TBS金曜ドラマ『Tシャツが乾くまで』を思い浮かべたとき、優しく温かみがありながら、どこか胸が切なくなるメインテーマを思い出す人も多いのではないだろうか。
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“劇伴音楽”は、ドラマのシーンひとつひとつを印象づける大切な役割を担っている。作品によって、クラシックやジャズ、エレクトロニックなどさまざまなジャンルの音楽が使用されるが、『Tシャツが乾くまで』では、とくにピアノやアンサンブルの音色が心に響いてくる。
そんな本作の音楽を担当するのは、haruka nakamuraさんだ。TBSドラマの劇伴音楽を手がけるのは今回が初となる。
「喪失」「愛」といった物語の根底にあるキーワードの他、「人と人との関係」「家族」「夫婦」「世間のモラル」などを視聴者に問いかける本作で、どのように音楽を制作していったのか。驚くべき制作スタイルと、本作の演出を務める土井裕泰監督とのエピソードに迫る。
■目指したのは寄り添うような音作り
劇伴音楽作りにおいて、haruka nakamuraさんは、「音楽の自我を押し付けるのではなく並走するようなイメージ」で作ることを心がけているという。
とある事故がきっかけで、当たり前に続いていくと思っていた幸せな日常が、突如崩れ去ってしまった二組の夫婦の喪失から始まる“愛”と“秘密”を描く本作。
楽曲制作にあたり、本作の演出を務める土井裕泰監督から「テーマとしては、隣にいる夫婦であれ、本当のところは分からない部分もあるし、理解し合えていないところもありながらも生きている」と話されたという。
劇伴音楽制作には、完成した映像に合わせて、音楽を制作していく“フィルムスコアリング”という手法と、イメージを共有した上で先行して曲を作り、シーンに編集の段階で当てていく手法がある。ドラマでは後者が主流で、本作もそうだった。
監督からの説明、脚本から、イメージを膨らませていくharuka nakamuraさん。さまざまな思いを抱えながらも前に進んでいく、「慈しみのようなものがある物語」と本作を捉え、登場人物たちの人間模様とともに、寄り添うような音作りを意識したという。
