テート美術館が誇るターナーコレクション、約80点が来日会場風景より、右が《水のある風景》(1840-45)

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    ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775〜1851)は、移ろう光や大気、荒れる海や空を、ときに克明に、ときに抽象に近いかたちでとらえた英国の画家だ。会場は序章と全7章に「色彩実験」のコーナーを加えた9室で構成され、ターナーの作品群がテーマごとに、時系列に沿って並ぶ。各室にはケイティ・パターソン、オラファー・エリアソン、ヴォルフガング・ティルマンスらの現代美術作品も置かれ、時代の異なる作品を見比べながらめぐることができる。

    本展の企画を担当したのは、国立西洋美術館主任研究員の新藤淳。古典と現代の作品を同じ空間に並べる構成について、新藤は記者内覧会で次のように語った。

    「時代の距離をショートカットさせて作品を展示するやり方は、2000年に開館したテート・モダンが常設展示で先駆的に始めたものです。開館時には、リチャード・ロングの作品の真横にモネの《睡蓮》が掛けられ、大きな注目を集めました。制作された時代も地域もまったく違うものを並べることで、見る人のなかに思考が生まれる。本展は、その方法をこの美術館の空間でどう成り立たせるか、かたちを模索した展示です」

    展覧会は東京での会期を終えたのち、大阪中之島美術館(2027年3月13日〜6月27日)へ巡回する。

    暗がりを抜けて、月と日食の光へ。ターナーの画廊を再演する序章

    最初に来場者を迎えるのは、ターナーが描いた月光の作品群だ。《月光、ミルバンクでの習作》(1797)は、20代前半のターナーがテムズ川の夜景を表した油彩画。月の上には、恒星と見間違えやすい木星も描き込まれている。

    隣には、ターナーが日食を記録した《日食のスケッチブック》(1804)が開かれている。手早く描かれた6点の素描は、日食の始まりから太陽が覆い隠されるまでの経過を追う。ターナーは同時代の科学者たちと交流し、天文学や地質学の新しい動向にもつねに目を配っていた。

    その傍らで展示されるのが、ケイティ・パターソンのインスタレーション《Totality(皆既食/全体性)》(2016)だ。月を思わせる大きな球体は1万枚の鏡面タイルで覆われ、タイルの1枚ごとに異なる日食の像が刻まれている。像の出どころは、1778年に描かれた現存最古の日食の素描から、19世紀の写真、最先端の望遠鏡がとらえた画像までと幅広い。球体はモーターで吊られてゆっくりと回り、反射光の粒を部屋中に投げかける。

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