映画「NAZA ナザ」の一場面。テルアビブのビル屋上で、インタビューを受けるガザ攻撃にかかわった兵士ら。顔が特定されないようシルエットで登場する。映画は東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか順次公開中 (c)The Guardian 2026(AERA DIGITAL)

    【写真】映画「NAZA ナザ」のユヴァル・アブラハーム監督(左)とラヘル・ショール監督

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     米アカデミー賞を受賞した映画「ノー・アザー・ランド」の監督のイスラエル人ジャーナリスト、ユバル・アブラハームがテルアビブのビルの屋上で、ガザ攻撃にあたった兵士たちにインタビューする。

     NAZAとはイスラエル軍で使われる「巻き添え被害」を意味するヘブライ語の略語。ガザの住宅地を攻撃する兵士に、軍は建物ごとの住民数を示し、許容される民間人(非戦闘員)の巻き添えを「20NAZA」などと示したという。

    「1回の攻撃で最も高い数値は?」とユバルが問う。

     シルエットになった兵士は「500」と答える。「1人(のハマスの構成員)に対してだ。彼がどこにいるのか分からない。彼が通る可能性のあるすべての場所を爆撃した。近隣全体を」

     イスラエル軍による恐ろしい無差別攻撃の実態だ。

     ガザでは2025年10月の停戦までの2年間で、民間人を含む6万7千人以上が殺害され、うち子ども2万人以上、女性も約1万人(ガザ保健省集計)。

     兵士の証言の合間にネタニヤフ首相の演説が挟まれる。

    「我々は民間人の陰に隠れ、彼らを人間の盾として利用する敵に対して、民間人への被害を防ぐためにあらゆる手段を講じている」

     兵士の証言は、首相の言葉が事実ではないことを裏付ける。映画の後半でテレビニュース映像が流れる。

    「ネタニヤフ首相に対する国際逮捕状が出される見込みです。飢餓を戦争の手段として使用した戦争犯罪……民間人に対する意図的な攻撃という戦争犯罪……」

    「NAZA ナザ」は9月のベネチア国際映画祭で世界初上映され、審査員特別賞を受賞した。イスラエル総選挙を控えていたネタニヤフ首相は、ユバルともう一人の共同監督の2人の国籍剥奪を可能にする法整備を進める方針を表明した。

    「NAZA ナザ」はイスラエル国内では政府の圧力によって一般上映はされていない。ネタニヤフ首相にとっては権力を維持し続けることが、国内でガザでの「戦争犯罪」を封じ込める条件となる。

    (中東ジャーナリスト 川上泰徳)

    ※AERA 2026年11月9日号

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