普段あまり映画を観ない層に向けた絶妙な視点と、映画への溢れる愛をSNSで発信し人気を集めている・りゅかさん。元映画館スタッフという経歴を持ちながら、「あえて大作や有名作を推す」独自の発信スタイルで多くのファンの心を掴んでいます。

    BSSTOで配信中の作品についてレビューを寄せてくれたことから、今回は、りゅかさんの映画との出会いや日常でのショートフィルムの楽しみ方、そして「映画を観ない人」へ魅力を届けるためのこだわりについて、じっくりとお話を伺いました。

    1. 寝る前15分の至福――日常に溶け込むショートフィルム

    毎日数多くの映画に触れているりゅかさんですが、ショートフィルムは「寝る前にスマホで15分だけ」という手軽なスタイルで楽しんでいるのだそう。
    「最近夜寝る前に観て、すごく気分が良くなったのが『11時11分の願いごと』です。前向きで爽快な気分になれて、『よし、明日も頑張ろう!』と思える、可愛くてちょっぴりダークな素敵な作品でした」

    『11時11分の願いごと』より

    さらに、りゅかさんならではのマニアックな映画の楽しみ方が「シーン単体鑑賞」。 「その時の気分で『あの場面が観たい!』と衝動的に“おかわり”鑑賞するんです。『フィリップ、きみを愛してる!』の乙女なユアン・マクレガーのシーンや、『アバウト・ア・ボーイ』冒頭でヒュー・グラントがモノローグでブツブツ言っているシーン、『酔拳2』の列車の下で戦うシーンなど……。結局、見始めると最後まで観ちゃうことも多いんですけどね(笑)」

    『フィリップ、きみを愛してる!』 ©2009 EUROPACORP

    2. 「映画を観ない人」の目線に立つ――発信者としてのこだわり

    りゅかさんのInstagramアカウント「映画を観ない人向け」では、あえてマニアックな名作ではなく、ハリウッドの大作や有名俳優の出演作を中心に紹介しています。映画好きであれば専門的な知識や監督名を語りたくなるところですが、そこには明確な意図と戦略があります。
    「映画を観る習慣がない人は『気分転換に映画を観よう』という選択肢をあまり持っていません。美味しいものを食べたりカフェに行ったりする方が、手軽な気分転換になるはずなんです。だからこそ、『監督が~』とか『映像美が~』といった専門的な説明ではなく、『ラストがそんなに衝撃なの!?だったら観てみようかな』と思ってもらえるような、自分自身が体験したリアルな感情をストレートに伝えることを一番大切にしています」
    また、元劇場スタッフだからこそ知る「映画館という空間」の魅力についても熱く語っていただきました。

    『28日後…』(C)2002 TWENTIETH CENTURY FOX

    「大きなスクリーンで映画の世界に入り込み、あたかも自分がそこにいるような気分になれる。これこそが映画館の魔法です。ホラー映画なんて臨場感がハンパなくて(笑)。実はホラーが苦手なのに、昔『28日後…』をダニー・ボイル監督作だと知らずに観に行って、本気で死にそうになったのも良い思い出です」

    3. トラウマ体験から「人生の一冊」へ――映画との出会いと原体験

    りゅかさんが初めて字幕映画に触れたのは小学校低学年の頃。作品は『Return to OZ(オズ)』でした。
    「作中に出てくる『ホイーラーズ』が本当にトラウマ級に怖くて……。当時は画面のすべてが『本物』だと思っていたので、『ホイーラーズが家に来たらどうしよう』と一週間くらい夜が恐怖でした(笑)。でも、一緒に観た両親は『面白かったね』って笑っている。本物じゃないのに本物で、そこに自分がいる感覚。『映画ってすごい!!!!』と肌で感じた瞬間でした」
    映画館での体験はご家族との大切な思い出とも深く結びついています。 「子供の頃、映画を観終わると必ず両親や祖母と一緒に売店へ行ってプログラム(パンフレット)を買ってもらっていました。だから私の中では『映画を観たらプログラムを買う』までが鑑賞の一連のセット。実家には昔のプログラムが何十冊も眠っているはずです」

    『海の上のピアニスト』(C)1998 MEDUSA

    そんなりゅかさんのオールタイムベストは『海の上のピアニスト』。作中の名言「いい物語があってそれを語る人がいる限り、人生捨てたもんじゃない」は、現在のSNSでの発信活動の大きな支えになっていると言います。
    「『映画の素晴らしさを知ってほしい』という思いが空回りして悩むこともありますが、そんな時こそ『どんな状況でも、ちゃんと見ててくれる人がいる』とこの言葉を思い出します。ティム・ロスの寂しげな表情、セリフ以上に語る演技、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の語り口……。すべてが合わさって実話かと錯覚するほどの没入感を生み出す、まさに映画の魔法が詰まった一作です」

    4. ショートフィルムがひらく「映画の新しい入口」

    長編映画の魅力と、短時間で楽しめるショートフィルムの魅力を両方知るりゅかさん。最後に、ショートフィルムの持つ可能性とBSSTO読者へのメッセージをいただきました。
    「最近の長編映画は時間が長くなる傾向があり、映画を普段観ない人にとっては『3時間も飽きずに観られるかな?』とハードルが高く感じられることもあります。でも、ショートフィルムなら通学・通勤時間や寝る前の15分など、一番気軽かつ身近に楽しめる『映画』になります。そこから映画の新しい入口を見つけてもらえたら嬉しいです」

    キュートなアメリカのスクールコメディの要素もありつつ、日本とは異なるリアルな悩みにも触れられる作品。最後には爽快感と前向きな気持ちになれる、寝る前の鑑賞にもぴったりな1本です!

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