中森明菜のデビュー曲として1982年5月1日にリリースされた。
そして作曲者の来生たかおが1983年12月1日に発表した企画アルバム『Visitor』でセルフカバーした。
SIDE2の2曲目に収録され、元々“山口百恵のデビュー曲を書くとしたらどのような感じになるか”という仮定があり、来生はそれに沿った感じになったことを明かしている。また、詞が少々幼いと思いつつ自ら歌っているという。

作詞:来生えつこ
作曲:来生たかお
編曲:星勝・萩田光雄

来生は控えめ・都会的・ノスタルジックな作風で知られるアーティスト。マイナー調の曲が多く、淡々としつつ叙情的なメロディーが特長。ほとんどビブラートを掛けない歌唱は“来生節”とも称される。

先行で発売された中森明菜の『スローモーション』は派手さこそないものの、イントロからしてドラマティック。全編に渡って美しい来生メロディが印象的で、聴くほどに耳に馴染んだ。来生えつこの詞も、16歳の等身大の儚い少女の思いがストレートに綴られていた。
来生えつこは当時をこう振り返る
「レコード会社のディレクターが『歌の上手い子だから、難しい曲でも大丈夫』と言うので、たかおも私も、力を入れて書きました」と。歌詞の中に、

 ストライド 長い脚先(あしさき)ゆっくりよぎってく

というフレーズが出てくる。
ストライドとは「歩幅」を意味する陸上用語だが、マラソン中継を見ていて、偶然この言葉を耳にした来生えつこは、いつか「ストライド」を歌詞に使おうと、メモしていた。
「歌詞というのは、使いたい言葉やフレーズがあって書くものなんです」という来生えつこ。
明菜は『スローモーション』を、新人離れした歌唱力で見事に歌いこなし、評判を呼んだ。
何より、デビュー当時の美少女・中森明菜のビジュアルイメージ(ふっくらして、可愛い!)と、高い歌唱力が100%生きる珠玉の楽曲だった。

一方来生のセルフカバーバージョンは少しスローテンポになり、『セーラー服と機関銃』と『夢の途中』のような関係になっている。
中森が歌う幼い恋のイメージではなく、すっかり大人の恋に様変わりしている。
まるで映画音楽のような仕上がりだ。

#スローモーション
#葵わかな

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