『このごにおよんで愛など』ジャパンプレミアが開催!(MOVIE WALKER PRESS)

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    是枝裕和や西川美和の監督助手を務め、柳楽優弥主演の『夜明け』(19)でデビューを果たした広瀬監督が、自ら企画・脚本を手掛けた本作。絵本作家の詩(長澤)と保険会社に勤める杜夫(柄本)は、結婚3年目の夫婦。詩には、夫に言い出せないまま関係を続けている恋人で詩の担当編集者の倉持潤奈(石橋)がいた。どちらとの関係も手放せないまま、杜夫と子どもをつくることもピンとこない詩は、ある日「3人で子どもを作る」という突拍子もないような提案をする。

    オリジナル作品に挑んだ広瀬監督は、「既存の家族像みたいなものに対して、すごく疑問を感じていた」と告白。「そんな時に、レズビアンカップルの友人から『子どもができたよ』という知らせを受けて、パッと視界がひらけた感じがしました。子どもが無事に生まれて、いつかまた大きくなった時に、もっと彼女たちが生きやすい世の中になっていたらいいなと思い、この物語を書きました」とスタート地点について明かした。

    第31回釜山国際映画祭(BIFF)の「釜山アワード部門」に正式出品され、柄本と石橋、広瀬監督が現地入りし、ワールドプレミア上映や公式記者会見に参加した。インフルエンザのため、惜しくも現地への参加が叶わなかった長澤は「釜山へ行けなかったことはとても残念」と切り出し、「先ほど佑さんから、お客様がとても楽しんで観てくださっていたという話を聞きました。思わぬところで笑いが出ていたという話も聞いて、たくさんの方に楽しんでいただけたんだなと実感できた」と喜びをにじませた。

    長澤が演じたのは、自由奔放に振る舞うけれど、どこか憎めないキャラクターである詩。わがままでチャーミングな詩について、長澤は「詩ちゃんは、一緒にいたくなる人なのかなと。杜夫くんも潤奈も、詩ちゃんと一緒にいたいと思ってくれる。一緒にいる時の安心感や、空気感。言葉だけでは言い表せられないような、肌に感じるなにかがあるのかなと思いました」と特別な魅力のあるキャラクターだと話す。広瀬監督も「本当にそうだと思います」と続き、「詩は結構わがままで、ともすると嫌われかねないキャラクター。でも軽やかというか、ふわっとしたところがあって。心地がいいんですよね」とうなずいていた。

    詩の夫・杜夫を演じた柄本は、「杜夫も杜夫なりにわがままな面がある。杜夫の原動力は、詩ちゃんととにかく一緒にいたいということ。そのまっすぐさが魅力」と分析。詩の恋人・潤奈役の石橋は、「潤奈は仕事もできて、おしゃれだし、とても自立した大人な女性。そういった一面もありながら、心の内側は一途でもろく、子どものような純粋な部分を持っている」と語るなど、それぞれが強さとわがままな部分を持っているキャラクターだという。広瀬監督は「それがぶつかり合った時に生まれてくるものを、掬い取りたいなと思っていました」と明かした。

    落合演じるコンちゃんのパートナー・スギくん役で、松井が映画初出演を果たした。松井は「撮影の合間が結構、空いた時があって。長澤さんが『ちょっとお散歩に行ってくる』と行って、しばらくして戻って来たら、『これ、みんなに』とぶどうを買って来てくれたんです。カッコよすぎた」と撮影中に目撃した長澤の素顔について紹介。「僕、この後に渋谷で大喜利ライブがあるんですが、ぶどうを買っていこうと思います」と真似したくなるカッコよさだったと語ると、長澤は「散歩がてら歩いていたら、おいしそうなぶどうがあったので。つまみやすいかなと思って」と回顧。「いいよ!ぶどう、真似していいよ」と松井に呼びかけ、会場の笑いを誘っていた。

    またこの日は、映画のタイトルにちなみ「このごにおよんで、自身が愛してやまないもの」を発表するひと幕もあった。「家族」と書いたフリップを掲げた長澤は、「この映画自体も、新しい家族を模索していく映画。作品に携わって、家族ってなんだろうとすごく考えました。どんな時にも、家族という存在が自分の支えになる。形を変えながら、自分の人生にすごくいい影響を与えてくれる」としみじみと語った。柄本は「推しグッズの収集」と回答。「推しグッズの収集がやめられない。特に好きな映画や、好きなキャラクターのTシャツが、ギッチギチに入っている。それなのに集めてしまう。そんな自分を嫌いになれない」と苦笑いを浮かべた。

    石橋は「アルパカ。10歳くらいのころから好きで、筋金入りのアルパカ好きです。前世はボリビアのアルパカ飼いだったんじゃないか」とにっこり。詩の友人であるコンちゃん役の落合は「自然薯。とろろです。焼いてよし、すってよし。そばに入れてよし、鍋に入れてよし。このごにおよんで、いろいろな顔を見せてくれる」、松井は「ふりかけ」と答えた。パートナーを演じた2人が食べ物を挙げるなど、息の合った様子を見せていた。潤奈の職場の後輩・桜井歩夢役を演じたのせりんは「グリルズ。歯につけるジュエリーです。知り合いが僕の歯型を持っていて、いつも作ってもらっています」、広瀬監督は「映画館。配信もいいですが、映画館という特別な場所で映画を観る時間は、私にとってなにものにも代え難い時間」と、それぞれに愛するものへの想いを口にしていた。

    最後に長澤は「家族のあり方は、それぞれ、たくさんの色があっていいと思います。物語の中では、詩ちゃんと杜夫くん、潤奈が、自分たちはどのような家族を作りたいんだろうと悩みながら、日々を一生懸命に生きている姿が描かれています。皆さんに見届けてもらえたらうれしいです」とメッセージを送り、大きな拍手を浴びていた。

    取材・文/成田おり枝

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