(CNN) 映画「ロッキー・ホラー・ショー」や「殺人ゲームへの招待」、テレビミニシリーズ「IT/イット」などでカルト的な人気を博した英国の俳優、ティム・カリーさんが死去した。80歳だった。
カリーさんの長年のマネジャーであり友人でもあるマーシャ・ハーウィッツさんに代わって広報担当のショーン・カッツ氏が発表した声明によると、カリーさんは25日、米ロサンゼルスのトルーカ・レイクにある自宅で安らかに息を引き取った。
声明には「他に類を見ない華やかなキャラクターと色彩豊かな舞台演技で広く知られた人物だが、本人を知る人々にとって最大の遺産は、好奇心旺盛な広い視野と寛大で優しい心だった。それらは最期の瞬間まで失われず、なお多くを期待させるものだった」と記されている。

ロンドンで撮影された若き日のカリーさんの写真/Evening Standard/Hulton Archive/Getty Images
ロサンゼルス市警によると、25日の夜11時20分、市内の住所で80代の男性が死亡しているとの通報を受け、警官が出動した。ロサンゼルス消防局も同日の夜10時42分に同じ住所に駆けつけ、成人男性の死亡を確認したと発表した。
死因は現時点では不明。カリーさんは2012年に重度の脳卒中を患い、それ以来健康問題を抱えていた。
名優と評されたカリーさんは、傲慢(ごうまん)な英国人から狡猾(こうかつ)な悪役、そして困惑した相棒役など、様々な役柄を演じた。1975年の映画「ロッキー・ホラー・ショー」でのフランクン・フルター博士や85年のファンタジー映画「レジェンド/光と闇の伝説」での闇の魔王は、派手なビジュアルと威圧感に満ちた演技で観客に強烈な印象を残した。

カリーさんの名声を一躍高めた1975年の映画「ロッキー・ホラー・ショー」の一場面/Moviestore/Shutterstock
カリーさんは、46年4月19日、英イングランドのグラッペンホールで生まれた。父親は英国海軍の従軍牧師で、カリーさんは幼少期を世界各地の都市で過ごした。父親が脳卒中で倒れた後、一家はイングランド南海岸のプリマスに定住した。父親はカリーさんが12歳の時に亡くなった。
一家はロンドンに移り住み、カリーさんは俳優になることを決意。68年に演劇の学位を取得すると、ミュージカル「ヘアー」でプロとしての初舞台を踏んだ。

スティーブン・キング原作小説の映画化作品「IT/イット」では悪魔の道化師、ペニーワイズを演じた/Bob D’Amico/Disney General Entertainment Content/Getty Images
様々な役を演じた後、73年に脚本家のリチャード・オブライエンによって「ロッキー・ホラー・ショー」にキャスティングされた。50年代のホラー映画やSF映画のパロディーにふさわしく、カリーさんは当初、ドイツ語訛りの狂気の科学者としてフランクン・フルターを演じる予定だった。
しかしある日、バスの中で上流階級のアクセントで話す女性の声を聞いてカリーさんは考えを変える。フランクン・フルターの独特の声は、最終的に自身の母親とエリザベス女王をモデルにした。衣装も進化を遂げ、派手なメイクにコルセット、ストッキングに身を包んだ「トランスセクシュアル・トランシルバニア出身の愛すべき女装家」という伝説的なキャラクターが誕生した。
「ロッキー・ホラー・ショー」のカルト的人気は半世紀以上が過ぎても衰えず、現在もブロードウェーで舞台版が上演されている。

2005年、ブロードウェーで上演された「モンティ・パイソンのスパマロット」でアーサー王を演じるカリーさん/Kevin Mazur/WireImage/Getty Images
カリーさんは数十年にわたり、舞台とスクリーンの両方で圧倒的な存在感を示した。映画では1985年の公開作でやはりカルト的な人気作となった「殺人ゲームへの招待」で、執事ワズワース役を演じた。その他にも、前出の「レジェンド/光と闇の伝説」やスティーブン・キング原作小説の映画化作品の中で最高傑作の一つとされる「IT/イット」で見事な悪役ぶりを披露した。
