1974年のユク・ヨンス夫人銃撃事件の背景を題材にした韓国映画「暗殺者(たち)」(c)MONEYTODAY
韓国映画「暗殺者(たち)」が歴史歪曲との批判を受け、政治的な論争にも発展する中、韓国映画製作者協会が、作品に参加した俳優やスタッフら個人にまで過度な非難が及んでいるとして懸念を表明した。
韓国映画製作者協会は1日に声明を発表し、「作品への評価とは別に、制作過程や参加した制作者について事実関係が確認されていない情報が広がったり、作品に参加したという理由だけで制作会社、監督、俳優、スタッフら個々の制作者に過度な非難が続いたりする状況を懸念している」とした。
協会は、映画や文化芸術作品に多様な評価や批判が寄せられることは自然で必要な過程だと説明。歴史的事件や実在の人物を題材にした作品では、観客の視点や解釈によって異なる意見が出る可能性があるとして、「作品の表現と解釈に対する評価は、作品そのものを中心になされることが望ましい」とした。
また、特定の歴史解釈や社会的主張について判断したり、いずれかの立場を支持したりするものではないと強調。その上で、作品を巡る議論が作品への評価を超え、制作に参加した個人への攻撃や未確認情報の拡散につながることは「韓国映画の健全な制作環境のためにも望ましくない」と指摘した。
さらに、多様な題材や物語を自由に扱える韓国映画界を維持するには、観客の自由な評価や批判とともに、制作者が過度な外部圧力を懸念せず創作できる環境も必要だとして、創作活動への尊重を求めた。
ホ・ジノ監督が手掛け、ユ・ヘジン、パク・ヘイル、イ・ミンホらが出演する「暗殺者(たち)」は、1974年8月15日の光復節記念式典で起きたユク・ヨンス氏銃撃事件の背景や疑惑を描くミステリー作品だ。
当時の特別捜査本部は、北朝鮮と在日本朝鮮人総連合会の指令を受けた在日コリアン2世のムン・セグァンが、演説中だった当時のパク・チョンヒ(朴正熙)大統領を狙撃しようとして失敗し、そばにいた妻ユク・ヨンス氏が銃弾を受けて死亡したと結論付けた。
一方、映画は政府の公式発表とは異なる結論を示唆しており、一部のネットユーザーから「歴史歪曲」との主張が出た。
韓国野党「国民の力」など保守陣営も、作品について「特定の政治的意図を持って歴史を歪曲した」などと主張し、批判している。
これに対し制作会社ハイブメディアコープは9月28日、「実際の事件と人物をモチーフにしながら、架空の人物や状況を組み合わせて一つの物語を完成させた」と説明。「特定の歴史的結論を新たに確定したり、既存の事実を否定・歪曲したりするために制作した映画ではない」として、政治的な目的で制作した作品ではないとの立場を示した。
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