【10月08日 KOREA WAVE】

    ソウル市内の映画館に掲示された映画「暗殺者(たち)」のポスター=5日(c)news1

    ソウル市内の映画館に掲示された映画「暗殺者(たち)」のポスター=5日(c)news1

    「ニュースで取り上げられているので、映画を映画として見てから話そうと思って来ました」

    7日、夫とソウル市龍山区の映画館を訪れた70代の女性は、韓国映画「暗殺者(たち)」をめぐる論争について、こう語った。

    「最初は関心がなかったけれど、騒がれているからこそ、どんな映画なのか知りたくなった。見なければ話せないと思う。論争が逆に興行を後押ししているようだ」と話した。

    龍山アイパークモールのCGVを訪れた観客の多くも、「直接見て判断するために来た」と説明した。

    映画は、1974年8月15日の光復節記念式典で起きた大統領夫人銃撃事件を題材にしたミステリーだ。当時の捜査当局は、在日韓国人ムン・セグァン(文世光)の銃弾で夫人が死亡したと結論付けた。映画が別の可能性を示唆したことで、歴史歪曲論争が起きている。

    映画振興委員会の集計では、7日午前7時時点の累計観客数は246万6991人で、興行ランキング1位を記録した。

    ただ、平日午前の館内は混雑していなかった。午前10時15分の上映は194席中33席が販売され、同じ時間帯に最も予約が多かった「劇場版ちいかわ」は148席だった。

    50代の男性は「内容が気になって来た。論争は知っているが、受け止め方は人それぞれだと思う」と話した。

    20代の観客も「韓国の歴史に関わる映画なので見たかった。歪曲と言われるが、話を聞いただけでは、なぜ問題になるのかよく分からない」と語った。

    歴史歪曲かどうかについては、意見が分かれた。

    母親と来た50代の観客は「現実に基づいていても創作が加わる。それなら、どの映画も歴史歪曲になってしまう。映画は映画として見るべきだ」と述べた。

    一方、論争を知って再び鑑賞に来た20代の男性は「歴史的背景を知らず、映画だけを見て、事件の背後にパク・チョンヒ(朴正熙)政権がいたのだと思った」と話した。「公式には確認されていない推測を、実際の歴史だと誤解することがあり得る」と懸念した。

    鑑賞を終えた20代の女性は「単に疑問を投げかける以上の内容にも感じた。政治的立場によって、否定的に受け止める人もいるだろう」と述べた。

    ただ、政治家の介入や、出演俳優ユ・ヘジンの自宅前などでの抗議については、おおむね「行き過ぎだ」との声が上がった。

    この女性は「見ずに歴史歪曲だと批判する人が多いようで残念だ。政治家や支持層が加わり、論争をさらに大きくした面もある」と指摘した。

    50代の観客は、民主主義国家では表現の自由があり、抗議もできるとしながら、俳優への非難は「人格への侮辱だ」と述べた。

    70代の女性も「出演したという理由でユ・ヘジンさんが攻撃されるのは胸が痛む。映画は創作物であり、受け止めたうえで異なる意見を持てることが成熟した社会だ」と語った。

    保守系市民団体「新自由連帯」とユン・ソンニョル(尹錫悦)前大統領の支持団体「ベラド」は4日、ソウル市城北区のユ・ヘジンの自宅とされる住宅前で、制作陣や俳優を非難する集会を開いた。

    所属事務所は6日に身辺保護を要請。警察は同日、スマートウォッチを支給し、周辺の巡回を強化するなどの安全措置を取った。

    (c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News

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