ZOZOは9月に新機能「似合うルームby ZOZO」の提供開始を記念したイベントを開催した

    ZOZOは9月に新機能「似合うルームby ZOZO」の提供開始を記念したイベントを開催した

    ファッション業界のご意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。衣料品のEC(ネット通販)の勢力図が変化している。OMO(オンラインとオフライン)の進展によってリアル店舗を持つ企業が優位性を増しているのだ。店舗を持たない中小のEC専業企業は失速する傾向にある。例外がファッションECの王者であるZOZOだ。ECをめぐる構造変化とZOZOの強さの理由を考えてみよう。

    繊研新聞によるファッションEC売上統計の2025年版が9月29日に公表されたのを機会にコロナ前の19年と比較してみたら、OMOが売上高ランキングの顔ぶれを大きく変えたことが鮮明になった。コロナ禍を経て店舗事業者がOMOで売り上げを伸ばしたのに対し店舗を持たない通販事業者の多くがランキングから消えたが、そんな中でもZOZOは首位の座を保った。

    店舗回帰が進んでもファッションECは成長を継続

    繊研新聞の集計によれば、25年のファッションEC市場規模は2兆1054億円と前年から5.6%増加し、国内ファッション市場に占めるEC比率は21.3%と0.8ポイント上昇した。対前年伸び率はコロナ下20年の23.9%から10.6%、7.4%、6.1%と鈍化し24年は5.4%まで減速したが、25年はわずかながら加速した。同集計による19年の市場規模は1兆2100億円、EC比率は12.3%だったから、コロナを経て6年間で市場規模は74.1%拡大し、EC比率は9.0ポイント上昇した。

    繊研新聞は分母とした国内衣料品市場規模を前年から2%増の9兆8846億円と推計しているが、これは下着類や服飾雑貨も含んだ数字で(高級ブランド雑貨は含まない)、24年で8兆5010億円と繊研新聞の24年集計(9兆6751億円)より1兆1741億円少なかった矢野経済研究所の集計は、高級ブランド雑貨はもちろん下着類や服飾雑貨も含まない。分子のEC売上高も下着類や服飾雑貨を除外して集計するのは困難だから、繊研新聞の集計は現実的だと思う。

    EC統計では経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」が比較されるが、こちらは服飾雑貨や靴・鞄、高級ブランド雑貨まで含むゆえ、分母の市場規模は24年で11兆9675億円と繊研新聞より2兆2924億円も大きい。そのEC売上高は24年で2兆7980億円と格段に大きいが分母も大きく、EC比率は23.38%だった。同じ24年の繊研新聞のEC比率は20.5%だったから「電子商取引に関する市場調査」の25年は24.29%ほどになる計算だが、25年(令和8年)版は未だ公表されていない(去年は8月26日に公表された)。

    コロナ明け以降は店舗回帰が進み、店舗販売の回復でEC比率はいずれ頭打ちになるとみられていたが、25年のEC販売は店舗販売より伸びてEC比率も僅かながら上昇した。その背景となったのがSNSとECサイト、店舗を連携するOMOであり、店舗への取り置きや取り寄せによる試着(店舗決済)、オンライン購入品の店舗受け取り(オンライン決済)など便利な仕組みが広がってECと店舗販売の垣根は随分と低くなった。もはや統計上で両者を分けるのはオンライン決済か店舗決済かだけで、そのあおりを食ったのが実店舗を持たないファッションEC事業者だった。

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