
フクル(群馬県桐生市)のアパレル向けサービス「FiTO(フィト)」が、第9回SXアワードの経済産業大臣賞に選ばれた。主催はサステナブル経営推進機構(SuMPO)。57件の応募から20件が受賞し、うち大臣賞は5件。アパレル分野からの大臣賞はフクルだけだ。
FiTOは、作りたい服の仕様やイラストを入力すると縫製料金を自動で見積もるウェブサービスだ。見積書の作成から発注までをそのまま処理できる。掲げる言葉は「必要な服を、必要な時に、必要な量だけつくる」。見積もりを画面上で完結させて小ロットの発注を成立させ、過剰生産と廃棄を抑える設計になっている。シェルジャケットやダウン、ナイロンパンツなど7種に対応するアウトドアウェアの補修サービス「FiTOリペア」、カーボン・オフセット証明書の発行とトレーサビリティ情報を扱う「FiTOアカウント」を組み合わせ、作る段階と着続ける段階の両方に手を入れる。
環境負荷の算定にはLCAソフト「MiLCA」を用いる。森林由来のカーボンクレジットを充ててCO2排出実質ゼロの衣服生産を可能にし、収益の一部は地域の森林管理・保全に回る。製品情報はQRコードからデジタルプロダクトパスポートとして開示する。SuMPOの受賞事例紹介は、この環境面に加え、桐生を拠点に職人の技術と地域文化を継承する社会面、透明性と付加価値を両立させる経済面の3点を評価軸に挙げた。
フクルの設立は2015年4月。桐生市の製造業ガイドによれば従業員は2人だ。代表取締役の木島広は1998年に文化服装学院を卒業し、99年にコム デ ギャルソンで「ジュンヤ ワタナベ」のパタンナーに。2005年にチーフパタンナーへ就き、08年にイオントップバリュで衣料品開発に携わったのち、桐生に戻って起業した。縫製工場の利益が削られていく現場を、型紙を引く側から見てきた人物である。FiTOは2025年度グッドデザイン賞も受けている。
表彰式は9月29日、東京・内幸町のイイノホール&カンファレンスセンターで開く。同じ大臣賞の白鶴酒造、肥後銀行、大和リースとともに受賞セッションも行う予定だ。
