文化通信社はこのほど、2026年9月の「The Bunka News」デジタル版で月間アクセス数の多かった記事を集計した(集計期間は26年8月22日~9月25日)。最も読まれたのは「バリューブックス 自社書籍の直接卸10月新刊で本格化 取次介さず他社出版物の卸も試行」(9月3日配信)だった。

     

    26093026年9月期ランキング(成相)のサムネイル

     

     古本の買い取り・販売を主力とするバリューブックス(長野・上田市)が、10月に発売するポッドキャスト番組発の書籍を皮切りに、取次を通さずに書店に直接卸す自社レーベル「DR BY VALUEBOOKS PUBLISHING(ダイレクト・バイ・バリューブックス・パブリッシング)」の取り組みを本格化する。あわせて、ほかの出版社から預かった書籍を自社サイトで直販しながら書店にも卸す取り組みを試験的に進めていく。

     

     同社はこれまでも「VALUEBOOKS PUBLISHING」として、株式会社一冊が運営し、ミシマ社の直取引口座で取引する「一冊!クラブ」を通じて出版事業を行い、全国の書店に書籍を流通させてきた。

     

     「DR BY VALUEBOOKS PUBLISHING」では「一冊!クラブ」を介さず、取り扱いを希望する書店に直接卸す。自社の古本買い取り・販売と同じ倉庫・オペレーションを使い、販売条件は書籍ごとに設定する。書店側の取り分を通常より厚くする一方、著者への還元も重視している。

     

    米AI企業への書籍販売が問題に

     

     2位は「書協 日販のアンソロピック書籍販売報道で事実確認 再販契約の運営方針等で見解求める」(同24日配信)。日本出版販売(日販)がアメリカAI開発企業アンソロピックに大量に書籍を販売したと報じられている件に関して、日本書籍出版協会(書協)は日販GHD・富樫建社長に対して事実確認を求める文書を送った。

     

     取引関係の事実確認や会員出版物の有無のほか、再販売価格維持契約(再販契約)との整合性に関する見解などを求めた。とくに再販契約については、同契約を締結していない海外事業者への再販出版物の供給、および出版社の了承を得ない大量一括販売の法的整合性への見解を問うた。

     

     著作者や出版社に理解を得られていない形での「破壊的スキャン」行為への協力や、AI学習を目的とした書籍の新たな供給・販売を直ちに取りやめることを要請。さらに、仮にNDA(秘密保持契約)を理由として書協への回答が制限されるとしても、個別契約の金額や具体的条件を除く「再販契約上の運用方針」、「AI学習目的の書籍供給に対する貴社の基本的考え方」について明確な見解を示すよう求めた。

     

     4位は「【決算】ブックセラーズ&カンパニー 初の最終黒字 参加書店600店迫る 成田本店、さわや書店も参加へ」(同9日配信)。ブックセラーズ&カンパニーはこのほど第3期(25年6月1日~26年5月31日)決算を発表した。23年の創設以来初の最終黒字となった。25年度の直取引高[純仕入(仕入-返品)/本体価]は134億3000万円。前年同期比で5倍超にまで伸長した(販売コミット・返品ゼロ合算)。

     

     直近の参加書店数は61法人・571書店。契約出版社は包括契約が25社、単品買い切りが5社(いずれも26年9月時点)。

     

     26年10月には成田本店(青森)4店舗、Book House ひらがき エイスクエア店(滋賀)、BOOKSあんとく(福岡)3店舗、同11月にはさわや書店 6店舗(岩手・青森)の参加も予定している。

     

    業界団体、トラック新法対応へ政府に要望書

     

     5位は「『出版流通、このままでは危機的』JPIC・近藤理事長 適正原価ヒアリングで業界に結束呼びかけ」(同11日配信)。国土交通省は、改正貨物自動車運送事業法(トラック新法)に基づき導入される「適正原価」制度の設計に向け、有識者検討会での議論を進めている。8月26日に開かれた第2回検討会の個別業界からのヒアリングに出版文化産業振興財団(JPIC)の近藤敏貴理事長(トーハン取締役会長)が出席した。近藤理事長に、ヒアリングでの主張と、業界への思いを聞いた。

     

     近藤理事長がヒアリングで強く求めたのが、「適正原価」の算定式で使われる実車率の見直し。現行の標準的な運賃制度は実車率を一律50%として原価を算出している。実車率が低いほど空車で走る分のコストも荷主が負担する運賃に上乗せされる仕組みゆえ、帰り荷がないことを前提とした運賃はその分高く設定される。しかし、出版共同配送は各書店への送本と返本の双方で荷物を積み、複数の書店・店舗に毎日コース配送する形が基本で、実車率が100%に近いため、本来より割高な運賃水準が適正原価として算出されてしまうことを指摘。実車率基準の見直しを要望した。

     

     あわせて、トラック新法対応のための猶予期間の確保についても、短期間のうちに価格転嫁の仕組みを整えるのは、現実的に不可能なことからも十分な準備期間を確保してほしいと訴えた。

     

     8位「文字活字機構・山口理事長 『トラック新法』猶予期間求める 新聞・出版業界の連携呼びかけ」(同9日配信)では、第6回活字文化フォーラムのパネルディスカッションで、文字・活字文化推進機構理事長で読売新聞グループ本社代表取締役社長の山口寿一氏が、「トラック新法」の施行に向けて、自ら10月1日の国土交通省による検討会ヒアリングに参加するにあたり、出版業界と新聞業界が連携してセーフティーネットを求めていくべきだと呼びかけた。

     

     5位・8位で報じた内容を受けて、日本新聞協会や日本書籍出版協会(書協)など新聞・出版業界を代表する7団体は9月28日、物流の混乱や物価高など日本経済全体に与える影響が大きいとして、段階的な導入などを求める高市早苗首相宛ての要望書を提出した(「トラック新法適正原価『段階導入を』 新聞・出版業界7団体が首相に要望書提出」・同29日配信)。

    Share.

    Comments are closed.