ポップな単色やカラーブロッキングで、若々しい60’sスタイルを描きます。ボクシングショーツや襟付きのベースボールジャケット、ボウリングバッグはレトロスポーティーなムード。ギラギラ輝くドレスは、観客をディスコへと誘います。アクセントとしてウエアに乗せたトラやシマウマ、ワニなどの動物のモチーフは、「ディオール」のバッグやセラミックなどに用いられている“トワル ドゥ ジュイ”からの引用。伝統的な柄を大胆に拡大し、鮮やかな色と組み合わせることで、グラフィカルに表現しているのが印象的です。

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