季節が移ろうように、年齢を重ねることで人は少しずつ変化してゆく。有村架純もいま、そんな変わりゆくときを過ごしている。どこか儚げで愛らしい人物像から、さまざまな経験を重ね、内側にある葛藤や意志までを表現できる女優へ。30代を迎えたいま、彼女が向き合っているのは、次の「自分らしさ」だ。

    有村架純を紐解く3つのこと

    「もうひとつ、自分自身が持つエネルギーを確立したい」

    これまで培ってきたものを否定するのではなく、それらを抱きながら、自分のなかにある新しいエネルギーを探しているいま。周囲の声に耳を傾け、期待にも応えながら、それでも自分の意思で変わっていく。その静かな葛藤の先にまだ見ぬ自分の姿がある。そんな未来の姿を表すかのように、マックスマーラの柔らかな「アトリエ」コートに身を包んで有村架純は静かに佇んだ。

    成長に合わせた「自分らしさ」を
    模索しながら
    自分自身で掴み取る

    「30代に入って、これから35歳、40歳と年を重ねていくわけですが、ちょうど次のフェーズに入っていくような感覚があります。20代は20代なりの自分らしさというものがあったと思うのですが、30代のそれをいま模索中という感じです」

    俳優という仕事は、年齢を重ねることで、求められる役柄も、見られ方も、少しずつ変わっていく。そんな変化のなかで有村架純が向き合っているのは、自分の内側にあるものを見つめ直すことだ。

    コート¥1,029,600、ブーツ¥264,000/ともにマックスマーラ、スカート¥169,400(参考価格)/スポーツマックス(以上マックスマーラ ジャパン)

    「メイクやファッションでも自分を表現することはできますが、いまはもうひとつ力を抜きたいなと思っているんです。これまでは、色んなものを足して装飾したり、メイクでさまざまな自分を表現する機会がたくさんありました。そのなかで、自分自身が持っているエネルギーそのものを大切にしたいという思いがあって。だからこそ、一度ゼロベースというか、リセットして、自分自身について考え直してみたいと思っています」

    そんな彼女自身を、本人は「炎で例えると、青い」と表現する。感情の起伏が激しいタイプではなく、普段はフラット。外で感情を大きく動かさずにいるのも、演じるときに必要なエネルギーを温存しておくためだという。一方で、兵庫県出身らしく、大のお笑い好きという一面も。M-1を欠かさずチェックするほどの熱心なファンでもある。凛とした佇まいの奥には、そんな軽やかな感性も持ち合わせている。

    しかし、俳優・有村架純として長く知られ、役に没頭してきたからこそ、人々のなかには、彼女に対する「有村架純といえばこう」というイメージもある。それは本人も感じていることだという。

    「どうしてもイメージというのは定着してしまうものですが、そこをまず自分から、崩していかなくてはいけないなと思っているんです」

    ここでいう「崩す」とは、周囲からのイメージを覆すことではなく、自分自身がこれまで培ってきた「こうありたい」「こうするべき」という考え方を、いったん手放してみることなのだろう。

    「悩みを持っている人は美しい」

    「きっと自分自身がそういうマインドでいれば、周りの方々の気持ちだったり考えだったりというのも、自然と分かり合えてくると思うので、自分がこれまで培ってきた自分の中の考えを、一旦崩していきたいなという気持ちです」

    その背景には、人との関わりから得るものへの信頼もある。スタッフや事務所、共演者、監督、さまざまな人の言葉に耳を傾け、そこで得た気づきを糧にしてきた。30代に入った頃、以前仕事をともにした監督からふいにかけられた言葉も、そのひとつだった。

    「とある現場でお会いした時に、『有村さんは本当に最後まで諦めずによく頑張ってるね』と声をかけてくださったんです。実はその頃、少し現場に尽くすことに疲弊してしまっていた時期で。全力を尽くしたとしても、必ずしも上手く展開したり、いい結果が生まれなかったりもするので、それをやり続けていくことに、少しエネルギーが不足していた頃だったんです。そんなときに、監督からそんな言葉をいただいて、やっぱり、見てくださっている人はいるんだなと思えたんです。監督にとってはなんてことない言葉だったかもしれないけれど、私にとっては、その瞬間鼻がツンとするぐらい、すごく胸に刺さる言葉で、『また頑張ろう』と思えました」

    コート¥936,100、スカート¥514,800、ブーツ¥264,000(参考価格)/以上マックスマーラ(マックスマーラ ジャパン)

    演じるために
    物事を深く考えていく
    その足は止めない

    誰かの言葉を受け取り、ときには自分の考えを揺さぶられながら、それでも自分の足で進んでいく。そんな彼女が思う「輝いている女性」もまた、迷いを抱えている。

    「私は、不安を抱えていたり、悩んだりすることはとても美しいことだと思っているんです。なぜなら、それは自分の弱さや、自分自身の課題を乗り越えようとしている証拠だから。自信というのは、そこを乗り越えた先にあるものだと思うので、私には悩みを持っている人の方が輝いて見えるし、美しく見えるんです」

    その言葉は、いままさに次のステージへ向かおうとしている彼女自身にも重なる。答えを急がず、迷いも含めて現在地を受け止めながら、周囲の声に耳を傾けていく。

    自分の哲学と共鳴する服が表現することを後押しする

    今回の撮影で纏ったのはカシミア、アルパカ、モヘアといった上質な素材とサルトリア技術を集めたマックスマーラが誇る、「アトリエ」コートコレクション。シンプルでタイムレスなディテールとシャープなラインにブランドの美学が香る。

    ひとつのスタイルは、普段好んで着るという白や黒、グレーとは異なるブラウンを重ねたスタイル。マックスマーラならではの上質な素材と深い色味が、いつもの装いとは異なる表情を引き出した。研ぎ澄まされ計算し尽くされたデザインが、自分らしさを開拓しながらも周囲と融合し続ける有村の調和の哲学と重なっていくーーー。

    「皆さんが求めてくださる自分像に答えたい気持ちもあるし、でも、自分が表現してみたい自分というものもある。それを時と場合によって使い分けられていけたら、一番、幅を狭めなくて済むんでしょうね。その中で、『こういう自分もあるよね』という部分を、今回の撮影でスタッフの方々が一緒に叶えてくださって。私はこういう自分に会いたかった、という感じです」。

    装いを選ぶこともまた、自分らしさを探るひとつの方法だ。

    「ファッションは、自分を表現してくれる一部だと思うんです。皆さんも毎日、何を身につけるかを選ぶところから一日が始まりますよね。好きな自分でいるために、その日に何を選ぶか。そうやって自分を表現できるものだと思うので、ファッションって、自分って最高、って思えるひとつの方法だと思います」

    任せられるものは手放して、余白を作る

    一方で、これまで積み重ねてきたものを、すべて変えたいわけではない。演じることにおいては、それらが深く役と向き合うための力になる。

    「いまの自分から何かを手放した瞬間に、深く潜れなくなる気がするんです。物事を考えることだったり、表現をする上において、どれだけ深く潜って放出するかというところが、演じる上ではすごく大切だなと私は感じるので。……どちらにしろ、たぶん私は手放さない性格だと思うんですけど(笑)。でも、本来だったら考えなくていいことまで考えてしまったりもするので、そのちょっとしたことを手放すだけでも、自分が少し楽になれるかなとは思っています」

    抱えてきたものを大切にしながら、余計な力だけを手放していく。その先では、これまで以上に思い切った挑戦もしてみたいという。

    「これまでに経験した頃がない表現をしようとする時、うまくいくかそうでない方向にいってしまうのか、結構な賭けになると思うんです。でも、『新しい自分に出会えるかな』という可能性は潰したくない。だから信頼できる方々と一緒に前に進めるなら、迷わず飛び込みたいと思います。なので、30代後半に向けて、これからどんな役が自分に巡り合うのかというところは楽しみでもあるし、ときに大胆な選択もしてみたいなと思います」

    仕事に全力を注ぎながら、これからは日々の暮らしにも、もう少し目を向けていきたい。

    「自分の時間をどれだけ充実させて過ごせているんだろうと考えたときに、多分私はまだまだそこに手を回せていないんです。本当は、気軽に旅行をしたり、身近なところだと習い事もしてみたい気持ちはあるのですが、どうしても仕事のことばかり考えてしまう。自分自身のことに没頭できる余裕を持てたら『いま、自分を生きられてるな』というのを実感できる気がします」

    手探りでも自分自身と向き合い、前へ進む。まだ答えのないその時間が、有村架純を有村架純らしく輝かせている。

    MAX MARA

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    Information
    ブランド創業75周年を記念したエキシビション「THE MAX!」が開催。

    マックスマーラが創業75周年のアニバーサリーイヤーを記念し、2026年11月3日(火・祝)から11月9日(月)の期間、東京・銀座ソニーパークにてブランドエキシビション「THE MAX!」を開催。創業以来、卓越したテーラリング技術や、革新的なテクノロジー、そしてものづくりへの飽くなき探究心で歩みを重ねてきたマックスマーラ。会場では、ブランドを象徴するTeddyが案内役として登場し、長年に渡るクリエイティブヘリテージを紐解く体験型の世界へと誘う。過去から現在、そして次の時代へと絶えず進化を続けるマックスマーラの創造の旅を、ぜひ会場で堪能して。

    「THE MAX!」
    会期:2026年11月3日(火・祝)~11月9日(月)
    開催時間:11:00〜20:00(11月3日のみ12:00開場)
    会場:銀座ソニーパーク(東京都中央区銀座5丁目3-1)

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