ミラノコレクション・リポート:キム・ジョーンズ(Kim Jones)が共同アーティスティック・ディレクターに就任して以来、「フェンディ(FENDI)」はビジネスも好調と聞きます。頑張れば買えるジュエリーが若い世代に、一着数千万円のオートクチュールが富裕層にと、“全方位”な商品提案が効果を発揮しつつあるように見えますが、キムはその理由を「リアルだから。ビンテージでもなく、アバンギャルドでもない。そしてタイムレスだから」と答えます。

今シーズンの「フェンディ」は、まさに、そんな彼の哲学を体現するようなコレクションでした。インスピレーション源の大きな1つは、ニューヨークの伝説的なディスコ「スタジオ 54」。カルチャーの世界ではアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)、ファッションの世界ではカルバン・クライン(Calvin Klein)らに愛された、1970年代の象徴です。さまざまな人が、自由なファッションを楽しんだという「スタジオ 54」の雰囲気は、「シャープ」より「エッジー」という言葉の方がぴったりなセットアップや、マイクロミニのホットパンツ、フリンジをカスケード(滝)のように重ねたフラッパードレス、そしてもちろん豪華なファーコート(リサイクル素材も多いそうです)などから漂ってきます。カラーパレットは、新時代のいまにふさわしいピュアホワイトに始まり、淡いベージュやグレーに転じたかと思えば、後半は鮮やかなベビー&ショッキングピンク。シルクサテンの素材やゴールドの色合いは、ミラーボールの下にピッタリです。カフタンドレスやブラトップ、ニットで作ったボディコンドレスは、もはや欠かせない着心地に配慮したもの。ユニークなアクセサリーとセットで、70年代のスタイルをアップデートする大事な要素です。そこに、ファッション界で活躍したイラストレーター、アントニオ・ロペス(Antonio Lopez)が描いた、「FENDI」の新しいロゴをプラスしました。ロペスは、前任のカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が招待状の制作などを依頼したデザイナーであり、キムは「彼のスケッチは、アンディ・ウォーホルやデイヴィッド・ホックニー(David Hockney)のクリエイティビティをかき立てたんだ」と語ります。カールという「フェンディ」にとって欠かせないレガシーと、アンディ・ウォーホルという「スタジオ 54」を語る上でやっぱり欠かせないレガシーを意識した上でのイラストレーターの選定に、ブランドの歴史をコンテンポラリーに蘇らせるキムのセンスを感じます。キムって、どうやって歴史を調べているのかな?

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