殿ヶ谷戸庭園(東京都国分寺市)、筆者撮影

     今年の1月、村雨辰剛(むらさめたつまさ)氏が日本庭園を紹介するNHK-BSの番組、「村雨さんと日本庭園たしなみ巡り」の再放送を見た。その日は「小石川後楽園」だった。

     村雨辰剛氏はスウェーデン出身の「イケメン」庭師である。

     かれは16歳で日本文化に興味をもち、独学で日本語の勉強を始めた。

     高校ではつねに分厚い英日辞典を持ち歩き、同級生から「日本人」と呼ばれるほど、日本に夢中になった(村雨辰剛『村雨辰剛と申します』新潮社)。

     高校2年のとき、3か月間、名古屋でホームステイをした。一旦帰国したが、日本人として暮らしたいという思いが募り、19歳で再来日。

     23歳で造園業の世界に入り、26歳のとき、念願だった帰化を果たした。

     村雨辰剛と改名した。村雨は造園業の親方の父が好きな歴史作家の苗字から、辰は辰年生まれから、剛は親方の名前からもらった。

     村雨青年のここまでの特異な経歴だけでも充分1本のエッセイになりそうである。だが、それはさておき、ここでのテーマは日本庭園である。

    まず小石川後楽園に行った

     かれが紹介する「小石川後楽園」は魅力的だった。

     むかし小石川植物園には行ったことがあるが、「小石川後楽園」はそれとは別の庭園であるらしい。ここは江戸から京都への旅を模したつくりになっており、大きな池は琵琶湖を表し、順路の終わりには渡月橋がある、といった具合だ。

     3月のある日、その後楽園に出かけた。

     わたしの日々はほとんど地元を歩いたり、自転車でうろうろするばかりで、めったに都心に出ることがない。ちょうどいい機会だった。

     小石川後楽園までは、JR神田駅から歩いたが、庭園までの初めての街並みを歩くのも新鮮で、庭園で過ごした時間もいい気分だった。

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