
音楽関連団体や芸能・音楽事務所などでつくる「災害支援基金 実行委員会」が発足し、10月7日、都内で発表会を開いた。第1弾の取り組みとして、2027年1月19日・20日の2日間、日本武道館で「災害支援基金コンサート」を開催する。
名誉会長には歌手・俳優の杉良太郎氏、会長には日本音楽事業者協会(JAME)会長の瀧藤雅朝氏、実行委員長にはライジングプロ・ホールディングス代表取締役の平哲夫氏が就いた。発表会では第1弾の出演アーティスト13組が発表され、このうちMAX、DA PUMP、w-inds.、鈴木亜美、EXILE B HAPPY、SWEET STEADYの6組が登壇して、参加にあたっての思いを語った。
「基金を作った方がいいのではないか」杉良太郎氏が語った発足の経緯
杉良太郎氏
音楽業界ではこれまで、災害の発生後にチャリティーコンサートなどを開き、収益を被災地へ届ける活動が行われてきた。ただ、災害はいつ、どこで起きるかわからない。そこでライジングプロダクション、LDH JAPAN、エイベックス、音事協が中心となって今後の災害支援のあり方の検討を始め、長年にわたり災害支援や社会貢献活動に携わってきた杉氏に相談する中で、「災害が起きてから動くのではなく、平時から支援できる仕組みをつくる」という考えが生まれたという。
発表会ではまず、杉氏が発足の経緯を説明した。「あまりにも災害が日本列島どこで起きるかわからないような状況になっています」と切り出し、これまでは地震や災害が起きた場所へその都度支援をしてきたが、いまは全国で同時に何カ所も、同じ場所で何度も起きるようになったと指摘。「気候変動の中で、どうやって私たちは支援をしていけばいいのか」を平氏と話し合う中で、「基金を作った方がいいのではないか」と話がまとまったと振り返った。
杉氏は、瀧藤氏のほか「LDHのHIRO会長、エイベックスなど、仲間の皆さんが集まって、実行委員会を立ち上げました」と説明。基金の狙いについては次のように述べた。
「基金を作りまして、これを活用し、災害が起きたら何のストッパーもないものですから、すぐに手当てができる、すぐに支援ができるという体制を作っていきたいと思っています」
日本武道館でのコンサートには、出演者や事務所スタッフも無償で参加するという。杉氏は「1年1回やればいいというものじゃない。基金ですので、年間通じて何回もやらなきゃいけない」と述べ、継続して開催していく考えを強調した。
今回の支援先については、「10年前にも熊本で大きな地震と災害がございましたけれど、今回は熊本、または千葉といったところに、少しでもお役に立てたらいいなと考えております」と語った。熊本県では今年7月28日、最大震度7を観測した「令和8年熊本地震」が発生している。
音事協・瀧藤会長「継続的に参加できる支援の形に」
瀧藤雅朝氏
続いて瀧藤氏が、実行委員会への参画について説明した。瀧藤氏は「音楽業界を中心として、継続的に参加できる支援の形にすることに大きな意義があると思っております。私ども日本音楽事業者協会もこの趣旨に深く賛同しております」と述べた。
第一歩となる日本武道館公演については、趣旨に賛同したアーティストとともに、音楽を通じて被災地への支援につなげたいとし、「今後も多くの音楽関係者、アーティスト、企業の皆様と共に、この取り組みを育てていきたい」と語った。
第1弾は日本武道館で2日間、出演アーティスト13組を発表
「災害支援基金コンサート」は、2027年1月19日(火)・20日(水)の2日間、日本武道館で開催される。第1弾は直近に大きな被害を受けた地域への災害支援が目的で、熊本地震や、千葉県、福井県での豪雨などで被災した地域が対象となる。
コンサートの収益を災害支援につなげることを基本方針とし、今回の公演を一度きりにせず、継続的に基金を形成していくために年に数回のイベント開催も検討する。将来的には、新たな災害が起きた際にも迅速に支援できる仕組みへ発展させることを目指すという。
発表会で読み上げられた第1弾出演アーティストは、MAX、DA PUMP、w-inds.、鈴木亜美、EXILE B HAPPY、SWEET STEADY、島袋寛子、三浦大知、Crystal Kay、FANTASTICS from EXILE TRIBE、SUPER☆GiRLS、CANDY TUNE、FRUITS ZIPPERの13組。出演日ごとの顔ぶれは記事末の開催概要のとおり。出演者は今後も順次発表される。発表会時点では、公演時間やチケット販売については後日発表としていた。
「事務所の枠を越えて」 登壇した6組のコメント
発表会には13組のうち6組が登壇し、一言ずつコメントした。
NANA氏(MAX)
MAXのNANAは「近年、頻繁に自然災害のニュースを見て胸が痛く、何か自分にもできることはないのかと、もどかしさを感じていました」と明かし、基金の取り組みを聞いて「これなら自分にも、小さな力でもみんなで力を合わせて大きな力となって届けられると思い、この活動を長くやっていけたらなと思いました」と語った。
MINA氏(MAX)
MINAは、音楽を通じて生まれた多くの人とのつながりを、普段から助け合える形につなげていきたいとし、「今回のライブ、心を込めて精一杯参加させていただきます」と述べた。
TOMO氏(DA PUMP)
DA PUMPのTOMOは「継続的にチャリティーとして支援できるというところにすごく心を打たれまして、僕たちDA PUMPもすごく賛同している思いでいっぱいでございます」とコメント。リーダーのISSAからもこの日の朝に連絡があり、思いを伝えてきてほしいと言われたという。
KENZO氏(DA PUMP)
KENZOは、以前に杉氏とベトナムを訪れた際のことを振り返った。寄付や基金という形で学校がつくられた場所で、子どもたちが笑顔で踊り、歌う姿を見て、「お金の形って、こんなにも愛になるんだ」と感じたという。大切にしている言葉として「MORE LOVE, LESS HATE」を挙げ、SNS時代には誰かの寄付が称賛される一方で「でもこっちではやってない」といった言葉も出てくると指摘。そのうえで「こういう基金が生まれることによって、たくさんのアーティストの方が賛同していって、一つの愛の形がいろんな輪になって、いろんな活動の幅だったりとか、災害地に届くことがすごくいいことじゃないかなと思っています」と述べた。
千葉涼平氏(w-inds.)
w-inds.の千葉涼平は、これまでも所属するライジングプロダクションでチャリティーライブを通じた支援活動を続けてきたとしたうえで、「今回、事務所の枠を越えて、様々な素晴らしいアーティストやアイドルの皆さんとご一緒できるということで、とても僕自身、心強く感じております」とコメント。「普段僕たちを応援してくださっているファンの皆様の中にも、被害に遭われている方や、何か力になりたいけどどうしたらいいかわからないという思いを抱えている方もいると思います。そういった方々の思いも乗せて、支援活動を行っていければ」と語った。
鈴木亜美氏
鈴木亜美は「このようなプロジェクトに参加できることを心から嬉しく思っております。音楽の力で、少しでも多くの方の力になれるように、私も励んでまいります」と述べた。
TETSUYA氏(EXILE)
EXILE TETSUYAは、今回はEXILE B HAPPYとして参加すると説明し、「LDHとしては他にもCrystal Kay、そしてFANTASTICSも参加予定なので、みんなで力を合わせてしっかりと盛り上げていければ」と話した。EXILE B HAPPYは「LDHの中では唯一、キッズエンターテインメントを作るグループ」だといい、「当日は子どもたちだったり、親御さんたちもいらしてくれると思いますので、チャリティーだったり支援だったり、キッズたちがそういうことにも目を向けられるような、意識を持てるイベントにできたら」と語った。
音井結衣氏(SWEET STEADY)
SWEET STEADYからは音井結衣が代表してコメント。こうしたコンサートへの出演はグループとして初めてだといい、アイドルは元気を届けるための存在だと考えているとしたうえで、「私たちが少しでも力となり、一人でも多くの方にたくさん笑顔になっていただけるようなパフォーマンスを届けていきたい」と述べた。
今後の展開は「うまく育てていきたい」 質疑応答から
質疑応答では、日本武道館公演の後の展開について質問が出た。杉氏は「これから開催地も、また回数も、どんどん早く決めていかなきゃいけないなと思っています」と述べ、「できたらゲリラ的にもやりたい」とも話した。「こういった試みというのは日本で初めてじゃないかなと思いますので、うまく育てていきたい」。海外での開催の可能性を問われると、「全部は否定できない」としたうえで、「災害で被害を受ける方々というのはものすごく広いものですから、広く考えていきたい」と答えた。
複数のアーティストが集まり、基金という形で継続していく意義を問われたNANAは、「自分がその場に行くというよりも、自分たちのできることで、こういうふうに支援ができるということは、すごく素晴らしいこと」と話した。「見に来てくださる人たちが、もっともっと楽しい思いをしながら、それが支援につながるというのが本当に素晴らしい」「単発ではなく続けていくことで、どんな時でもすぐにそれが届くということにすごく共感した」と続け、「支援に参加するアーティストが増えてきたら嬉しい」と述べた。
アイドルや若手が参加することで支援を広げていく点について、杉氏は、これまでもその時代ごとに若い人たちの力を借りて海外進出や福祉活動、文化交流に取り組んできたと説明。「自分のところは大丈夫だ、線状降水帯は来ないんだとか、そういうことは絶対ないので。あなたのところに被害が出るかもしれない」と語り、「音楽の力で、若い人の力で、その人たちを一人でも多く助けることができたら」「音楽を通じて助けることができるんだよということも経験していただきたい」と期待を寄せた。
終盤には、杉氏とコラボレーションするなら歌いたい曲を問われた音井が、ダンスがキャッチーだという楽曲「SWEET STEP」を挙げ、「絶対に杉さんが踊ってくださったら可愛いと思いますので、一緒に歌って踊れたらいいなと思っております」と呼びかけた。一方、杉氏は自身がステージに立つ可能性について「ないです。初めて私、辞退しているんですね」「裏方で今回はやらせていただく」と明言。音井の呼びかけについて重ねて問われても、「コンサートにはカラーが必要」「このコラボはちょっと難しいです。ご挨拶だけ」と答えた。
発表会の最後にはフォトセッションが行われ、実行委員会メンバーでライジングプロダクション代表の田代雅裕氏も加わった。
「災害支援基金コンサート」開催概要
開催日:2027年1月19日(火)・20日(水)
会場:日本武道館(東京都千代田区北の丸公園2-3)
主催:災害支援基金 実行委員会
出演(50音順):
1月19日(火)CANDY TUNE/島袋寛子/SUPER☆GiRLS/SWEET STEADY/鈴木亜美/FRUITS ZIPPER/MAX/and more…
1月20日(水)w-inds./EXILE B HAPPY/Crystal Kay/DA PUMP/FANTASTICS from EXILE TRIBE/三浦大知/and more…
※出演アーティストは2026年10月7日時点の情報。出演者は今後追加・変更となる場合がある。グループは当日の出演メンバーが一部となる場合がある。
※発表会時点では、公演時間、チケット販売は後日発表。
災害支援基金 実行委員会
名誉会長:杉良太郎(法務省 特別矯正監、厚生労働省 特別健康対策監、警察庁 特別防犯対策監)
会長:瀧藤雅朝(一般社団法人日本音楽事業者協会 会長)
実行委員長:平哲夫(株式会社ライジングプロ・ホールディングス 代表取締役)
